出版社 : 祥伝社
真珠の養殖で知られる志摩半島の英虞湾。風光明媚なその海に、男の他殺体が浮かんだ。被害者は自らの刑務所体験を書きベストセラー作家となった袴田啓二郎。所轄の鳥羽署は、かつての黒い交友が関係すると見て捜査を開始。一方、美少女海女取材で当地を訪れていた浅見光彦も事件を知り、調査を始める。だが、その矢先に第二の殺人が発生。事件は混迷を深めていくが…。
紅葉美しい東福寺を取材で訪れた茶屋次郎。だが同行していた地元出版社の美人編集者原口奈波が突如姿を消した。彼女の行方を追うと、兄の壮亮と彼の恋人だった石津紀世も数年前に失踪していることが判明する。その矢先、紀世の妹真海の絞殺死体が鴨川に浮かんだ。三人の失踪との関わりは?先斗町、鞍馬寺、果ては天橋立と、縦横無尽に探る茶屋の前に現れる古都の闇とはー。
アメリカの名門大学卒にして、外資系銀行秘書のハセガワノブコ(32歳・独身)。華麗なる帰国子女の正体は、筋金入りのオタクだった!週末は録りだめたアニメ鑑賞や、オタ友とイベントに繰り出すのが至福の時間。セレブのホームパーティーもイケメン外国人も、恋愛も結婚も眼中になし!なのに、最近公私ともにトラブル&バトルが…今こそ真のオタク魂が試される!?
貧乏長屋のお初と兄の太吉。両親は、騙されて浅草の小間物屋を失い、失意のうちに亡くなった。「必ず店を買い戻そう」と固く誓う太吉が、二十両の有り金をはたいて名品“井戸の茶碗”を入手。だがそれは、真っ赤な贋物だった。弱り果てた兄妹に声をかけたのは、隣に住む赤目勘兵衛。高値で売ってやるという、酒びたりの浪人にどんな策が!?新世代の人情時代小説!
“算盤侍”唐木市兵衛は、公儀十人目付筆頭片岡信正の依頼で、下総葛飾を目指していた。信正の配下返弥陀ノ介は親友市兵衛の出立に際し、伝言を託す。葛飾近くの貸元に匿われている女宛だった。道中、市兵衛は貸元が人徳者だったが三月前に暗殺されたと知る。跡目を継いだのは美人の三姉妹で、市兵衛はその手下を偶然助けたことから、縄張り争いに巻き込まれ…。
慶長十年(一六〇五)、江戸には幕府が開かれ、仕官先を探す浪人が溢れた時代であった。そんな世に忽然と現われた宮本武蔵は、武芸者として名を上げるべく京のの名門道場の主だった吉岡憲法に挑戦状を叩きつける。時同じく、美作宮本村の武蔵は同姓同名の男の噂を聞き、己が腕を恃みに京へと向かう…激しい剣戟描写に加え、既存の武蔵像を大胆に覆した剣豪小説の極北。
ニュージーランドの名峰アスパイアリングで起きた遭難事故が、森尾正樹を奈落の底に突き落とした。登山ガイドの彼は悪天候のなか瀕死のツアー客を救出し一躍英雄となるが、突如、保険金殺人の容疑で逮捕されたのだ。冤罪を主張するも検察の取り調べはあまりに作為的でー眺望絶佳な山の表情と圧巻の雪山行、そして決して諦めない男の法廷対決を描く愛と奇跡の感動作。
困窮する彦崎藩は財政再建に迫られていた。藩内では茶と椎茸の栽培に期待をかけるが、野心家の藩主・隆興は幕閣への道を志す。重荷になる多額の賄賂に藩が割れる中、領民からの信頼の篤い江戸家老・大藤主水は苦悩の末、忠義を貫き隆興を支持。一方、反隆興派は藩を守るべく主水の暗殺を企んだ。そこに、風烈与力の青柳剣一郎は密かに主水の警護を依頼され…。
莫大な賄賂の金策に走る彦崎藩江戸家老の大藤主水が、刺客に襲われた。護衛の風烈与力・青柳剣一郎は主水を守り抜くが、賊の手際のよさに疑問を抱く。やがて反隆興派の内通者の存在が判明、諌めることで藩はまとまったかと思えた。だが、藩の特産品支配を狙う者の暗躍が…。武士にとって真の忠義とは。緻密な陰謀の真相究明に、剣一郎が江戸の町を疾駆する!
