出版社 : 祥伝社
青柳剣一郎と剣道場で同門だった浦里左源太は、陸奥の藩に仕え幸せな家庭を築いているはずだった。ところが左源太の零落した姿が江戸で散見され、首をざっくりと斬られた武士の死体が見つかる。それは絶命剣という恐るべき技で、左源太がまさに体得しようとしていたものだ。何故家族を捨て、刺客となって帰府したのか?風烈廻り与力の剣と人情が冴える傑作。
慶長三年、天下人・豊臣秀吉が歿し、時の流れは徳川家康のものとなった。仕官への誘いを辞し、古河公方氏姫と静かに暮らす風魔の頭領・風間小太郎は政権基盤を固める家康にとって最大の脅威であった。徳川忍び衆を率いる稀代の謀士・柳生又右衛門に、風魔狩りの命が下るー。氏姫を護るため、小太郎は古河の地を離れ徳川の本拠・江戸へ向かった!風魔の地・箱根山塊に風雲、急ー。勝利するのは剣の極意か?徒手空拳の技か?乱世の英雄を活写した痛快時代小説。
売れない作詞家の加勢淳一郎は、四十九の時に離婚し独り暮らしをはじめた。ところが、そこから急に女性にモテだした。性格も暗く、気難し屋に見えるのになぜか?女運がよくなるにつれ、時代に合わなくなったといわれた仕事でも、ヒットを飛ばしはじめる。音楽家、人妻、OLと、貞淑から淫乱まで様々なタイプの美女が集まる、熱き男の日々。
長患いしていた薬種問屋の一人息子藤吉は、手すさびを覚えたことですっかり元気になった。おまけに女性の淫気の強弱がわかるという、奇妙奇天烈な能力が身についたのだ。ある日、病に伏すお武家のご新造を見て、原因は淫気の高まりと看破した藤吉は、按摩で気を解放させた。するとご新造が乱れだし…。好奇心旺盛な童貞と妖艶な美女たちの、めくるめく時代官能。
久しぶりに開かれる大学の同窓会。成城の高級ペンションに七人の旧友が集まった。(あそこなら完璧な密室をつくることができるー)当日、伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。何かの事故か?部屋の外で安否を気遣う友人たち。自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた。しかし、参加者のひとり碓氷優佳だけは疑問を抱く。緻密な偽装工作の齟齬をひとつひとつ解いていく優佳。開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった…。
「二十両をけえし終わるまでは、大川を渡るんじゃねえ。一歩でも渡ったら、始末する」博徒の親分との命がけの約束。大工の銀次は、永代橋の前で動けなくなった…。博打にはまり、仲間の家庭まで潰した銀次は、懊悩しながらも、日本橋の老舗呉服屋の手代として新たな人生を歩む。だが、渡れぬ川を越えねばならない出来事が!直木賞作家が描く感涙の時代長編。
闇に悲鳴が轟いた。南町与力の青柳剣一郎が駆けつけると、別れたばかりの同僚が斬殺されていた。これが、八丁堀を震撼させる与力殺しの幕開けだった。さらに二人、三人と与力ばかりを一刀のもとに斬り伏せる居合の達人とは何者か?風烈廻りから急遽探索の長に抜擢された剣一郎だが、息子の剣之助までが囚われ、絶体絶命の窮地に!人気シリーズ第三弾。
十八年ぶりに江戸の土を踏んだ浪人・生田嵐峯。かつて気鋭の漢詩人として活躍しながら、姦通の濡れ衣を着せられ出奔し、流浪の旅を続けていたのだ。詩を捨て、剣の道を選んだ嵐峯は、過去の真相を探り始める。その矢先、謎の刺客が来襲、背後に秋田藩の御家騒動をめぐる陰謀が浮上してきた…。ナポレオン騎兵の洋剣を打刀拵した直刀をたばさむ異端の剣士、見参。