出版社 : 講談社
冬のヴェネツィア、華やかなパーティのさなかに起きた奇妙な殺人事件。偶然目撃者となってしまった日本人留学生藍川芹は、やがて事件の関係者からの招待状を受け取る。北イタリア山中の巌上にそびえる“聖天使宮”。未公開の美術品に満たされた巨大な正五角形の宮殿を所有するのは、謎めいた伝説に包まれた美しい一族の末裔だった。心ならずもそこに滞在することとなった芹の前に、勃発する凄惨な連続殺人。一族の過去に揺曳するナチズムの影。車椅子の少年に導かれて、絢爛たる地獄を巡る女主人公が最後に見たものは-。
山体の膨張、低周波地震の増加、二酸化硫黄濃度の上昇、動物の異常行動、地下マグマの活性化…。富士山の直近の噴火は宝永四(一七〇七)年。それから三百年近くが経ち、富士山は今、三百年分のエネルギーを蓄えている。
冥府の淵に咲く花“あやめ”。その甘い馥りが妖しく誘う。腐敗していく“鰈”の重さ。酩酊と覚醒のレールを地下鉄は走る。白い肉の深部の“ひかがみ”。その魔がすべてを食らい尽くす。生と死の間に存在する恍惚のエロス。その果てのない闇に迷いこみ、帰途を絶たれた三人の男。
この作品は、四百万部を超える人気シリーズ、青い鳥文庫『クレヨン王国』の著者が、イメージ豊かに児童書を生み出してくれた熱海の自然に感謝して、山や海、植物や野鳥たちを中心にしたものを書きたい、書かねば-という思いから生まれた。児童書では表現できなかった、作者の自然に対する深い思いと、老いと向かい合う生き方を、爽やかに描いた作品。
華道界の連続殺人 浅見光彦は京都へ! 国際生花シンポジウム開催中の京都で、雑誌記者が殺された。仕事を引き継いだ浅見光彦だが、目の前で第2の殺人が。500年の伝統を持つ華道家元の封印された秘密とは。 15歳の娘・奈緒をめぐる後継争い、異端の天才華道家との確執も絡む華麗なる連続殺人に、浅見は挑む。記念すべき傑作長篇。第100作!
堀江敏幸の文章は、いろっぽいのだ。--川上弘美(「解説」より) 芥川賞受賞作 「なんとなく」という感覚に支えられた違和と理解。そんな人とのつながりはあるのだろうか。 フランス滞在中、旧友ヤンを田舎に訪ねた私が出会ったのは、友につらなるユダヤ人の歴史と経験、そして家主の女性と目の見えない幼い息子だった。 芥川賞受賞の表題作をはじめ、人生の真実を静かに照らしだす作品集。 ヤンはそこでふいに立ち上がってレンジのほうへいき、やかんを火にかけ、そのままなにも言わず2階にあがって、大きな写真立てを持って下りてきた。私にそれを差し出し、もういちどレンジに戻って火を調節しながら、珈琲か紅茶かと訊いてくる。(「熊の敷石」より)
報道番組『ナイン・トゥ・テン』に売春の元締めとして登場した女子高生が全裸で首を吊った。恋人を番組に殺されたと訴える青年八尋樹一郎の姿は、ライバル局の視聴率を跳ね上げた。メディアが生んだ一人のカリスマ。その邪悪な正体に気づいたのは、砦を追われたテレビマン達だった。『破線のマリス』を超える衝撃。
「悪夢を見るなら今のうちだよ」と誰かがおれの耳元でささやいたー。「悪魔の館」と呼ばれる家に入り浸るジャンキーたち。アルコールをはじめ、睡眠薬、咳止めシロップなどの中毒者たちが引きおこす悲喜劇を濃密に描いた衝撃作。そして、今夜も言葉のイメージが怒涛のように、混濁した脳裡に押し寄せてくる。
「零崎一賊」-それは“殺し名”の第三位に列せられる殺人鬼の一族。その長兄にして切り込み隊長、“二十人目の地獄”にして奇怪な大鋏“自殺志願”の使い手、零崎双識が赴いた行方不明の弟さがしの旅は、未曾有の闘争劇の幕開けだった!息をもつかせぬ波乱の向こう側に双識を待つものは…!?新青春エンタの最前線がここにある。
五年生の夏休み、洸は物心がついてから一度も会っていない祖父・白木義明の住む茶木村で過ごすことになった。アサギマダラという蝶が群れとび、鍾乳洞があり、豊かな自然が残る村には、山を守る“テツ”がいるという。「茶木牧場&白木万能学研究所」なる看板をかかげた祖父は、あらゆることの先生として、村民から尊敬されていた。だが、なにか皆に秘密にしていることがありそうだ。村にかくされているという宝と関係があるのか…。ある日とつぜん祖父が姿を消した。茶木村を観光地化しようと前村長の不良息子が会社社長となって戻ってきたのと、関係があるのだろうか。彼の真の狙いは村の宝にあるのでは…。
匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物-箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物は落とせるのか!?日本推理作家協会賞受賞作。