“メフィスト病院”の患者財宝八州美が脱走。鉄壁の監視網を破ったのは、彼が創った“永久機関”の力だった。潜伏した財宝は、早速復製を作るが盗難に遭ってしまう。直後、死亡した老人湯間嘉次郎が、孫めぐみの友人が持ち込んだ円筒形機器の力で甦る。この小型メカこそ、消えた“機関”だった。メフィストは不死者が氾濫する事態の収拾に動くが、“機関”が放つ熱量は“新宿”を不安と恐怖に陥れてゆく…。やがて狂乱のメカ争奪戦に米国最強の特務機関が参戦した時、“亀裂”に大鳴動が!?人類が手にした究極の力に“魔界都市”が下す審判とは?長編超伝奇小説。
東京の製菓メーカーで企画職として働いていた29歳の聡美が久しぶりに故郷に帰ってきた。実家を出たことがなくずっと田舎暮らしの三つ下の妹・愛美は、この機会に姉の家で都会の暮らしを楽しんでみたいと思い立つ。部屋を貸すことを嫌がる姉や困惑する婚約者を説き伏せて、愛美は東京に発つが、聡美の家で姉の恋人と遭遇。プライドが高く向上心の強い姉の突然の帰省を訝しんでいた愛美は彼に探りをいれてみることに。聡美が実家に帰ってきた本当の理由とはー?自分を見つめ直す二人の物語。
栂野真琴は浦和医大の研修医。単位不足のため、法医学教室に入ることになった。真琴を出迎えたのは法医学の権威・光崎藤次郎教授と「死体好き」な外国人准教授キャシー。傲岸不遜な光崎だが、解剖の腕と死因を突き止めることにかけては超一流。光崎の信念に触れた真琴は次第に法医学にのめりこんでいく。彼が関心を抱く遺体には敗血症や気管支炎、肺炎といった既往症が必ずあった。「管轄内で既往症のある遺体が出たら教えろ」という。なぜ光崎はそこにこだわるのかー。解剖医の矜持と新人研修医の情熱が、隠された真実を導き出すー
都内某所で、IT企業経営者の毒殺死体が相次いで発見される。警視庁捜査一課殺人犯捜査第二係所属の入間(イルマ)祐希は、関係者の証言からIT企業「シェヴロン・グループ」代表取締役・佐伯亨に目をつける。だが、尾行中に何者かが佐伯を襲撃、猛追するイルマと激しいカーチェイスに。襲撃犯は中国黒社会の刺客、「低温」だった。命拾いした佐伯は、「蜘蛛」に接触し…。肥大化する暴君・佐伯、殺人機械・低温、正体不明の生ける屍・蜘蛛。己の鋭い嗅覚がイルマを導いた先は、都会の戦場だったー。型破りな女刑事が牙を剥くアクション警察小説、誕生。
「自分で引き籠ってるの。外に出るのが怖いから…」風俗嬢の奇妙な告白に戸惑う悪漢刑事佐脇。彼は若き市長の収賄容疑捜査のため、眞神市にいた。一方的な逮捕に地元有力者と県警の癒着を疑う佐脇。だが、風俗嬢の言葉が切っ掛けのように、産廃処理場予定地で白骨死体が見つかり、女性の連続失踪事件も浮上する。そして捜査を進める佐脇も標的にされ、絶体絶命の危機に!
“最もすぐれた殺人方法を示した者に大金をやる”空別荘に集められた四人に男は提案した。初対面の四人には共通点があった。それは殺人を犯し、逮捕されなかったということ。すなわち、「完全殺人」の成功者たちだった。凶器の消し方、アリバイ工作、動機の隠蔽、四人は自らの犯罪を語り始めた…。完璧な殺人とは?そして奇妙な提案の真意とは?サスペンス傑作集登場!
「オンナニ…ウシク…」都内の神社で胸を刺された商社マンは、奇妙な言葉を遺して息絶えた。直後、その第一発見者である女子大生が、金沢の名勝兼六園そばの「美術の小径」で謎の転落死を遂げる。二つの事件に繋がりはあるのか?興味を抱いた名探偵・浅見光彦は北陸の古都へ飛んだ。やがて、「紬の里」で事件解決の糸口を掴むが…。旅情溢れる推理傑作!
愛する女が他の男に抱かれると異常な悦びを覚える白鳥。脳内の友から逃れようと、酒に溺れるロック狂の逸馬。醜貌の蜂村は部長の肩書きで女を誑かしては教祖のように振る舞い、茂吉は一族の宿命に縛られる。世間から蔑まれ生きるエロ本出版社の男たちは、欲と自意識に囚われ、やがて凄まじい一撃を炸裂させるー。著者が編集者時代と決別すべく描いた、超弩級の物語!
中年作家の竜二は三年前に帰郷。過去の作品の印税で、ネコと一緒にのん気なその日暮らし。静かな毎日だが、竜二の目には数々の人間ドラマが映る。コンビニで出会った女の、笑顔の裏にある秘密。休業中の店への客からのアツい落書き。時に切なく、時に思いやりに溢れた一つひとつの出来事に、想いを巡らす。だが転機は訪れ…(「A DAY」より)ほんのりと人の心を浮き彫りにする作品集。
織田信長に最も頼りにされ、かつ最も恐れられた漢、魔羅賀平助。その手柄は戦国の世に響き渡る。だが、女に優しい平助は、伊豆で房州里見の女忍びに捕らえられてしまう。猛将北条綱成の暗殺をもくろむ女は、協力しなければかつて平助が情を交わした遮那姫の娘を殺すという。夫婦を装って綱成と遮那姫がいる玉縄城を訪れた平助は、思いもかけない事実を知るがー。