出版社 : 草思社
ロベルト・ムージル「愛の完成」「静かなヴェロニカの誘惑」ムージル著作集版を底本とし、世界文学全集版「解説」、岩波文庫版「訳者からの言葉」を併録。ライナー・マリア・リルケ「ドゥイノの悲歌」『詩への小路』で試みられた散文訳「ドゥイノ・エレギー訳文」全十歌を収録。神秘主義、象徴主義の極北を、論理と音韻が共振れする日本語に移した圧倒的訳業!
私は見つけた。自分たちのしたいことをした女たちを。四十代、独身、子なしの女性作家は、探検家やルネサンス期の画家ら、理想の女たちを追い求めて、アフリカ、イタリア、日本を旅する。『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』に続く長編紀行エッセイ。
古希を過ぎても恋に萌える男女、犬も食わない(?)老年夫婦の秘密、 驚くべきイマドキ家族の実態、高齢者ならではの本音の友情物語、 いるいる&あるあるシニアの加齢な日常……。 身につまされる! いるんだ、こんな人! 読みだしたら止まらない、 あなたのまわりにもありそうな39の人間模様。 シニア向け老年エッセイで人気を博す著者、渾身の超短編小説集! 第1章 老い萌え 狙われる男 会話がお下手 ばば殺しトーク 老い萌え キャッツ愛 喫茶店のおしごと 第2章 夫婦の道すじ 待たれる男 かあさん、ごめんな 令和箱男 菜園ばなし 〈お昼〉というタタカイ 死んでしまえば最愛の人 第3章 家族哀歌(哀歌にルビ・エレジー) 愛しき娘よ孫よ 甘えん坊将軍 孫に愛されちゃう法 嫁天下 介護脱毛 嚙みつき亀子ちゃん 親孝行も金次第 御役御免 使い捨てばあちゃん 第4章 今日の友は明日の友? 真っ黒アドバイス ライン下り 犬の本心 新しいおともだち 10匹狼さようなら 選手交代 同窓会ほらー 第5章 ときは流れて たどり着かない帰れない こわいものなし もしかしたら、私…… 実家どうなる おれは、ばばドル 切れかけ絆 根くらべ 固く辞退します もの思う朝 今日も平穏無事 強引ぐ まいうえー
リス、ミツバチ、キツネ、とリ…コテージにあふれるさまざまな生き物たちの「言葉」を、詩人の感性で編んで生まれた、自然と生命への思索。アウグスト賞受賞のスウェーデンの巨匠がおくる、北欧版『森の生活』。
山東京伝や恋川春町らで世を沸かせ、歌麿を磨きあげ写楽を産み落とした江戸随一の出版人・蔦屋重三郎。出版者であり編集者であり流通業者であると同時に、流行を仕掛け情報を発信する辣腕メディアプロデューサーでもある。そして何より、新しい才能を見出し育てあげて世に出し、江戸の日本の文化を変えた巨大な創造者でもあった。時に為政者の弾圧にあいつつ「世をひっくり返す」作品を問いつづけた稀代の男の波乱の生涯を、江戸の粋と穿ちが息づく文体で描き切った渾身の時代小説!
山東京伝や恋川春町らで世を沸かせ、歌麿を磨きあげ写楽を産み落とした江戸随一の出版人・蔦重。出版者であり編集者であり流通業者であると同時に、流行を仕掛け情報を発信する辣腕メディアプロデューサーでもある。そして何より、新しい才能を見出し育てあげて世に出し、江戸の日本の文化を変えた巨大な創造者でもあった。時に為政者の弾圧にあいつつ「世をひっくり返す」作品を問いつづけた稀代の男の波乱の生涯を、江戸の粋と穿ちが息づく文体で描き切った渾身の時代小説!
