出版社 : 淡交社
〈「一度でいいから、金沢へ帰りたい」--江戸時代初期、加賀前田家から八条宮家へ嫁いだ富姫の秘めた恋、その悲願。〉 〈加賀前田家・八条宮家の存続のためーー政略結婚の後、陰謀や災難を乗り越えていく富姫“おふうさま”の、知られざる恋。〉 江戸時代初期、加賀前田家利常公四女・富姫(おふうさま)が、京・桂離宮を造営したことで有名な八条宮家へ嫁ぐことに。それは徳川将軍家の顔色をうかがいつつも、朝廷と良好な関係を築くための政略結婚。入輿に際して「おふうさま」付きの侍女となった小蝶は、女主人を守っていくことを決心し奔走します。加賀前田家を快く思わない公家衆の陰謀や予期せぬ災難を乗り越えながらも、「おふうさま」は妃としての使命と秘めた恋に揺れ動いていましたーー侍女だけが知る「おふうさま」の心の内、その悲願とは。
〈「いったいあんたはんは誰のために、なんのために菓子をこしらえたはるんや」〉 〈第四回京都文学賞「一般部門優秀賞」「読者選考委員賞」ダブル受賞作品(原題『一菓』)。〉 大学を卒業し、とくに夢や目標があるわけではなく毎日を過ごしていた主人公の雄司。ところが偶然に入った和菓子屋「洛中甘匠庵」で目にした「求む、菓子職人」の貼紙をきっかけに、京都島原の有名和菓子店で修業を始める。一年後に後継者を決めるという。腕は一流だが昔気質で頑固な大将との衝突、他の職人との争い、地域の人々や店の仲間たちとの交流を通し、職人として成長していくが、やがて大将の体調にも変化が……。菓子職人としての覚悟、伝統を受け渡す者と受け取る者の想いを描き出す。 第四回京都文学賞「一般部門優秀賞」「読者選考委員賞」ダブル受賞作品。
〈「ホットプレートほしい人いませんか?」--或る日、或る食卓、9つの物語。〉 〈女も男も、子どもも大人も。誰にでも、感情を呼び起こす“食と道具”がある。〉 数々の「おいしい小説」を手掛けてきた著者が贈るーー“食にまつわる道具”を通して揺れ動く老若男女を描いた短編集。「今年のゼリーモールド」「ピザカッターは笑う」「コーヒーサーバーの冒険」「あのときの鉄鍋」「水餃子の机」「錆び釘探し」「ホットプレートと震度四」「さよなら、アクリルたわし」「焚いてるんだよ、薪ストーブ」の9篇を収録。
神戸山芦屋のとある古い館で、本能寺の変で焼失したとされる名品「白天目茶碗」が掘り出された。ところが、白天目の付喪神である「シロさん」は、どうして自分が割れずに残ったのか、自分自身の来歴さえ思い出せない。シロさんはなぜ芦屋に埋まっていたのか?本能寺の変の真相は?シロさんの持ち主である「先生」、茶道具を偏愛するアラブ人の「ほうっかむりさん」、そしておしゃべりで無邪気なお道具たち(※国宝級)が繰り広げる、異色の骨董ファンタジー!
〈茶道、お稽古物語〉 〈畳の部屋で出会う新しい世界〉 不動産会社に勤める星那は、従姉の可夜子に頼まれて、三年前に亡くなった祖母の茶道具を整理することになりました。 外回りの営業中に見つけた茶道の稽古場に通いながら少しずつ自分の働き方、生き方を見つめ直していく星那は、幼い頃の記憶にある「金継の茶碗」を巡って、星那は受け継ぐことの難しさを痛感。茶室の売却やそこで現れる怪しい道具屋、稽古場での新しい出会いなど、12の短編ストーリーと合わせて楽しむ、茶道、お稽古物語です。
〈都でうごめく魑魅魍魎を描いた傑作短編集〉 時は室町時代末期、8代将軍足利義政の妻・日野富子を中心に描かれた時代短編小説集。『なごみ』での連載(「優曇華の花」「美しかりし粧いの、今は」「天魔の所業、もっての外なり」「青磁茶碗 玉梅」「将軍、帰陣す」「長い旅路の果てに」)に「天狗の如く」(書き下ろし)を加えて単行本化。妻に翻弄される男・足利義政、天魔の降臨を嗤う男・山名宗全、母の呪縛から逃れようとする男・足利義尚、天狗になろうとした男・細川政元……。ろくでもない男たちの運命が、一人の女によって狂い始める。