出版社 : 集英社
敗戦の焦土から立ち上がれ。混沌の時代を生き抜いた男たちの、反骨と絆の物語。 太平洋戦争に敗れ、大陸からの引揚船で、中学生の阪上群青は母とはぐれ、直後に何かが海に落下する音を聞いた。 その場に居合わせたのは、赤城壮一郎という男。さらに謎の男が現れ、「赤城が君の母親を突き落とした」と告げられる。 母の失踪に赤城が関係しているのか。疑惑がぬぐえないまま、行く当てのない群青は、赤城と共に焼野原を生きることに。 戦後の混乱期、上野の闇市で商売をするうちに、人々が衣食の次に必要なのは「清潔」だと気づき、二人は仲間たちと石鹸会社を立ち上げた。 ともに困難に立ち向かう日々の中、群青にとって赤城がかけがえのない存在となっていく。 だがそんな時、引揚船の男が再び現れ、衝撃の事実を群青に伝えた。 果たして二人の行きつく未来は……。
「女優の子供って大変なんですか?想像もできない人生です」 小劇団を主宰する私は、昭和を代表する女優のひとり息子として生まれた。 大女優である実の母との葛藤を胸に、〈母への復讐の物語〉を演出する──。 テレビ、映画で活躍する著者による、10年ぶりの最新長編小説。 「小学校一年、初めての登校日、学校中から「ジョユー」と呼ばれたときに、自分を可愛がってくれているのは母ではなく「ジョユー」という生き物なのだと知った。幼い私にとっては酷く恐ろしいことであった。 その「ジョユー」という生き物と、私は初めて同じステージで対峙する」(本文より) 【著者略歴】 1968年4月東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科中退。小説家、俳優、映画監督。学生時代に俳優としてデビュー後、1990年『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞。1995年『となりのボブ・マーリィ』で映画監督としての活動も開始する。主な小説作品に『湾岸馬賊』『ずっと夜だったらいいのにね』『東京亜熱帯』『その役、あて書き』などがある。
【第166回芥川賞候補作】 【第45回すばる文学賞佳作】 前代未聞の筋トレ小説、誕生! 「別の生き物になりたい」。 筋トレに励む会社員・U野は、Gジムで自己流のトレーニングをしていたところ、 O島からボディ・ビル大会への出場を勧められ、 本格的な筋トレと食事管理を始める。しかし、大会で結果を残すためには 筋肉のみならず「女らしさ」も鍛えなければならなかったーー。 鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていくが、 職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、 母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられる。 モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日。 彼女が決勝の舞台で取った行動とは? 世の常識に疑問を投げかける圧巻のデビュー作。 【著者プロフィール】 石田夏穂(いしだ・かほ) 1991年埼玉県出身。東京工業大学工学部卒。2021年「我が友、スミス」で第45回すばる文学賞佳作。
死にたいキャバ嬢×推したい腐女子 焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。 人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。 「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開くーー。 「どうして婚活なんてするの?」 「だって! 孤独だし、このまま一人で仕事と趣味だけで生きていくなんて憂鬱です。最近母親の結婚しろアピールがウザいし、それに、笑わないで欲しいんですけど、子供だっていつかは欲しいって思ってます」 「仕事と趣味があるのに憂鬱なの? ていうか男で孤独が解消されると思ってんの? なんかあんた恋愛に過度な幻想抱いてない?」 「私は男の人と付き合ったことがないんです」 推しへの愛と三次元の恋。世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は……。 