1947年以来、現在も日本の中学国語教科書に掲載されている「少年の日の思い出」の新訳を中心に青春小説の傑作「美しきかな青春」など、全四作品を集めたヘッセの青春短編集。『車輪の下』と同時期に書かれ、甘く苦い少年時代、青年時代への追憶が詰まったヘルマン・ヘッセ独特の繊細で美しい世界が描かれる。
1961年に亡くなるまで書き続けられ、未完となっている中篇小説「チューリップ」を中心とし、初期の文芸作品風の短編も収めた小説集。ハードボイルド小説の日本での紹介者・小鷹信光個人訳に、評論・解説を付した本。
慶応元年、第二次長州征討のため大坂に進発した徳川十四代将軍家茂のお供を任じられた仲良し御家人四人組、弥次郎・喜多八・筒なし・関兵衛は、開戦の遅れをよいことに一年以上も大坂で美食、遊郭通い、観光と遊び呆ける始末(『在京在阪中日記』)。その後、長州、鳥羽伏見、上野、日光、会津、箱館へと続く維新の戦乱に厭々従軍させられ、死の恐怖に怯えつつも持ち前のノーテンキさで行軍してゆくー。幕府滅亡を象徴する“戦意なき”幕臣たちの生態を史料と想像力で復元した傑作幕末小説。単行本『幕末不戦派軍記』所収の五編と『幕末伝説』所収の鳥羽伏見編を合本した決定版。
クリスマスシーズン、メイシーズ百貨店の特設会場「サンタランド」でアルバイトしたデビッド。彼が見たのは、おかしくてアホっぽくてみっともなくて、でも切なくて少し哀しく愛おしい人間たちの素の姿ー。著書累計700万部以上のベストセラー作家のデビュー作である表題作をはじめ、クリスマス短編6篇をおさめた傑作集。
作家を志す孤独な青年が、断絶していた親の死、友人の死をへて、しだいに生きることの意味に目覚めてゆく。生きとし生けるものすべてを懐に抱く、作者タマーロの深いまなざしに満ちた自伝的長篇。
パリ郊外、低家賃団地が建ち並ぶ街サルセル。団地の人びとは誰もが鬱屈した思いを抱き、少しずつ常軌を逸していた。異常なまでに秩序にこだわる刑事シュナイダー、二重人格のその妻フランス、1日中、ラジオやテレビをつけっ放しにしている「ニュース狂い」の青年、九官鳥に人種差別的な言葉を教えこむ老人、巨大な双頭の鯉と格闘する下水道の掃除人、そして軍隊からごっそりと手榴弾を持ち出した志願兵のジャン・イヴ。パリの街に次々と手榴弾が炸烈する。事件を追うシャナイダー刑事の胸に抑えがたい暴力への衝動が突きあげる。そして妻のフランスの心の中では、別人格「娼婦のマギー」が死に、「ブラッディ・マリー」が現れる…。病めるフランスの現代社会を映し出した衝撃の作品。仏ミステリー批評家大賞受賞。
春も浅い「ミ=カレーム」の祭りの季節。北仏アズブルックに、かつての恋人の消息を尋ねて一人の男がやって来る。だが、二人の再会の場は痛ましい殺人現場と化した。放心し、恋人の死体に見入る男。かたわらには、カーニバルの巨人人形が撃ち抜かれた眼窩をさらして横たわっていた。男はカダン刑事に逮捕され、「精神錯乱」と診断を下される。1年後、男はジョン・レノンの『イマジン』のテープに吹き込んだ告白をカダン宛てに残して、精神病院で自殺した。はたしてその告白は、真実なのか妄想なのか。単身、再捜査に乗り出したカダン刑事の前に、やがて複雑にからまった事件の全貌が浮かぶ上がってくる。社会から転落し、犯罪に巻き込まれてゆく若者たちの姿を描き出した、哀感漂う作品。
1961年10月17日、パリでは大規模なアルジェリア人デモが繰り広げられていた。高校教師のロジェ・ティロは、身重の妻が待つわが家まであと一歩のところで、デモに遭遇する。歩道にたたずみ、機動隊とデモ隊が烈しくぶつかりあう光景を茫然と見つめる彼の背後に一人の男が近づく。機動隊の制服を着たその男は、ロジェの頭を押え込むと、右のこめかみにブローニング自動拳銃の銃口をあて引き金を引いた。20年後、ロジェ・ティロの息子ベルナールが恋人とともにフランス西南部の町トゥールーズを訪れ、公文書館を出た直後、何者かに射殺される。父と子の不可解な死を結ぶ手がかりは何か。事件の捜査に着手した辣腕の刑事カダンは、フランス現代史の闇に葬られていたある驚くべき事実に直面する…。