出版社 : 筑摩書房
武士を捨て、鉄扇ひとつを身に帯びて二代目米造がゆく。有名料亭の娘の不審死を追う米造に襲いかかる江戸の闇。強欲な与力、衆道狂いの札差、謎の浪人、山伏くずれの博徒…好評の捕物暦、最新作。
68年世代のポールは、まばゆいばかりの美しい富豪令嬢と出会い、結ばれる。写真家としても大成功をおさめた幸運な日々…そこに突如、すざまじい悲劇がつぎつぎと襲いかかる。ミッテラン大統領も登場、マラソンの円谷選手の哀切な死が綴られたり、スリルいっぱいの展開と絶望のさい果てのペーソスが胸をえぐる、フランスでベストセラーの話題作。
甘い、記憶。「新しい龍を彫りました」すべてはそこから、始まったのかもしれない。明日の延長線上に未来があるとは限らない。だから-。第21回太宰治賞作家による、恋愛以上の物語。運命に断ち切られた恋を描く短篇小説「ことり心中」同時収録。
『名短篇、ここにあり』では収録しきれなかった数々の名作。人間の愚かさ、不気味さ、人情が詰った奇妙な12の世界。舟橋聖一「華燭」、永井龍男「出口入口」、林芙美子「骨」、久生十蘭「雲の小径」、十和田操「押入の中の鏡花先生」、川口松太郎「不動図」、吉屋信子「鬼火」、内田百〓(けん)「とほぼえ」、岡本かの子「家霊」、岩野泡鳴「ぼんち」など。文庫オリジナルでご堪能下さい。
本の目利き二人の議論沸騰し、迷い、悩み、選び抜かれたとっておきのお薦め短篇12篇。半村良「となりの宇宙人」、黒井千次「冷たい仕事」、小松左京「むかしばなし」、城山三郎「隠し芸の男」、吉村昭「少女架刑」、吉行淳之介「あしたの夕刊」、山口瞳「穴」、多岐川恭「網」、戸板康二「少年探偵」など、意外な作家の意外な逸品、胸に残る名作をお楽しみ下さい。文庫オリジナル。
フランクザッパ・ストリート再び!動物と人間たちが暮らすファンキー&ポップな街の物語。待望の続編。ニューキャラ、占い師のムイちゃんと、二人の男の子の恋の行方は?ペンギンのグレース・ケリーが生んだ卵の父親は誰?スーパーモデルのパンダのワイワイは、実はサンタクロースだった?…ここでは、誰もがひたすらに愛を信じて生きている。そうすれば、ほらね。行き着く先は、きっと、とびっきりの幸福。
フランクザッパ・ストリートで暮らす人間と動物が繰り広げる、ほのぼの楽しく、ちょっぴりせつない物語。恋愛あり、友情あり、食欲あり!キャラクターたちもキュートで魅力的。映画監督志望のハル、ウェイトレスのミミ、アイスクリーム屋のペンギン・グレース、女の子にモテモテのパンダ・ワイワイ、謎のパカラナ兄弟…そのほかにも、いっぱい。誰もが伸びやかに生きている。そして、もちろんHAPPY ENDING!ファンキー&ポップな街へようこそ。
「その日も、呼び鈴は、いつにもまして、権力的に鳴った。その瞬間、わたしは神経を逆なでされ、理由もなく押したひとに反感を抱いた」(「隣人鍋」)。日常と非日常との、現実と虚構との、わたしとあなたとの間の一筋の裂け目に、ある時はていねいに、ある時は深くえぐるような視線をそそぐ。「島と鳥と女」「青いインク」「げんじつ荘」「風のリボン」など、15の短篇を収録。
誰かを好きになって、恋をして、一緒に暮らす。そこには、たくさん喜びや悲しみ、想いの襞が重なりあっている。夫と娘と初詣に行く日常を得るまでの、恋愛と仕事に戦う日々を描く表題作「家内安全」のほか、「ゆっくり進む船が行く」「鉄紺」「ぬるぬる」、平間至の写真から生まれた「ショートストーリーズ」など、いずれも、恋をする心と体を、まっすぐに見つめた小説集。
「分別」のある姉エリナーと、「多感」な妹マリアン。エリナーが思いを寄せるエドワードは、ぱっとしないが誠実な青年。マリアンが激しい恋をするウィロビーは、美貌と気品を兼ね備える情熱の男性。この似合いのカップルに、それぞれ不似合いな人物が複雑に絡み、姉妹の結婚への道は紆余曲折する。19世紀英国の田園を舞台に繰り広げられる恋愛小説の傑作。初の文庫化を読みやすい新訳で実現。
道化者、悪戯者、詐欺師、暴力の化身、色欲魔、純粋少女ーこれらのトリックスターたちが、中国の五大長篇小説『三国志演義』『西遊記』『水滸伝』『金瓶梅』『紅楼夢』の物語世界において、どんな役割を果たしているかをたどり直す。
誰かを好きだと言ってしまいたくて、誰かを嫌いだと言ってしまいたくて、でも、それがとても恐いことを招きよせてしまうような気がしてー。甘えと優しさが毀れると、その向こう側には闇と憎悪がぽっかり口をあけている。サイモンとガーファンクルの名曲にのせて、80年代の「青春」の重さを描く15の物語。
今では「古典」となりつつある鴎外の名高い短篇小説『舞姫』を井上靖の名訳で味わう。訳文のほか、原文・脚注・解説を付して若い読者でも無理なく読める工夫を凝らした。また資料篇として、ベルリン留学時代の鴎外や「舞姫」エリスの謎についてなど、作品の背景を探る代表的文献を紹介。読みごたえのある名作をさらに深く味わえる一冊。