出版社 : 祥伝社
東京・赤羽の巨大団地葵ヶ丘に住む北原美紗子の娘・奈月が失踪した。赤羽中央署生活安全課の疋田務は部下の小宮真子らとともに懸命な捜査を続けるが、一向に消息は掴めなかった。奈月はいったいどこへ。やがて誘拐犯を名乗る人物から身代金要求の電話がかかったとき、事件は予想もしない方向に暴走を始めたー正統派、かつ、斬新。心を鷲掴みにする新警察小説、誕生!
横浜にある女子高に通うわたし、上杉小春には碓氷優佳という自慢の親友がいる。美しく聡明な彼女はいつも、日常の謎に隠された真実を見出し、そっと教えてくれた。赤信号のジンクス、危険な初恋、委員長の飲酒癖、跡継ぎ娘の禁じられた夢、受験直前の怪我、密かな失恋…。教室では少女たちの秘密が生まれては消えてゆく。名探偵誕生の瞬間を描く青春ミステリーの傑作。
硬派のニュースキャスターが浴室で変死した。自殺と思われたが、奇妙な遺留品が現場から発見され、他殺の線が強くなる。臨場した加門昌也警部補率いる警視庁捜査一課第五係は、彼に裏献金を糾弾された大物政治家に疑いの目を向けるが…。捜査一課、組織犯罪対策部第二課ーそれぞれの刑事たちが、足を棒にする捜査の先に辿り着く真実とは!熱血の警察小説集。
「ねえ、エッチしようよ」-学生時代、事あるごとに甘い声でねだってきた、元彼女、早月。社会人三年目の今、克彦は奔放だった早月とは正反対の、清楚で家庭的な梨子と同棲を始め、仕事も正念場を迎えていた。しかし今になって、あの日夢中で抱き締めた早月の肢体が生々しく甦る。裏切られ、さんざんな形で別れたはずなのに…過去と現在が狂おしく交差する青春官能の傑作。
幕末の名君松平春嶽の師に、と請われるも固辞、俗世を捨て和歌にすべてを捧げた橘曙覧の生涯。年番方与力宇野清左衛門は、詮議所にいた男にある面影を見て、疑念を抱く。長谷川平蔵の幼馴染で南町奉行となった男の矜持と心意気ー。小説好き必読!書下ろし時代文庫の人気執筆陣が、人の世を彩る感情“喜怒哀楽”を描き切る特別企画。第一弾は、三つの“喜び”が溢れる。
奉公先から大金を盗んだ女が、斬首の間際、首斬り浅右衛門の直弟子に託した悲痛な願い。名作落語「らくだ」をモチーフに描く、極限状態に追い込まれた人間の本性。素浪人矢吹平八郎が知り合った、幼子のため必死に働く女に忍び寄る不穏な影ーときに己を奮い立たせ、ときに誰かを救う力となる、たぎる“怒り”を三人の名手が活写した、豪華アンソロジー第二弾。
札幌で暮らす小学六年生の瀬川大介には、自らの鬱屈を晴らす、ささやかな楽しみがあった。それは隣家に住む、指が二本ない謎の老人佐藤北海が見守る貧弱な樹がつける花芽を削り取ること。開花を待つ北海の喜びを奪うことで、不満を溜めた老人が“暴発”することを願っていた。だが、夏休みに入ったある日、大介の油断を衝いてその樹が白い花を咲かせる。それを見た北海は突如ボストンバッグを抱えて旅に出発、両親と喧嘩して家出をするつもりだった大介は、急遽彼を追うことに…。一人の少年の好奇心と冒険心が生んだ心に沁みわたる感動の物語。
剛腕の歴史小説旗手が放つ川中島合戦! 義を貫いてこそー 上杉謙信と武田信玄が鎬を削る北信濃の地で、若武者須田満親が、才を磨き、戦塵を駆け抜ける! 徹底的な現地取材を基に描く新たな合戦像! 時は戦国、あまたの武将ひしめく北信濃の地。甲斐の武田晴信(信玄)は、今川・北条と盟を結びつつ野望の眼を北に向けた。北信の盟主村上義清に忠義を尽くす須田家の後継満親と、従兄にして刎頸の友でもある須田庶家の信正。川中島に所領を持つ二人の若者は悩み、葛藤する。道は二つ、裏切ってでも生き残りを策すべきか、滅ぼうとも義を貫くか。やがて武田の脅威に抗しきれなくなった時、満親は越後の長尾景虎(上杉謙信)に支援を請う使者に立った……。北信濃を巡って謙信の義と信玄の欲が火花を散らす中、流転を強いられる須田一族の運命はーー。
杉並中央署生活安全課「何でも相談室」、通称0係に小学生から相談事が持ち込まれた。少年の祖母宅に大金が投げ込まれたのだという。しかも、0係の変人キャリア刑事の冬彦と相棒の高虎が調査するうちに、同じマンションの他の部屋も違う額の金を受け取っていたと判明する。お札を調べ始めた冬彦は、あることに気付くが…。KY刑事の鋭い観察眼が光るシリーズ第三弾!
