出版社 : 祥伝社
友右衛門が市中引廻し、斬首のうえ晒し首にされた。「おとっつあんは無実なんです」お弓の悲痛な叫びに、親子と親しい青柳剣一郎の胸は痛んだ。一度下された裁きは撤回されない。だが、もし冤罪だとしたら?奉行所で孤立しながらも再捜査する剣一郎。一方、お弓の兄も人殺しの濡れ衣を着せられる。兄の斬首執行が刻々と迫るなか、真相究明に剣一郎が奔走する。
一流商社をリストラされ北海道の故郷に帰ってきた川崎恭子。失意の彼女が目にしたのは、さびれた町の風景だった。若者は町を去り、シャッターを閉めた店ばかり。このままでは、町にも自分にも明るい未来はない。そんな恭子が地元の水産試験場で虹色に輝く不思議なししゃもと出会う。その味の素晴らしいこと。「虹色ししゃもで町おこしだー!」恭子は売り込みに奮闘するが…。
各国の傭兵たちを陰でサポートするーそれが「傭兵代理店」である。東京で密かに運営される代理店に、藤堂浩志が訪れた。元刑事の彼は、ある殺人事件の犯人を追い傭兵部隊を渡り歩いていた。あれから十五年、事件はすでに時効だが、彼の帰国を待っていたかのように異常殺人が再発、謎の刺客が現われた!やがて背後に浮かび上がった、防衛省と政府要人の陰謀とは。
俺は絞殺された。よりによって世界で一番嫌いな男、バイト先のバーのマスター・別所にだ。だが、なぜか俺の魂は昇天せず、よりによって別所の体に飛び込んでしまった。俺は自分を殺した罪で捕まってしまう!?そんな不条理な!俺の死体を呆然と見つめる俺。しかしその頃、俺を追い込むもう一つの殺人が起きていた。その容疑者が別所なのだ。別所のアリバイを証明すれば俺は殺人で捕まってしまうし、結局真犯人を見つける以外には窮地を脱する道はない。果たして俺は俺を救えるのか?「小説推理」新人賞受賞の新鋭が挑む、傑作絶対絶命・無理難題ミステリ。
「週に五日、黒部峡谷を往復しています」宇奈月に住む須笑子という女性からの手紙に興味を抱いた旅行作家・茶屋次郎は現地を訪ねた。そこで、須笑子の恋人が黒部峡谷で行方不明となっていることを聞く。知り合った便利屋の父娘と捜索を始めた矢先、谷底の絶壁で宙づりになった恋人の遺体を発見。自殺か他殺か?登山経験のない彼がなぜそんな場所で?茶屋は調査を開始するが、今度は須笑子が失踪した。彼女の身に何が!?立山黒部を舞台に描く旅情ミステリーの傑作。
錺職人の夫が急逝し、義理の子供たちから家を追い出されてしまった後添えの八重。先妻の子・おみちと日本橋堀江町に引っ越して小間物屋を開いた。血のつながりはないが、実の親子のように仲の良い二人。新しい生活は希望に満ちていた。しかし、向かいに岡っ引きでも手を焼く猛女のお熊が住んでいたからたまらない。しかも、この鼻摘まみ者の息子におみちが気のある様子。頭を悩ます八重のもとに、自分たちを追い出した義理の息子が金の無心に現われて…。
二人の制服警官が悪徳宗教団体の裏金運搬車を襲撃!しかし、彼らは本物の警官ではなかった。鑑識、盗聴、銃撃など、本職顔負けの技を持つ警察愛好家サークルの一員だったのだ。ただ警察が好きなだけの善良なオタクたちがなぜ強盗を!?現金奪取は成功するが、直後に仲間の息子が誘拐される。カルト教団の逆襲と闇金組織の暗躍、そして謎の誘拐犯…。事態は混迷を深め、騒動は思惑を超えて拡大した。本格ミステリ界注目の気鋭が描くノンストップ・エンターテインメント快作誕生。
