出版社 : 集英社
1498年フランス。国王が王妃に対して離婚裁判を起こした。田舎弁護士フランソワは、その不正な裁判に義憤にかられ、孤立無援の王妃の弁護を引き受ける……。第121回直木賞受賞作。 (解説/池上冬樹)
緑深い北鎌倉の屋敷に暮らす若き女主人。魔性の女に翻弄される男の行く末は…。表題作「ひぐらし荘の女主人」他、「花ざかりの家」「彼なりの美学」妖しい官能美にあふれた3篇。 (解説・皆川博子)
犯罪記録、週刊誌報道、手記、供述調書…。ある猟奇殺人をめぐる様々な文書。果して「言葉」は真実を写せるのだろうか!? “藪の中形式"でコトバ社会の闇に挑む、問題提起ミステリー。(解説・茶木則雄)
舞台となるのはメキシコの片田舎にある小さな町セントロである。主人公は元新聞記者のスポーツ・ジャーナリスト。プロレスラーだった父親は、幼い子供と妻を捨ててメキシコに渡り、エル・ソルと名乗ってメキシコのリングで活躍していた。主人公は取材を名目にこの地を訪れるが、真意は別にあった。書き下ろしスポーツ青春小説。
25年ぶりの親友との再会。TV出演した小夜子を見て連絡をとってきた女は、まるで別人のように変貌していた。うずまく疑念、そして…。表題作「会いたかった人」。他に男と女の妖しく美しい愛の行き着く果てを描く「倒錯の庭」、犬を飼い始めてからはじまる不運にみずからとりつかれていく男の物語「災厄の犬」を収録。静かな狂気を描くサイコ・サスペンス短編集。
角丸真理子は父の反対を押し切って、屋敷芳樹と結婚した。小野和人という恋人をふっての決断だった。しかし、新婚生活のスタートとともに地獄ははじまった。言葉の暴力ーそれも叱責や罵倒ではなく、やさしい皮肉。真理子の神経を柔らかく包み込むように、夫の言葉が鼓膜から脳髄へと侵入していく。精神の限界に到達した真理子は、ついに決断した。「やさしく殺して…」。
「ぼくは行くよ」と語り手は言う。でも、どこへ?北極へ、南仏へ、なにもないガレージへ。軽やかに錯綜する物語の糸が、やがてその空白の行き先をひとつに絞っていく。災厄を呼ぶ美女と善悪のコミカルな変わり身。エシュノーズの話術がもっともまろやかにブレンドされた、円環するロードムービー小説の快作。ゴンクール賞受賞作。
衰運にむかいつつある映画監督モゲルと青春の盛りに近づきつつある少女ナシマ。“帆船アザール=危険な夢”に我が身を賭けた男と少女を描いて、現代フランス最大の作家が、壮麗なる冒険の世界へ読者を誘う。洞窟で伝説となった男を描く予言的な中篇「アンゴリ・マーラ」所収。
蔵のなかで古い碁盤を見つけたヒカルは、異様なものを感じ、気を失った。気がついたとき、ヒカルの意識のなかには平安の天才棋士・藤原佐為の霊がいた。どうしても碁を打ちたい!という佐為につき合っていたヒカルは、アキラと出会い、囲碁に興味を持ちはじめる。ところが、めちゃくちゃ弱かったり、圧倒的に強かったりするヒカルは、あちこちで注目を集めることに!!人気囲碁漫画、待望のノベライズ。
僕の一人暮らしへの第一歩は、親父を説得することだったーはずだ。ところが、いざ話を進めてみると、意外なところで反対されるし、かれんは何か悩みを抱えているようで、気がかりだけが増えていく…。でも、部屋が見つかればふたりの「場所」ができるのだ。かれんの兄『風見鶏』のマスターが語る過去のエピソードも同時収録。人気シリーズ第6弾。
小劇団「紅神楽」を主宰する女優・紅林ユリエの恋人で同居人のミケさんは料理の達人にして名探偵。どんなに難しい事件でも、とびきりの料理を作りながら、見事に解決してくれる。でも、そんなミケさん自身にも、誰にも明かせない秘密が…。ユーモラスで、ちょっとビターなミステリ連作集。文庫化に際して、新たに特別短編を加筆。さらに美味しくなった、スペシャル・メニューを召し上がれ。
定職を持たない猿渡と小説家の伯爵は豆腐好きが縁で結びついたコンビ。伯爵の取材に運転手として同行する先々でなぜか遭遇する、身の毛もよだつ怪奇現象。飄々としたふたり旅は、小浜で蘆屋道満の末裔たちに、富士市では赤い巨人の噂に、榛名山では謎めいた狛犬に出迎えられ、やがて、日常世界が幻想地獄に変貌するー。鬼才が彩る妖しの幻想怪奇短篇集。
香港のビジネス界で、企業乗っ取り屋として名を馳せるマダム九龍ことナオミへ届いた脅迫メール。彼女が買収したテーマパークでのテロの予告だった。やがて、日本でも似た手口の事件が発生する-。真実を知ることが復讐への第一歩なのか。三十余年を経た白骨死体とともに明かされる真実とは?香港、ニューヨーク、日本を舞台に描く愛憎ドラマ。