金原ひとみが描く恋愛の新境地。 【著者プロフィール】 金原ひとみ(かねはら・ひとみ) 1983年東京生まれ。2003年『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞。04年、同作で第130回芥川賞を受賞。ベストセラーとなり、各国で翻訳出版されている。10年『TRIP TRAP』で第27回織田作之助賞を受賞。12年『マザーズ』で第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。20年『アタラクシア』で第5回渡辺淳一文学賞を受賞。21年『アンソーシャル ディスタンス』で第57回谷崎潤一郎賞を受賞。
もし別の治療を試していれば、 もしもっと早く出会っていれば、 もし別の人と結婚すれば、 ぼくたちは幸福だったのだろうか? 几帳面な「ぼく」と自由なアントワネットは、愛に満ちた理想の二人だったーー子供に恵まれないことをのぞいては。 病院で診察を受けるも原因は不明。時はいたずらに過ぎ、夫婦の間の亀裂は少しずつ広がっていく。 不妊治療に臨む夫婦を夫の視点から描く、オランダの実力派による文芸作品。 美しい過去への憧憬が、静かに、確かに、胸を打つ。 【著者プロフィール】 ロベルト・ヴェラーヘン(Robbert Welagen) 1981年、オランダ・ドルトレヒト生まれ。2006年に執筆した初作品で、セレクシース文学新人賞(オランダ大手書店が主催していた文学賞)を受賞した。本書は8作目の小説にあたる。 オランダ文学界の中堅として重要な作家の一人。2009年よりアムステルダムの作家養成専門学校の講師を務めており、現在もユトレヒト郊外の町ザイストの森で執筆活動を行っている。 【訳者プロフィール】 國森由美子(くにもり・ゆみこ) 東京都生まれ。桐朋学園大学を卒業後、オランダ政府奨学生として渡蘭。演奏家ディプロマを取得し、音楽活動を続けるかたわら、オランダ語翻訳を手がけるようになる。ライデン在住。 訳書に、ヘラ・S・ハーセ『ウールフ、黒い湖』、ルイ・クペールス『オランダの文豪が見た大正の日本』(以上作品社)がある。 【原題】 Antoinette
高校生の乙骨憂太は、「呪い」となった幼なじみ・祈本里香に憑かれ苦しんでいた。 そこに最強の呪術師・五条悟が現れ、憂太を“東京都立呪術高等専門学校"へと導く。「呪い」を祓うために「呪い」を学ぶその場所で、憂太は里香の呪いを解くことを決意し、同級生の禪院真希・狗巻棘・パンダとともに呪術師として歩みだすのだった! ノベライズ限定の特製クリアしおりつき!
「ナショナリズムの台頭、格差の拡大…… すぐれたエンターテインメント小説は時代の空気を反映する」 佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)推薦! 日露戦争に「負けた」日本。 ロシアの属国と化した地で、男は、警察官の矜持を貫けるのか。 日露戦争終結から12年たった大正6年。敗戦国の日本は外交権と軍事権を失い、ロシア軍の駐屯を許していた。3月、警視庁の新堂は連続強盗事件の容疑者を捕らえるが、身柄をロシアの日本統監府保安課に奪われてしまう。 新たに女性殺害事件の捜査に投入された新堂だったが、ロシア首都での大規模な騒擾が伝えられ……。 「もうひとつの大正」を描く、入魂の改変歴史警察小説、第二弾。 【著者プロフィール】 佐々木譲(ささき・じょう) 1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」で第55回オール讀物新人賞を受賞。90年『エトロフ発緊急電』で第43回日本推理作家協会賞長編部門、第8回日本冒険小説協会大賞、第3回山本周五郎賞を受賞。2002年『武揚伝』で第21回新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で第142回直木賞を受賞。16年に第20回日本ミステリー文学大賞を受賞。『ベルリン飛行指令』『制服捜査』『警官の血』『警官の条件』『沈黙法廷』『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。