「アガルタの秘宝・双魔玉は超古代の破壊兵器だ」。今、明かされる衝撃の事実。それは世界の破滅を狙う魔人の手に落ちた。南米の密林奥地で、その力を起動せんと秘儀が始まる。悪魔の陰謀を阻止すべく、冒険児・伊集院従吾は、一九二四年、異端の変人学者、危険な金髪美女と爆弾娘とともに、大アマゾニアへ。折りしも、因縁の米海兵隊の猛者、赤軍の剛腕将校も同地へ潜入した。強敵・鉄仮面の教授、そして少年に憑依した暗闇公爵を倒せるのか?緑の魔境へ、従吾、最後の大冒険。
「あの二人は、本当の夫婦ではありませんね…」ベテラン警部・藤之木秀夫の言葉に新米刑事の三尋由香里は驚いた。猪苗代湖畔で発生した心中事件の再捜査の過程で「AIZUマウントエクスプレス」に乗り換えた二人。退官間際の藤之木がその車中で偶然接触した老夫婦に対して感じた些細な違和感が、やがて猪苗代湖夫婦心中、北千住夫婦焼死事件と結びついていく。
大坂夏の陣から七〇年、天下は徳川綱吉の下、泰平の世にあったが、御三家のひとつ紀伊徳川藩で覇権奪還をうかがう者がいた。大番組頭・加納平次右衛門である。彼こそ大坂夏の陣で死んだとされる真田大助の孫・幸真であった。豊臣秀頼とともに炎上する城を逃れた大助は紀州に潜み、虎視眈々とその時を待っていたのだ。ついに豊臣の血を引く若君が誕生。幸真の策略は動き出したのだが、その前に立ちはだかる敵が…。真田一族の悲願は成るのか!?豪剣、秘剣、忍術が入り乱れる興奮の時代小説。
「また悠太がやったんか…鬼っ子めが」。除霊で徳島・祖谷渓を訪れた陰陽師・石田千尋は、突如発生した山火事の際、禍々しい噂を耳にする。この一年、材木の崩落や燃料輸送車の横転事故など大事故が相次いだが、現場には必ず悠太がいたのだ…。少年の血にまつわる背景と歴史が明らかになり、真相が圧倒的な感動を呼び覚ます。大型新人が描く、壮大なる魂の救済の物語。
「生身の女の方が、ずっと良いんだよ」春画の摺物屋で働く藤介は、未亡人となった美貌の女将、深雪にいきなり迫られ、頭のなかが空っぽになった。まして、手すさびの現場を見られた矢先のこと。憧れていたとはいえ、大恩ある亡き主の妻である。いまだ女体に触れたこともない藤介は、滾り立つ欲望に抗しきれず、やがて…。大好調!睦月時代官能、絶頂の最新刊。
東京郊外のビル地下にあるバー“ざばずば”に集う男女5人。脳溢血で急逝した愛すべき酔いどれ作家・アール柱野を偲び、彼の馴染みの店で一晩語り明かそうという趣旨の会合だった。だが、突如身元不明の死体が目の前に転がり出たところから、5人に疑心暗鬼が生じる。殺人犯がこの中にいる!?翌朝まで鍵をかけられ外に出られぬ密室の中、緊張感は高まっていく。しかし5人には、それぞれ、出るに出られぬ「理由」があったのだ…。ミステリ界期待の大型新人が放つ傑作長編。
悪名高い豪商だけを狙い、誰も傷つけぬ。盗むのは五百両以内。七福神の面を着けた七人の盗賊は義賊として庶民に歓迎された。風烈廻り与力青柳剣一郎は、御奉行から七福神捕縛の厳命を受けた。そんな折、辻斬りに殺された男が一味の一人と判明。さらに七福神が次々と消されていく。誰が何の目的で?青痣与力の人情裁きの剣が冴える、人気シリーズ第五弾。
私立探偵・新堂武彦が心疾患で急死した。警視庁特殊捜査室の柏木雅彦警部補は、元同僚の死を訝しむ先輩刑事と彼が亡くなった病院へ向かう。被害者の霊と会話が出来る柏木は、新堂が死ぬ直前、担当医の医療詐欺を探っていたことを聞き出す。口封じのための殺し?新堂の秘めた想いまで知ってしまった胃弱な柏木クンが捜査にかけ回る!見守るのは可愛い女子高性の幽霊。やがて院内の巨大犯罪が浮上して…。捜査室の個性あふれる面々も加わって面白さますますパワーUP、待望の第2弾。