出版社 : 祥伝社
天正四年、織田信長は城を築くために安土の地に入った。上杉謙信に備え、石山本願寺への攻撃拠点とし、さらに京に上る足掛りに、この地を選んだのだ。そしてもう一人この地に立った者がいた。戦によって両親を殺され、“騙し人”と呼ばれる詐欺師になった娘・鶴である。鶴は欲望渦巻く乱世の中で騙しの腕を磨き、戦の元凶、信長に壮大な罠を仕掛けるが…。
“魔界都市“新宿””の申し子にして街一番の人捜し屋・秋せつらは、妻子の命を奪った男への復讐を誓う花森陣馬を捕捉した。依頼人は花森が狙う敵・志賀巻。異形の殺し屋・崖ヶ谷三兄妹を雇い、返り討ちを目論んでいた。だが、花森は死地を脱した上、依頼を果たしたせつらも彼の味方に。焦る志賀巻は“変身屋”の手によって悪霊と融合、あらゆる物質を喰らう“孔”と化した。直後、“変身屋”は後悔で自殺。制御不能の暗黒となった志賀巻は、せつらが操る必殺の妖糸さえ呑み込み、その矛先は街そのものに!?“新宿”に“魔震”以来の激震が走る!
アパレルメーカー「ビータイド」に勤める佐和理世は、自らが提案した企画が採用され、新ブランド「スウ・サ・フォン」の立ち上げメンバーに選ばれた。そんなある日、カフェに展示されていたバッグのデザインに衝撃を受けた理世は、その作者・小鳥遊美名をメインデザイナーにスカウトする。色白で華奢、独特の雰囲気を纏う美名の魅力とその才能に激しく惹かれる理世。社内でのセクハラ事件をきっかけに二人の距離は一気に縮まるが、やがてその親密さは過剰になっていく…。
柔道六段、元体育教師、息子は警察庁刑事局トップで、元教え子には地元警察署署長も。その経歴を存分に悪用して悪党退治に暴れ回る老人。彼こそが兇暴爺・三船敏三である!そんな彼に、ストーカー相談が。しかしこの女性、とにかく大柄で、狙われるようにも見えない。だが、護衛を続けるうちに怪しい影が…。敏三は、事件を解決に導けるのか!?愉快痛快破天荒!
一九六六年、ビートルズ来日時の武道館。熱狂する二階の客席から降ってきた白いパンティに、英国諜報部が掴んだ機密が隠されていた。二〇一七年、テレビ番組制作会社の女性社員が次々と失踪した。鍵は「ビートルズのテープ」。それは五一年の時を経て、日本国の領土を揺るがすものだった。迸るエロスと激しい諜報戦。暗躍する大国の組織にFIAの面々は立ち向かえるのか?芯まで熱いエロス&サスペンス!
「カシャ」敦士はシャッター音を真似た声を出す。脳内のカメラに響子の肢体を焼き付けるために。響子はアラフォーのシングルマザーだが、会社を経営しタイトスーツをまとう美熟女。しかし今、敦士にあられもない姿を見せる。焦らしに焦らされて本性を露わにしたドMの母親は、子ども部屋で喜悦の声をあげた(「卵かけごはん」)。淫らは、美味しい…性と食事の情緒を描く官能ロマン誕生。
何かにアツくなれる人生は最強に楽しい!外資系銀行秘書ノブコはオタ友の裏切り、職場のレイオフ旋風での傷心を乗り越え、復活しようとしていた。愛するアニメ『バイファロス』のスピンオフ映画化の一報を受けたのだ。だが、資金面で難航していると知り…ノブコが!徒兄弟タツオが!映画のためにすべてを捧ぐ、これぞオタク魂!共感&感動必至の猛烈オタ活動!!爆走エンターテインメント。
年寄りばかりを狙った騙りに、老夫婦が首をくくった。蓄えのすべてを奪われていた。再び定町廻り代理を命じられた日暮龍平は、若い猿回し夫婦を捕縛、夫は打ち首、病身の妻は放免とされた。妻お楽は故郷の会津に義父重右衛門を訪ねる。一切を聞き復讐の鬼と化した重右衛門は、あろうことか息子の俊太郎を拐かした!憤怒する龍平は親として剣をとり追跡するが…。颯爽時代小説!
「危ない」茶屋の看板娘お沙世が叫んだ。侍の駆る馬に、団扇職人の娘が撥ね飛ばされたのだ。侍は名乗ると、金を投げて立ち去り、娘は看病も虚しく死んだ。憤る札の辻の住人たち。だが、人宿「相州屋」の主忠吾郎は旗本の挙動に不審を覚え、仁左たちに探索を命じる。仇討ちに走ろうとする娘の父親を宥めつつ、策を練る忠吾郎の胸中は…。奉行が裁けぬ悪を討つ、第五弾。
火事を起こし、その隙に皆殺しの押し込みを働く盗賊千羽一家が江戸に入った。その報を受け、新庄藩火消通称“ぼろ鳶”組頭・松永源吾は火付けを止めるべく奔走する。だが藩主の親戚・戸沢正親が現れ、火消の削減を宣言。一方現場では九頭の龍を躰に刻み、町火消最強と恐れられる「に組」頭“九紋龍”が乱入、大混乱に陥っていた。絶対的な危機に、ぼろ鳶組の命運は!?啓文堂書店時代小説文庫大賞第1位シリーズ続刊。
小日向水道町にある、いちょうの大樹が看板の『銀杏堂』は、嶋村夫妻が二十五年に亘って切り盛りしてきた手習指南所。子を生せず、その家に出戻ることになった一人娘の萌は、隠居を決め込む父・承仙の跡を継ぎ、母・美津の手助けを得ながら筆子たちに読み書き算盤を教えることに。だが、親たちは女師匠と侮り、子供たちは反抗を繰り返す。彼らのことを思って為すことも、願い通りに届かない。そんなある日、手習所の前に捨てられていた赤ん坊をその胸に抱いた時、萌はその子を引き取る決心を固めるが…。子供たちに一対一で向き合い、寄り添う若き手習師匠の格闘の日々を、濃やかな筆致で鮮やかに描き出す珠玉の時代小説!
