出版社 : 集英社
息子の嫁・里子と孫の春子と暮らす65歳の玉子。里子との生活は穏やかだが、実の娘の葉絵は40歳近くなっても反抗期の真っ最中。巻き起こる騒動と女性の本音をコミカルに描く全3編。(解説/吉田伸子)
痛々しくガーリーな少女の世界を描く「トラウマテクノポップ」の旗手・アーバンギャルドのリーダー松永天馬が、バンドの代表曲を小説の形で再構築する。十二作品収録の短編集。文庫オリジナル作品。
エドガー賞ノミネート作。1950年代、衰退するデトロイトで発生した黒人女性殺しと白人女性失踪事件。この二つに関連はあるのか? 当時のアメリカ社会を色濃く描いたミステリー。(解説/温水ゆかり)
人妻の不倫と自殺を描き大スキャンダルとなった「ボヴァリー夫人」をはじめ、鋭い観察眼と精密な描写で小説革命を起こしたフローベール。その深遠な精神世界に迫る。
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。第15巻は「冒険物語」の原点ともいえる「海」を舞台とした傑作小説を、SFから恐竜ものまでバラエティ豊かな全14編収録! ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] 海の巻である。そもそも「冒険」物語は大航海時代のイギリスに始まった。 「冒険」イコール「大海」だった時代があったのである。 鎖国と呼ばれた時代があったせいか、日本にはこの種の小説の伝統がない。 なければ詭弁を弄しても作ってしまおう。編集委員諸氏もそう言っておられる。 海が舞台の椎名SF長編と景山恐竜長編を核にすえた。 やはり、「冒険」に「海」がないと、画龍に点睛を欠くのである。 [収録作] 【長編】 椎名誠「水域」 景山民夫「遠い海から来たCOO(クー)」 【短編】 小川未明「赤いろうそくと人魚」 蘭郁次郎「地図にない島」 笹沢左保「赦免花は散った」 北杜夫「遙かな国 遠い国」 田中光二「二人だけの珊瑚礁」 中島らも「セルフィネの血」 熊谷達也「潜りさま」 【掌編】 川端康成「竜宮の乙姫」 夏目漱石「第七夜」 三島由紀夫「伝説」 生島治郎「暗い海暗い声」 原田宗典「岬にいた少女」
子供も、親も、保育士さんも、先生も、心をつなげば大きくなれる──。四人家族の横山家の歩みを中心に、人間の成長を描く九つの連作短編。『おれのおばさん』シリーズの佐川光晴が贈る感動作!!
都内にある高級老人ホーム「メゾンメトセラ」。ガンの発生率が高いという噂を幼馴染みの千足から聞き、フリーライターの小暮アキは興味を抱く。併設される不破病院では、ガンの最新研究が進められていた。そんな中、不破病院でアルバイトを始めた千足が、不慮の死を遂げた。特殊なウイルスに院内感染したためだというがー。旧約聖書に登場するアダムの子孫「メトセラ」は、969歳まで生きた。その名を冠する「メゾンメトセラ」には、人類の未来を左右する重大な秘密が隠されていた。人間は、今もなお、進化の過程にいる。それは、理想郷への道程か。悪夢への誘いか。怒涛のサイエンス・ミステリー!
美しい札幌の街を舞台に、不思議な巡り合わせの男女が繰り広げる、かなわぬ愛と葛藤の物語。「リラ冷え」という言葉は、この小説から生まれた。解説は北海道出身の桜木紫乃。
純子が本当に愛したのは誰だったのか?天才少女画家と呼ばれた純子が阿寒に消えてから20年。作家となった「私」は、彼女をめぐる4人の男たちに会い、その死の真相を探ろうとする。清冽な北国の空気が胸に痛い瑞々しい作品。北のロマン・北海道編。
1年後の地球破壊を宣言するも、なぜか椚ヶ丘中学校の落ちこぼれクラス3年E組の担任教師となった謎のタコ型超生物・殺せんせー。潮田渚ほか3年E組の生徒たちはその超生物の暗殺を政府から託されていた。2学期を迎え、残された暗殺の時間もあと半年。慌しい学園祭が終わり、束の間の安息が訪れたE組の前に衝撃の暗殺者が正体を現す!?桜が舞う別れの季節、驚き、笑えて、涙する「暗殺教室」最後の授業が始まる!
伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。もしも「あの時」に戻ることができたら…。母と娘、夫と妻、父と息子。近くて遠く、永遠のようで儚い家族の日々を描く物語六編。誰の人生にも必ず訪れる、喪失の痛みとその先に灯る小さな光が胸に染みる家族小説集。
花屋で働く永山緋桜乃は、もと極道の祖父が立ち上げた会社「NDY(なんでも屋)企画」の仕事も手伝う。ある日、訳ありそうな女性・ありさに遭遇するが、彼女はDVをくり返す恋人から逃げてきたようで──?
武家の娘・なつは、恋ゆえに出奔した兄を捜すため、単身江戸に上り、身分を隠して貸本屋で働く。ある日、本に興味のない植木屋の小六が歌集を借りる。恋歌がうまく作れないという彼に協力することに…?
北海道に新幹線が開通する前日、奔放すぎる母親のせいで横浜から函館に単身引っ越すことになった女子高生・真緒。遠縁の親戚が住むという函館山の洋館に向かうが、そこにいたのは不審すぎる長身の男で…!?
グリム童話をベースに、舞台を現代におきかえ、ストーリーを大胆にアレンジ! ヒロインがふたりの白雪姫、老舗ホテルの一人娘として生まれた眠り姫、廃屋から届く依頼に悩むヘンゼルとグレーテル…など全6編。
“ボツ”になったゲームネタが集まってできた、できそこないの世界“ボツコニアン”。そんなダメダメな世界をより良くするために、「長靴の戦士」に選ばれた少年ピノと少女ピピ。黄色い花の植木鉢の姿をした、しゃべる取扱説明書・トリセツに導かれ、二人は夢と笑いの溢れる壮大な冒険に出る!あの宮部みゆきが、書きたくて仕方がなかった抱腹絶倒のNEWファンタジーシリーズ。ついに、開幕!
中学2年の翔には簡単な言葉を読み間違えるという悩みがあった。クラスメイトや家族との距離に翔は苦しみ──。痛みを抱えながらそれでも今日を生きる、切なくも愛しい家族小説。(解説/佐川光晴)
舞台は昭和40年頃、東京・新宿に近い花柳界、弁天池。芸者のてまりこと千佳子には、なぜだか次々と、厄介なもめごとが降りかかる。浮気や嫁姑問題、後輩芸者の恋愛騒動…。料理の腕も活かしながら、千佳子はそれらを解決していく。一方で、自慢の味噌汁を売る夢も抱く。気丈に生きていく彼女だが、幸せな結婚にも憧れて…。現代にも通じる、女の生き様を颯爽と描いた平岩文学の傑作。文字が大きい新装版で登場!