出版社 : 祥伝社
太物店『山形屋』の主は、店に置き忘れられた三十両の持主探しに嫌気がさしていた。貼紙をしても現われるのは偽者ばかり。ついに本人かと安堵するも、受け取りに来たのは代理の男だった。それでも主は男を信用するが、話を聞いた青柳剣一郎はあまりの大金と都合のよい話に不審を抱く。しかし、男はすでに行方をくらましていた。同じ頃、掬摸の死体が発見され…。
日々堂のお葉の元に山源の総元締源伍から文が届いた。だが、筆蹟があまりにも弱々しく、女ごの手になる文にみえる。いぶかるお葉は思い切って山源を訪ね、驚愕した。源伍は口も回らない状態で臥していたのだ。さらに縋りつくような目をお葉に向けて言葉を吐いた。家を飛び出したきりの息子源一郎を捜して欲しい、と(「花卯木」)-江戸に涙と粋の花を咲かす哀愁情話。
すこぶる男前で気ままな町場暮らし。「浮かれ鳶」と綽名される本多控次郎は貧乏旗本の次男坊である。弟七五三之介が奉行所与力に婿入りし、事件探索に手を貸すことに。真面目すぎる弟を相棒に、小石川養生所を襲う連続不審死の真相を探る。やがて、謎の密売人が控次郎の家族にまで牙を剥く。曲がった事を許さない控次郎の正義の剣が、世に蔓延る悪を討つ。
東京で暮らす月光のもとへ、故郷の京都に残した双子の妹・冬花が殺人罪で逮捕されたという連絡が入った。被害者は冬花の高校時代の同級生・川井喜代。妹がなぜあの女を?二十年前、冬花を弄んだ喜代が許せず二人を引き離したはずだったのに。帰省した月光は、冬花に思いを寄せる男・杉田とともに真相解明に乗り出す。だが、浮かび上がるのは成功者となった喜代の疑惑と悪行、そして孤独な人々を引きずり込む黒い罠だったー。
存在感を消してしまった少女。瞬間移動の力を手に入れた引きこもり少年。危険な発火能力を持つ、木造アパートの住人…どこかおかしくて、ちょっぴり切ない、超能力者×恋物語。恋愛小説の名手が描く、すこし不思議な短編集。
尖閣諸島に中国駆逐艦「石家荘」が接近、日本政府は海上自衛隊護衛艦「あきづき」を派遣した。中国国内の政治情勢悪化にともない、両国の情報戦が激化している矢先のことだった。一方、新型ソナー兵器開発に携わる海自技官木村美奏乃は、五年前に潜水艦事故で亡くなった婚約者の死の謎を追っていた。やがて、「あきづき」が魚釣島近海で消息を絶ち、緊迫する東シナ海へ、わが国初の女性首相御厨は、新型ソナー兵器を搭載した潜水艦「こくりゅう」投入を決定。木村も乗艦することになったが…。緊迫する日中関係はどうなるのか。婚約者の命を奪った事故の真相とは?沖縄トラフの海中を舞台に、最先端技術と頭脳を駆使した熾烈な戦いを圧倒的迫力で描いたミリタリー・サスペンスの傑作!
大帝より浮世絵師宗次に届いた密書、それは人知れず秘密裏に京を訪ねてほしいというものだった。厳重な警備を掻い潜り御所へ侵入、後水尾上皇と謁見できるのか。折しも歴史深き都は要職者の暗殺が横行、治安悪化の一途をたどっていた。江戸へ戻れという忍びの警告。凄腕の公家剣客衆の襲撃。夜毎五条に出没する弁慶なる謎の侍。絢爛たる都で宗次の撃滅剣が閃く!
仙洞御所で大帝の悲痛な願いを受け止めた浮世絵師宗次。だが、その前に現れた弁慶なる巨躯侍。名刀を狩るべく修羅の豪剣が宗次に唸りを上げる。一方、強大な公家勢力と六波羅組の激突は迫り、京に最大の危機が!幕府の影までが蠢く中、大剣聖と謳われた父でさえ勝てなかった天才剣に、宗次はいかに挑むのか!?祥伝社文庫創刊三十周年記念特別書下ろし作品「悠と宗次の初恋旅」を収録。
生き倒れた女の幼子を引き取った直後、浮世絵師宗次は手練の侍集団に襲われる。京から長旅を続けてきたという幼子の正体に関係が?やがて大坂夏の陣より続く暗殺集団の関わりが明らかになるとき、事件は宗次出生の秘密にまで発展していく!(「命賭け候」)。大店美人お内儀殺しを追う「妖し房」、血まみれの浮世絵を残す凶賊に挑む「舞之剣」。衝撃の時代傑作!祥伝社文庫創刊三十周年記念特別書下ろし作品「くノ一母情」を収録。
ジャーナリストの尾木昌也が刺殺された。取材中の事案から、中東の過激派に疑いが向けられる。だが、特命を受けた渋谷署生活安全課の三上謙は、過激派への容疑に異和感を抱く。尾木が調べていた様々なネタを追ううちに、おぞましき癒着の構造に行き着く。そして、鍵を握る元代議士の拉致現場に居合わせると、三上は自らも銃撃を受け…。巨悪に迫る圧巻の警察小説。
ホステス時代の上客を呼び出しては禁断の秘戯にふける、入籍直前の美人秘書。清楚な見た目とは裏腹にSの噂のある妖しいOL。妊娠七ヶ月のキャリアウーマンは学生バイトの純情を弄び、地味な女子事務員は、堅物な男を不倫の海に溺れさせる。私の前では、男なんてただの玩具。すべては、私の愉しみのためにー。人気官能作家陣が描く、八つの甘くて感度抜群な極上エロス。
「おれの首を斬れば、おぬしの首も斬られるぞ」切腹の際、不気味な台詞を残した男。介錯を務めたのは、旗本柴崎家から請われた畠沢藩の首斬り人鬼塚雲十郎だった。予言通り鎖鎌を遣う異様な刺客の襲撃を受けた雲十郎は、柴崎家のお家騒動に巻き込まれていく。次次と家士が倒される中、病床の主の跡を狙うのは?居合を武器に、見えない敵に雲十郎が立ち向かう!
