出版社 : 集英社
ぼくは、都心を少し離れたところに住む、ごく普通の小学生。6年生の始業式。熊のようにでっかい先生が担任としてやってきた。小学生にラグビーを教えるのが信条なんだって。体育はラグビー、国語は詩を覚えて声に出して読ませるだけ。ぼくだって中学受験にそなえて塾にかよっている。クラスにはいじめがあるし、大変なんだ。体当たりのアッシー、先生のあだ名なんだけど。おかげで少しずつクラスの様子も変わってきてさ。ちょっぴりラグビーも好きになってきたし。さて、どうなることやら…。名翻訳家として定評ある著者、初めての小説。
20万の兵、梁山泊軍を襲う 官軍は、禁軍、地方軍、水軍あわせて20万の軍兵を投入してくる。空前の規模の攻撃を、梁山泊軍が迎えうつ。一方、石梯山では魯達らが、傭兵である張清の軍と対峙していたーー。(解説/細谷正充)
平然と人を殺す、悪魔のような女 児童保育施設の保育士だった女性が、25歳年下の夫と焼死した。事件の裏に、ある女の影が浮かぶ。盗み、殺人、逃亡を繰り返して生きて来た女の行き着く先は…。悪の本質を問う長編。(解説/島田雅彦)
「なかなかキュートな足跡なのよ」。恋人が教えてくれた、妖精の足跡の捕まえかた。ぼくが試してみると、本当に歩いた跡が残っていた。そこで、妖精の映像を撮影しようとするが…(「ラブ1からラブ3」)。水没したお台場にできた新国家、廃墟で死を待つ少女、校舎の屋上にある秘密の楽園ー。日常の隣りにある小さな奇蹟を、鮮烈に描いた掌編集。単行本未収録の作品を加えて待望の文庫化。
松の廊下の刃傷で内匠頭は切腹、浅野家はお取り潰し。後室瑶泉院は、夫の墓参に泉岳寺を訪れる。そこに、なぜか吉良上野介の妻・富子の姿が。吉良への憎悪をたぎらせる瑶泉院と、静かな晩年を過ごす富子に降ってわいた夫の危機…。妻心を切なく描く表題作他、小伝馬町牢屋敷を預かる囚獄の家に生まれた青年が出逢った女との「悲恋」など全4篇を収録。実在の人物をテーマにした傑作時代小説集。
自らの誇りのためだけに闘う男たち 元外人部隊の兵士で、今は東京で仮面ノンフィクション作家である圭介のもとに、ある老作家のボディガードの仕事の依頼が舞い込んだ……。誇り高い男の闘いを描くハードボイルド傑作長編小説。
8歳の男の子ジョーダンの祈りは、神様宛の1通の手紙になった。「お願いだからぼくにパパを送ってください」それを託された母のミーガンは、13歳の夏、湖で出会った不思議な少年の言葉を思い出す。当時、両親が別れてしまった彼女に、その少年は、いつか本当の愛にめぐりあうこと、奇跡が起こることを約束してくれたのだ。しかし、それは実現しなかった。それ以来、愛を信じなくなったミーガンは、ある日、セントラルパークのベンチで悲痛な表情をした男性を見かけ、なぜか胸騒ぎを覚える。それは…。『ギデオンの贈りもの』に続く、“赤い手袋の奇跡”シリーズ第2作。“新しいクリスマスの名作”、感動の全米ベストセラー。
ラブホテルで惨殺された、身元不明の全裸女性。それはかつて私が情事を重ねた娼婦なのか?そもそもこの“小説”を書いたのは、誰だ…?奇怪なデビューから10作目、常に進化する作家「藤谷治」の、不敵な企み。
趙安と董万、梁山泊殲滅へと動き出す 官はついに、趙安と董万に梁山泊完全殲滅を命じる。趙安は流花寨に向けて進軍を開始した。同時に董万は、双頭山攻撃を目論む。二人の猛将を、梁山泊軍が迎え撃つーー。(解説/西上心太)
15年ぶりに、しかも誕生日に、部屋に恋人未満の男を招くことになった36歳の由紀子。有休を取り、ベッドの到着を待ち、料理を作って待つが、肝心の山田伸夫が…来ない!表題作ほか、新入りが脱走した相撲部屋の一夜を描く「八十畳」。やもめ暮らしの大叔父が住む、木造平屋に残る家族の記憶をひもとく「私は彼らのやさしい声を聞く」など、“7つのへやのなか”を、卓越したユーモアで描く傑作短篇集。
将来を嘱望されながら、ある事件をきっかけに落ちぶれてしまったピアニスト響子。酒に溺れながら孤独に生きる彼女のもとに、かつて恋人だった透子が戻ってきた。ある日突然、赤ん坊を抱いて。しかし、女同士のカップルと赤ん坊の不思議な関係は、突然の透子の死によって壊れてしまう。希望を失いかけた響子の前に一人の青年が現れたー。切ない愛と新しい家族のかたちを描く、恋愛小説の傑作。
「あなたが天国へ行った瞬間を知ってたわ。だって真夜中にきたわよね、私の部屋に。ごめんねって泣きながら…」「兄弟、おれに黙って、なぜ先に逝った。バカヤロー!」親友の葬式で、勝手に死者との絆を強調する自己陶酔型の弔辞に嫌気がさした会社社長の本宮は、自分自身の生前葬を企画する。だが彼は知らなかった。妻の涼子が重い病に冒されて、余命幾ばくもないのを隠していることを…。
廬俊義、ついに捕縛される 青蓮寺は執拗に闇塩の道を探索していた。そして、ついに北京大名府で廬俊義の捕縛に成功する。苛酷な拷問にかけられる廬俊義を、燕青が飛龍軍とともに救出に向かうがーー。(解説/張競)
高校の同窓会に出席するため、20年ぶりに帰京した小説家・日能。死んだはずのクラスメイトの女性が生きていたと知り、記憶の齟齬に違和感を覚える『蓮華の花』。主婦殺害容疑者の前夫と現夫、その事件当日のトリックに迫る元刑事の推理が冴える『贋作「退職刑事」』など、全6編を収録。論理的謎ときの愉しみはもちろん、わりきれない人間たちの姿を心理的余韻として残す秀作短編集。