「警察の警察」と呼ばれる警視庁監察係の係長刺殺事件。その容疑者も銃殺されて二年近くが過ぎ、捜査は早くも迷宮入りの様相を呈していた。そこで刑事部長は捜査一課特命捜査対策室の秘密別働隊“シャドー”を投入する。岩城譲司警部の許、癖のある連中が、偽造、脅迫、なりすましと違法捜査で警察の暗部に切り込むが…。権力の腐敗を痛快に暴いた、野心的な警察小説。
「あんた…もしかして、最悪の刑事と言われた、あの」ヤクザが絶句した。あの最低最悪の刑事佐脇が帰ってきたのだ。だが古巣鳴海署は美人署長の下、人心一新、すべて変わっていた。酒に煙草、昔の遣り方をごり押しした佐脇は、山間の寒村で起きた連続殺人の再捜査を命じられる。現場に向かう佐脇を待っていたのは…。やりたい放題、傍若無人の横暴捜査が炸裂する!
「夫が髷に白粉をつけてきたり、隠れて踊りの稽古をしているんです」易者姿の鬼堂民斎は旗本の奥方を観ていた。芸者絡みの浮気とにらんだ民斎は、画数占いで仰天した。夫とは南町奉行矢部駿河守定謙だったのだ。真面目一徹の駿河守がなぜ?夕刻、白塗りの若衆の割腹死体が発見された。脇差には“やべ様命”とあり…(お奉行を占う)。人情てんこ盛りの時代推理。
多忙を極める南町奉行所は、増え続ける未解決事件に対処するため、元定町廻りの二ッ森伝次郎に再出仕を要請した。御年六十八歳のこの男、隠居暮らしは御免と市中の揉め事に首を突っ込む毎日だ。伝次郎は早速、一癖も二癖もある往年の腕利き連中を集める。そして、ついた仇名が“戻り舟”だった。そんな折、九年前、商家の娘殺しを疑われた男の探索を依頼され…。
「北条家の旧領関東二百四十万石を差し上げよう」天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めながら、関白・豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。その真意は、水びたしの低湿地ばかりが広がる土地と、豊饒な現在の所領、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。愚弄するかのような要求に家臣団が激怒する中、なぜか家康はその国替え要求を受け入れた…。ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、面目躍如の挑戦を描く快作誕生!
杉並中央署生活安全課に突如誕生した「何でも相談室」。通称0係。署内の役立たずが集まる島流し部署だ。そこへ科警研から異動してきたキャリアの小早川冬彦警部。マイペースで、無礼千万な男だが知識と観察眼で人の心を次々と読みとっていく。そんな彼がボヤ事件で興味を示した手掛かり、ファイヤーボールとは?KY(空気が読めない)刑事の非常識捜査が真相を暴くシリーズ第一弾!
杉並中央署生活安全課「何でも相談室」、通称0係に娘の死の真相を調べて欲しいという相談が持ち込まれる。今年だけで名門高校の女子生徒が二人、飛び降り自殺をしているのだ。0係の変人キャリア警部・小早川冬彦は相棒の万年巡査長・寺田高虎と高校を訪れるが、そのとき三人目の犠牲者が…。KY(空気が読めない)刑事が鋭い観察眼で人を見抜くシリーズ第二弾!
二〇一一年三月一一日、東日本大震災が発生。巨大津波の混乱の中、福島県いわき市でも無数の車が流された。その中に東京で同僚の議員秘書を殺害し、大金を奪い逃亡した男の車もあった。男の捜索を依頼された探偵神山健介は、足取りを追い被災地を北上する。過酷な状況下で、やがて炙り出される権力の影。男は何を目指して漂流するのか。辿り着いた地で知る、衝撃の真実。
隣の教室で偶然出会った女の子。想いを寄せるが、彼女のある噂を耳にし、自分から距離を置いてしまったー。心の奥底にずっと閉じ込めていた中学生時代の甘くもほろ苦い記憶。それを鮮やかに甦らせてくれたのは、愛娘が森の中で見つけた懐かしい花だった(「はじめて好きになった花」)。大切な過去、そっとしまっておきたい思い出を抱えて生きるあなたに贈る、珠玉のラブストーリー集。
画廊の女社長が殺された。赤坂署に捜査本部が設置され、警視庁捜査一課で加門昌也警部補が率いる第五係に捜査指令がでた。第一発見者で被害者との関係も噂される画家の広瀬が疑われるが、決め手がない。そんな中、関係者の何気ない仕種に、加門は注目する(「炎の代償」)。捜査一課、生活安全課…警視庁の各課の刑事たちが、靴底をすり減らしながら、とことん犯人を追う!