出版社 : 講談社
英雄色を好む、という。だが、色を好むために英雄をめざす男もいる。信長の妹・お市の方の美貌に魂を奪われた瞬間から、名もなき軽輩の天下取りへの夢は始まった。巧みな弁舌と憎めぬ猿面の陰の冷徹な権謀術数。ライバルを蹴落とし、敵同士を反目させ、はては本能寺の変をも演出した希代の謀略家・秀吉。確固たる歴史眼と人間洞察力をもとに、無類の想像力で描く風太郎版太閤記の魅力。
バブル崩壊後の銀行業界は、いま未曽有の危機にみまわれている。都心の支店長を命じられた片岡史郎は、あらためて士気の高揚、過剰融資の点検に追われる身となった。そこへ融資予定先の醜聞が耳に入る。どうしたものか。娘の登校拒否という家庭の悩みを胸に秘め、再建にむけて苛烈に闘いぬく男のドラマ。
公正取引委員会の審査官伊田は汚職の嫌疑をかけられた。何者の策略に嵌り事件に巻き込まれたのだ。ある所からの誘いによって彼はフィリピンへ行くことになる…。ODA(政府開発援助)プロジェクトに関する談合事件をマニラで調査する伊田の身に危険が迫る。期待の乱歩賞作家が放つ長編推理サスペンス。
モスクワ市内の高級住宅地で内務省の高官が殺された。死体から消えた勲章の行方を追っていたジャーナリスト・ニコライは、事件の背後に巨悪の匂いを嗅ぎつけ真相究明に乗り出す。ブラックマーケット、マフィアの暗躍、民営化スキャンダル…新生ロシアの闇をリアルに描く戦慄のサスペンス・スリラー巨篇。
「あーん。なめて…。手抜きしないで」若妻の舞衣子は今日も密会の真っ最中だ。長松部長は日本舞踊家の彼女を後妻に迎えた。だが、舞衣子はまだ若く、女盛りである。当然、夜の生活で60ちかい夫に満足しない。夫の部下、不動産会社の社長など次々に他の男をつまい食いしていく。二人はどうなる。官能ロマン。
名探偵・法月綸太郎に挑戦するかのように起こる数々の難事件。なぜ死刑執行当日に死刑囚は殺されたのか、図書館の蔵書の冒頭を切り裂く犯人、男が恋人の肉を食べた理由など異様な謎に立ち向かい綸太郎の推理が冴えわたる。〈ルーツ・オブ・法月綸太郎〉ともいえるミステリの醍醐味あふれる第1短篇集。 死刑囚パズル 黒衣の家 カニバリズム小論 切り裂き魔 緑の扉は危険 土曜日の本 過ぎにし薔薇は…… あとがき 文庫版追記 「図書館の自由」をめぐって
アンティーク・ショップ「魔法のお店」を訪れた佑一郎と摩由加の目の前で不思議なことが起こった。壁の絵から白いドラゴンが飛び出し、美しい蝶が舞う。いつしか二人は異世界へと導かれていった。摩由加は謎の「銀星石」を運ぶよう依頼される。佑一郎と力を合わせ冒険の旅に出た…。魅惑のファンタジーノベル。
ナニモシテナイ幸福な私がなぜだか自分では気に入らないのだった。十年間ずっと私自身はナニカヲシテキタつもりでいたのだった。-生きていることのリアリティを希求して、現実と幻想の間を往還するモノローグの世界を描いた表題作に加えて「イセ市、ハルチ」の2編を収録する芥川賞作家の第一小説集。
アイオワ州マディソン郡に屋根付き橋を撮りに来たフォトグラファーのロバートは、人妻フランチェスカと出会い恋に落ちた。わずか4日間だけで、愛し合いながらも別れを選んだふたりのはかなく激しい愛の物語。米国では500万部を超える大ベストセラーとなり、恋愛小説の新しい古典として日本でも大ヒットを記録。
ネイティヴ・アメリカンの血を引く祖父のもとで過ごした著者の幼年時代の回想をふくらませた自伝的作品で、チェロキーの少年「リトル・トリー」の目を通して語られる、優しさと痛みとユーモアに満ちた心にしみる物語。1976年に出版され間もなく絶版となったが、後に復刊されて以降じわじわとベストセラーとなり、1991年に第1回「全米書店業協会(ABBY)賞」を受賞。
苦労して夜学に通い昼間はパン屋で働く精神薄弱の陽気な青年チャーリーが、人工的に知能を高める人体実験の被験者になり、やがて彼の知能は超天才の域に達していく。同じ実験を受けた白ネズミのアルジャーノンに彼が見たものは…。人間社会の差別・被差別問題と科学することの意味を、二重人格というテーマに重ね合わせた異色SF。
フォレスト・ガンプはIQが平均より低いが、その純真さと持ち前の俊足のおかげで、不思議な人生を送る。フットボールで優勝し、戦争で勲章を貰い、卓球で世界を制覇し、エビの養殖で財産を築く。しかし、いつも彼が想っていたのは幼なじみのジェニーのことだった。人気俳優トム・ハンクス主演の同名映画は、全米にセンセーションを巻き起こし、1994年度「アカデミー賞」に輝いた。
荒川の河原で中年女性とおもわれるバラバラ死体が発見された。被害者の身元を確認する手段は胃の中に残されたサクランボの茎だけで、捜査は難航する。数ヵ月前に起こった猟奇事件との共通性を認めた十津川警部は困難極まる状況の中、犯人とおもわれる人物を追跡する。異常な連続犯罪を防ぐことはできるのか。
憧れの女性に着せたい一心で華麗な振袖を精魂こめて縫い上げた職人、自分のために公金を横領した若者の釈放に奔走する遊女、逢瀬の翌日は必ず負ける力士の出世を願って身を引く芸者…ここに描かれるのは、私利を顧みず人間の情に生きた悲しく優しい「人情馬鹿」たちだ。美しい風俗と江戸っ子気質が色濃く残る大正期の東京下町を舞台に、人生の達人が共感と愛惜の思いをこめて綴った名作十二話。
仇の子となり奥州藤原氏の栄華を開いた忍ぶ男の戦い。安倍が滅び、出羽の清原一族が治めることとなった奥六郡に藤原経清の妻結有は忘れ形見の清丸とともに留まっていた。清原の嫡子武貞の妻としてである。亡き兄と夫の志を胸に秘め敵方の一族として忍従の戦いを続ける母子の前に源義家が陸奥守として現われる。清原一族の確執が「後3年の役」の嵐を呼び起こす。(講談社文庫) 仇の子となり奥州藤原氏の栄華を開いた忍ぶ男の戦い。 安倍が滅び、出羽の清原一族が治めることとなった奥六郡に藤原経清の妻結有は忘れ形見の清丸とともに留まっていた。清原の嫡子武貞の妻としてである。亡き兄と夫の志を胸に秘め敵方の一族として忍従の戦いを続ける母子の前に源義家が陸奥守として現われる。清原一族の確執が「後3年の役」の嵐を呼び起こす。
妻公認の妾を敷地内のアパートに囲った男には既に三人の愛人が…。さらに新たにもう一人と、夢のような日々のはずが…。女の執念と男の妄想を描く表題作をはじめとして、現実より実感のある不思議な夢に取りこまれ、夢の世界を生き始める男。現実と夢の狭間に入りこんだ男たちの姿を描く異色短篇集。