私が救ったのは、天使か、悪魔かーー。 殺した後、一晩かけて遺体をバラバラにする殺人鬼ーー通称「真夜中の解体魔」。 婚約者を殺された救急医の秋穂は、深い悲しみを抱えながらもなんとか職場に復帰をしたところだった。 そこに運ばれてきたのは、交通事故で重傷を負った美少年・涼介。 無事、命を救うことができたが、手術室を出た秋穂に刑事が告げる。 「彼は『真夜中の解体魔』だ」とーー。 涼介に復讐しようとする秋穂に、涼介は綺麗な涙を流しながら訴える。 「僕は罠にかけられただけなんです」とーー。 無実に思える証拠を見せられた秋穂は、ためらいながらも涼介と真犯人を探すことになるが……。 涼介は真犯人に操られた哀れな人形(マリオネット)なのか、それとも周囲を操る冷酷な人形遣いなのか。 衝撃のクライマックスに、きっとあなたは絶叫する。 知念実希人が贈る、究極のクライムサスペンス。 【プロフィール】 知念実希人(ちねん・みきと) 1978年、沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒、日本内科学会認定医。2011年、第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を『レゾン・デートル』で受賞。12年、同作を改題、『誰がための刃』で作家デビュー(19年『レゾンデートル』として文庫化)。「天久鷹央」シリーズが人気を博し、15年には『仮面病棟』が啓文堂文庫大賞を受賞、ベストセラーとなる。18年『崩れる脳を抱きしめて』、19年『ひとつむぎの手』、20年『ムゲンのi(上・下)』と本屋大賞に3年連続でノミネートされる。『優しい死神の飼い方』『時限病棟』『リアルフェイス』『レフトハンド・ブラザーフッド』『誘拐遊戯』『十字架のカルテ』『傷痕のメッセージ』『硝子の塔の殺人』など著書多数。
直木賞受賞第一作。 装蹄師の平野敬は北海道の浦河で養老牧場を営んでいる。牧場は幼馴染の和泉亮介の両親が所有していたものだったが、騎手だった亮介が覚せい剤所持で刑務所に入ったこともあり譲り受けた。敬が注目するのは栗木牧場生産の尾花栗毛馬・エゴンウレア。以前装蹄したことがあり、その筋肉に触れた瞬間、超一流の資質を秘めた馬だと確信していた。だが気性が荒く、プライドも高い馬で調教に手を焼いていて、今まで勝ち鞍がない。その馬主と競馬場で会った際、レースで突然馬が興奮するという不自然な現象に遭遇する。また、敬は出所して無職だった亮介に、本来の力を取り戻すべくエゴンの乗り役になるよう勧める。その後、レースでの不自然な現象は厩務員の一人が犬笛を使って八百長に加担していたことが判明。敬は裏で糸を引くヤクザの尾行を始めるが気付かれ、拉致され殺されそうになるも、一命を取り留める。様々なトラブルが起こる中、エゴンが出馬するレースの日も近づき、亮介による最後の調教も終わった。エゴンに人生を託した人々の想いは、二勝馬脱却への奇跡を呼び起こせるのかーー。 【著者プロフィール】 馳星周(はせ・せいしゅう) 1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。96年デビュー作『不夜城』で第18回吉川英治文学新人賞、98年『鎮魂歌』で第51回日本推理作家協会賞、99年『漂流街』で第1回大藪春彦賞、2020年『少年と犬』で第163回直木賞を受賞。他の著書に『約束の地で』『雪炎』『ソウルメイト』『神奈備』『雨降る森の犬』ほか多数。
斜線堂有紀のはじめての恋愛小説集。 『きみの長靴でいいです』 天才ファッションデザイナー・灰羽妃楽姫は、二八歳の誕生日プレゼントに、ガラスの靴を受け取った。 送り主は、十年来の妃楽姫のビジネスパートナー、そして妃楽姫がいつか結婚すると信じている男、妻川。 人生の頂点に到達しようとしている妃楽姫だったが、しかし次の瞬間彼女が聞いたのは、妃楽姫以外の女との、妻川の結婚報告だった。 『愛について語るときに我々の騙ること』 「俺さ、ずっと前から新太のことが好きだったんだ。だから、付き合ってくれない?」 そういう男ーー園生が告白しているのは、私ーー鹿衣鳴花に対してだった。私たちの関係は、どこに向かおうとしているのか。 男と男と女のあいだに、友情と恋愛以外の感情が芽生えることはあるのだろうか。 『健康で文化的な最低限度の恋愛』 美空木絆菜は死にかけていた。会社の新入社員、アクティブな好青年、津籠の気を引きたかった絆菜は、彼の趣味ーー映画にもサッカーにも、 生活を犠牲にして一生懸命頑張って話を合わせた。