犬森祥子の職業は「見守り屋」だ。営業時間は夜から朝まで。ワケありの客から依頼が入ると、人やペットなど、とにかく頼まれたものを寝ずの番で見守る。そんな祥子の唯一の贅沢は、仕事を終えた後の晩酌ならぬ「ランチ酒」。孤独を抱えて生きる客に思いを馳せ、離れて暮らす娘の幸せを願いながら、つかの間、最高のランチと酒に癒される。すれ違いのステーキとサングリア、怒りのから揚げ丼とハイボール、懐かしのオムライスと日本酒、別れの予感のアジフライと生ビール…今日も昼どき、最高のランチと至福の一杯!心を癒し、胃袋を刺激する絶品小説。
戦時中、軍需省の要請により立法化され、それに基づき皇室からも供出されたダイヤモンドがあった。その量、32万カラット。戦後は日銀に保管されていたが、その内20万カラットが占領のどさくさの中に消失。GHQのアメリカ軍将校が盗み出したとも、日本の政権運用資金に使われたとも言われていた。東大教授にして歴史作家・浅野迦羅守は、戦後の特務機関・亜細亜産業に勤めていた曽祖父たちから、消えたダイヤの在り処を示す暗号文の遺言書を託された。しかし、捜索を開始するや何者かからの脅迫を受け、やがて敵の襲撃が…。
都内に事務所を構える弁護士の木塚は、魔性の女子高生桃香らとともに裏稼業に手を染めていた。満員電車の車内で痴漢冤罪をでっち上げ、木塚が介入、何の罪もない男たちから示談金を搾り取るのだ。順調に“加害者”を作り上げるある日、木塚が標的に選んだのは若手ナンバーワン俳優の松岡だった。イメージ作りのために、事務所があえて舞台稽古に電車を使わせていたのだ。映画やドラマ、コマーシャルに引っ張りだこの松岡からなら五千万円は引っ張れるはずーだが、罠に嵌めた松岡の事務所の社長・吉原は、闇社会との繋がりも囁かれる曰く付きの男だった…。出会うはずのなかった二頭の凶獣が顔を合わせた時、電車という餌場を争う死闘の幕が上がった!
赤字ローカル線の終点・根古万知。駅前は、わずか八店舗ほどが細々と営業するシャッター商店街である。数年前、猫の町「ねこまち」としてブームになりかけたこともあったが、それも一時のこと、以来、ジリ貧状態だ。離婚を機に、そんな町に戻ったラーメン店の娘・愛美は、緑色の大きな目と灰色の毛が愛らしい拾い猫を飼うことになった。ノンちゃんと名付けたその猫が、ひょんなことから一日猫駅長を務めると駅は再ブレイク、商店街にも観光客が訪れる。愛美は久しぶりに賑わう光景を見て、今度こそ、元気いっぱいだった頃の根古万知を取り戻したいと動き出すが…。
東京青梅で発見された会社役員の他殺体は、奇妙なことに虚無僧姿だった。事件に遭遇した浅見光彦は、尺八名人の被害者が名曲「滝落之曲」だけは一度も吹かなかったことに疑問を抱く。かつて暮らしていた修善寺由縁の曲をなぜ?現地へ向かった浅見は、事件当日修善寺でも虚無僧が目撃されていたことを知る。青梅の殺人との関連は?やがて被害者の残した謎の言葉が浮上する!
ピアノ調律師の一藤麻衣子には、秘密があった。愛媛の山奥にある七富利村で過ごした少女時代、村がダムに沈む直前の村長であった伯父日出夫の無惨な死体を、麻衣子は目撃したのだ。その肩には、くっきりと十字の印が焼きついていた…。それは村人が噂する隠れキリシタンの祟りなのか?深い水底に沈んだ村から二転三転して真実が浮かび上がる、戦慄のミステリ。
土地取引に絡んで辣腕を揮う弁護士西城昌一は、廃園と土地売却を目論む幼稚園長の代理人として、存続運動を行なう教師や父母と対することに。だが、相手側弁護士となったのは、かつての恋人藤枝みずえだった。立ちはだかるみずえの前に廃園計画は暗礁に。そんな折、過去に西城が担当し無罪を勝ち取った事件を追う刑事が姿を消すー。西城がひた隠す真相とは?
“アイドルを嫁にしたい”役場の杉井は、村の権力者巴山を丸め込み、自ら育てたアイドルをデビューさせるため、のど自慢大会を開催した。だが大会中、巴山が死体で発見された!事故か殺人か。捜査が進む中、別件で巴山を訪ねてきた東京の刑事は“殺し屋”の犯行を疑う。なぜ殺し屋が村に!?そこには村が隠し続けた禁忌が…雪深き山村で起こる前代未聞の大事件!