「遊び奉行」とは、禄高の割に月に一日の勤めでよいことから裁許奉行に付けられた別称である。藩主の長男ながら側室の子ゆえに、家老家に婿入りした九頭目一亀は、武士には禁じられている園瀬の盆踊りを踊った罪で、その暇な奉行に降格させられた。愚兄と誹られた振る舞いだったが、その陰には乱れた藩政を糺すための遠大な策略が!清冽で痛快な傑作時代小説。
廃業した元関脇がひっそりと江戸に戻ってきた。かつて土俵の鬼と呼ばれ、大関昇進を目前にした人気者だったが、やくざとの喧嘩のとばっちりで江戸払いとされたのだ。十五年後、離ればなれとなっていた妻や娘に会いに来たのだった。一方、“算盤侍”唐木市兵衛は、御徒組旗本のお勝手たてなおしを依頼された。主は借金に対して、自分の都合ばかりをくましたてるが…。
絶体絶命のカウントダウン! 史上最強の天才強盗4人組に強敵あらわる! 嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女ーー 180万部シリーズ待望の最新作! 陽気なギャング一味の天才スリ久遠は、消えたアイドル宝島沙耶を追う火尻を、暴漢から救う。だが彼は、事件被害者のプライバシーをもネタにするハイエナ記者だった。正体に気づかれたギャングたちの身辺で、当たり屋、痴漢冤罪などのトラブルが頻発。蛇蝎のごとき強敵の不気味な連続攻撃で、人間嘘発見器成瀬ら面々は断崖に追いつめられた! 必死に火尻の急所を探る四人組に、やがて絶体絶命のカウントダウンが! 人気シリーズ、九年ぶりの最新作! 第一章 悪党たちは久々に銀行を襲い、小さな失敗をきっかけにトラブルに巻き込まれる。いつものこと。 -- おとなしくできないなら、せめて気をつけてやれ。 第二章 悪党たちは降りかかる火の粉を払うため、何が起きているのかを探るが、払えば払うほど火の粉がまとわりつく。 -─ 眠っている犬はできるかぎり寝かせておけ。-─ 第三章 悪党たちは事件の構図に気づくが、相手の後手に回る。 -- 1インチ与えれば1ヤード取られる。-- 第四章 悪党たちは、別の悪党から逃れるために必死に行動するが、予定通りに物事が進まない。 -- 計画を立てるのは人だが、成敗するのは天だ。--
“魔界都市”に潜入した三人の男女。モデルの魂を絵に封じる不死の妖画家ドリアン・グレイと彼を追う不死身の美女エリザベス、そして彼女を造った科学者フランケンシュタインであった。百年を超える彼らの凄絶な追跡行に、“新宿”一の人捜し屋秋せつらが巻き込まれた。やがて争乱は、吸血鬼一族の長・夜香、女魔道士トンブ・ヌーレンブルク、“魔界医師”メフィストをも呑み込む。“新宿”の魔人たちが倒れる中、遂に異界への扉が開く。伝説の魔性を迎え、“魔人の中の魔人”せつらの運命は?やがて現出する魔都消失の危機とは?
日本初の、豊かな老後がコンセプトの巨大定住型老人施設「プラチナタウン」を誘致、財政破綻寸前からV字回復した緑原町。Uターンする人々も増え、町は活気を取り戻していた。しかし立役者で、元四井商事の町長・山崎鉄郎は、忍び寄る危機に気がついていた。-高齢者人口も減少に転じる将来、この町はどうなる?もう一つの主要産業・農畜産業は、TPPや従事者の高齢化と後継者不足という難問を抱えたままなのだ。産業振興課課長の工藤登美子を相棒に、山崎の商社マンの血が騒ぎ出す!読めば元気になる“時代先取り”小説。