そして今、絆菜は孤独に山の中で死ぬかもしれない。どうしてこんなことに。 『ミニカーだって一生推してろ』 二十八歳の地下アイドル、赤羽瑠璃は、その日、男の部屋のベランダから飛び降りた。男といっても瑠璃と別に付き合っているわけではない、 瑠璃のファンの一人で、彼女が熱心にストーカーしているのだ。侵入した男の部屋からどうして瑠璃が飛び降りたのか、話は四年前にさかのぼるーー。 『ささやかだけど、役に立つけど』 初めて高校の放送部の部室で鳴花と出会った時に、自分はいつか彼女と付き合うんじゃないかと、園生は思った。 しかしそれから十年経って、彼女と自分の関係に、新太が加わった。二人よりも三人のほうが、ずっと安定している。 自分たちは、このまま死ぬまで三人なのだろうーーでも、それでいいのだろうか。
「会社は、経営者が金儲けをするためにあるのではありません。従業員を幸せにするために、ひいては幸せな社会をつくるためにあるんです」明治七年。十五歳の服部金太郎は、成長著しい東京の洋品問屋「辻屋」の丁稚として働いていた。主人の粂吉は、金太郎の商人としての資質を高く評価し、ゆくゆくは妹の浪子と結婚させ、金太郎を辻屋に迎え入れようと考えている。だがそんな思いとは裏腹に、金太郎は、高価ゆえに持つ人の限られていた「時計」に目をつける。鉄道網の発達により、今後「正確な時間」を知ることの重要性が高まると見抜いていたのだ。いずれは時計商になりたいという熱い想いを粂吉に伝えるがー。経済小説の名手が贈る世界的時計メーカー「セイコー」創業者服部金太郎の一代記。
誇り高く猛き漢たちのもとにも、終わりは訪れる。思いがけぬ別れ、その先には何が見えるのかー。鎮海城をあずかるダイルは、三千の守備兵を組織し、三つの砦に配置した。モンゴル国の領土は拡がり、十万の遠征軍は鎮海城とは逆の方角に出撃している。チンギスが滅ぼしたナイマン王国の元王子グチュルクは逃亡し、西遼の直魯古から帝位を簒奪していた。金国では完顔遠理が精強な騎馬隊を整え、耶律楚材が税の道を回復する。マルガーシはジャラールッディーンのもとを離れ、トクトアが住んでいた森へと向かう。そこで出会った男とはー。
ノーベル賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ推薦! 「デビュー後すぐに“真剣な"文学作品を描きはじめた稀有な作家」 青年が引っ越し先のアパートで出会った、90歳の老女。 アルツハイマー病を患う彼女は隣人に、自らの戦争の記憶を唐突に語り始めた。 モスクワの公的機関で書類翻訳をしていたこと、捕虜リストに夫の名前を見つけたこと、 ソ連が赤十字社からの捕虜交換の呼びかけを無視していたことーー ベラルーシ気鋭の小説家が描く、忘れ去られる過去への抵抗、そして未来への決意。 【著者略歴】 サーシャ・フィリペンコ 1984年、ベラルーシのミンスク生まれ。サンクトペテルブルグ大学で文学を学ぶ。テレビ局でジャーナリストや脚本家として活動し、2014年に『理不尽ゲーム』で長編デビュー、「ルースカヤ・プレミヤ」(ロシア国外に在住するロシア語作家に与えられる賞)を受賞した。『赤い十字』は4作目にあたる。 現在も母国を離れて執筆を続けており、ノーベル賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチからも高く評価されている。 【訳者略歴】 奈倉有里 (なぐら・ゆり) 1982年東京生まれ。ロシア国立ゴーリキー文学大学卒業、文学従事者の学士資格を取得。東京大学大学院博士課程満期退学。博士(文学)。2021年、博士論文が東京大学而立賞を受賞。著書に『夕暮れに夜明けの歌を』(イースト・プレス)、訳書にミハイル・シーシキン『手紙』、リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』(以上新潮クレスト・ブックス)、ボリス・アクーニン『トルコ捨駒スパイ事件』(岩波書店)、サーシャ・フィリペンコ『理不尽ゲーム』(集英社)など。
2020年2月、83歳の誕生日を迎えた「私」の耳に、どこからか「ゲームセット」という声が聞こえてくる。 「そうか、自分の人生、もう、ゲームセットなんだな」改めてため息をつくと、十数年前、宮城まり子が電話で同じように語ったことを思い出した。 「ときどきね、もうゲームセットだなあって、そう思ってね…」 その夜、「私」は自分の部屋を、バー「たられば」と名づけてみた。以来、記憶の糸をたぐりながら、夜ごと、架空の仲間たちとともにひとり酒をたしなむようになる________。 昭和〜平成〜令和と生き抜いた著者が、バー「たられば」に現われる懐かしい人々との交友を鮮やかに描きつつ、「人を愛するとは?」「やさしさとは?」「家族とは?」…、人生の命題を静かに問いかけてゆく。 宮城まり子の笑顔の向こうに、「私」が見た風景とは? 清冽で、ヒューマニズムあふれる名作中編。 【著者略歴】吉川 良(よしかわ・まこと) 1937年、東京・神田生まれ。作家。大学在学中より、バーテンダーとして各地を転々。また、薬品会社で営業職のかたわら、コピーライターとしても活躍。78年『自分の戦場』で、第2回すばる文学賞受賞。翌79年『八月の光を受けよ』で芥川賞候補、『その涙ながらの日』で2度目、80年には『神田村』で3度目の候補となった。その後は、プロ野球や競馬にまつわるさまざまな人間模様を独自の視点で描き、多くのファンの支持を受ける。99年『血と知と地・馬・吉田善哉・社台』で、JRA馬事文化賞を受賞。以後も、人間味あふれる視座で、新聞・雑誌のコラムやエッセイ、評伝などを描き続け、根強い人気を誇っている。 【協力】 ねむの木学園
幼馴染みの一ノ瀬ユウナが、宙に浮いている。 十七歳の時、水難事故で死んだはずのユウナは、当時の姿のまま、俺の目の前にいる。 不思議なことだが、ユウナのお気に入りの線香花火を灯すと、俺にしか見えない彼女が姿を現すのだ。 ユウナに会うため、伝えていない気持ちを抱えながら俺は何度も線香花火に火をつける。 しかし、彼女を呼び出すことができる線香花火は、だんだんと減っていくーー。 乙一が映画『サマーゴースト』の姉妹作として『花火と幽霊』をモチーフに執筆したオリジナル青春小説。 好評発売中の『サマーゴースト』ノベライズも必読!!
第6回ジャンプホラー小説大賞金賞受賞作。 ヴァーチャルアイドルに悪霊が憑依した!爆発するスマホ、動き出す自動販売機、乗っ取られるSNS…… 全ての電子機器が殺戮兵器と化すなか、生存者たちは電脳世界の除霊を試みる……! 空前絶後のサイバーホラー小説誕生!
天涯孤独の身で17歳にして単身渡米。帰国後、その力量を買われ、井上馨の官庁集中計画に参加。御一新前の美しい町並みを愛し続けた妻木は欧化一辺倒の都市計画に反発、西欧の新しい技術に学んだ“江戸の再興”を心に誓う。いくつもの難局を乗り越え、国の未来を議論する場としての国会議事堂の建設へと心血を注ぎこんでいくー「いい街にするよ、必ず」。東京を、日本をどう建て直すのか。明治の建築家、妻木頼黄の闘い。
東京・五日市署管内の路上で、男性の首なし死体が発見された。刑事の鵜飼は現場へ急行し、地取り捜査を開始する。死体を司法解剖した結果、死因は頸椎断裂。「斬首」によって殺害されていたことが判明した。一方、プロのキックボクサーだった河野潤平は引退後、都内にある製餡所で従業員として働いていた。ある日、同じ職場に入ってきた有川美祈に一目惚れするが、美祈が新興宗教「サダイの家」に関係していることを知ってしまい…。
『チェンソーマン』待望の初小説! 自称名探偵・パワーと、助手・デンジが挑む怪事件!? 相棒だった頃の岸辺とクァンシ、その関係とは!? 姫野とアキ、その出会いと二人での初任務の行方は!? 以上、「バディ」をテーマにした三つの物語に、ボーナストラックとして、デンジ・パワー・アキの、夢の江の島旅行も収録。漫画では読めない全編完全オリジナルストーリー!
“サマーゴースト"という幽霊が現れるという。 夏、使われなくなった飛行場、花火をすると、彼女は姿を現すらしい。自殺した女性の幽霊なのではないかという噂だ。 ネットを通じて知り合った高校生、友也・あおい・涼。3人は“サマーゴースト"を探すために集まった。 3人は幽霊に聞いてみたかった。“死ぬって、どんな気持ちですか?"それを聞くべき理由が、3人にはあったのだーー。 10代からイラストレーターとして活動し、近年はアニメ、作詞、小説、漫画、と多彩なクリエイティビティを展開する俊英・loundraw。 その初監督の劇場アニメーションを、脚本を担当した乙一(安達寛高)手ずからノベライズ。 『花火と幽霊』をモチーフにした姉妹作のオリジナル小説『一ノ瀬ユウナが浮いている』も2021年11月26日に発売予定。