出版社 : 集英社
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。第8回配本、第14巻『格闘者の血』は、格闘小説の名作3本の長編を軸に、強さを目指し闘った古今東西の男たちを描いた傑作全11編! ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] 男の子は強くなりたかった。チャンピォン・ベルトか金色のメダルか黒帯か。ともかく強い自分を夢見ていた。 しかし、成長とは、自分の可能性が、実はただの不可能であったことを確かめる長い旅路だったのかもしれない。 ベルトやメダルがどんどん遠くなり、かつて強くなりたいと願っていたことを、時々、思い出すだけになっていくかもしれない。 これは、そういうかつての「男の子」すべてに捧げる巻である。 【長編】 夢枕獏「餓狼伝I」 今野敏「惣角流浪」 中島らも「超老伝 カポエラをする人」 【短編】 新宮正春「少林寺殺法」 北方謙三「殺さない程度」 椎名誠「生還」 船戸与一「からっ風の街」 【掌編】 大坪砂男「憎まれ者」 夢枕獏「どもごっつぁんどぇす」 原田宗典「レフェリーの勝利」 景山民夫「元禄異種格闘技戦」
大手企業の関連会社に勤務するユウキ。リストラ騒動で将来への不安が募る中、救いを求めたのはネットワークビジネスだった。成功と転落を経験し、仕事も友人も失った彼が決断した最終手段とは……。
高校生の鹿乃は、蔵にある“いわくつき"の着物や帯の管理を亡き祖母から引き継いだ。ある日、祖母が懇意にしていた骨董店の店主から、祖母が祖父に宛てて書いた「恋文」の存在を知らされて!? 第3弾。
東京郊外、とある駅前にある「ツギハギ横丁」。戦後闇市の面影を残す一角に、バー「間」はひっそり佇んでいた。店主の波佐間とアルバイトの由比が営むその店には、毎週水曜午前一時に「特別な客」が訪れる。生者と死者が交差するこの店で、死者たちは伝えられなかった想いをグラスに紡ぐのだ。そんな日々の中、波佐間もまた伝えられない想いを胸に秘めていて…。
大学教授である父が研究にお金を費やすため、貧乏暮らしの大学生の由莉。ある日「時給二千円、飲食店でもないのにまかないつき」という求人を発見し、喜んで面接に。だが、その会社は様子がおかしくて…?
酔っ払いに絡まれる美貌の外国人・リチャード氏を助けた正義は、彼が宝石商だと知り、祖母の遺したピンクサファイアの鑑定を依頼。リチャード氏はそれを「盗品」と看破し!? 宝石にまつわる連作短編集。
夏、クラスメートの代わりにミステリーツアーに参加し、最悪の連続猟奇殺人を目の当たりにした『おれ』。最近、周囲で葬式が相次いでいる『僕』。-一見、接点のないように見える二人の少年の独白は、思いがけない点で結びつく…!!すべての始まりは、廃遊園地にただよう、幼女の霊の噂…?誰も想像しない驚愕のラストへ。二度読み必至、新感覚ミステリー!!
裏稼業コンビの岡田と溝口。離婚や虐待、拉致など様々な出来事に遭遇しては、予想もつかない方法で事件を解決する! その出会いは偶然か、必然か。5編からなる小さな奇跡の物語。(解説/佐藤正午)
近藤の携帯に震災で亡くなった恋人渚から電話が入り、真相を確かめようと渚の故郷岩手K村へ。一方、大臣殺害事件を捜査する十津川は、K村出身の高木の指紋を発見し…。長編ミステリ。(解説/山前 譲)
道三郎への恋を諦め、旗本・小山田家へ嫁いだ結寿。心優しい家族に恵まれ、平穏に過ごしていたが、居候の老女のもとへ親戚を名乗る男が転がり込んで……。恋と事件の人気連作シリーズ。(解説/八代有子)
雪深い町で暮らす、高校生の小柚子と弥子。明るく振る舞う陰で、二人はそれぞれの事情を抱えていた。そんな折、小学生の頃に転校した京香が現れ……。第25回小説すばる新人賞受賞作。(解説/斎藤 環)
目と耳の不自由な娘・ロザリンドとのロマンスを綴る表題作ほか、社会の埒外を生きる、愚かでいやしく貧しい人々の生きざまを描く。人間の闇を見つめる、著者真骨頂の残酷小説集。(解説/杉江松恋)
江戸で薬屋を営む時次郎の裏稼業は、公事指南。不義密通やら、呪殺など珍妙な依頼が舞い込む。困った人々の相談に乗り、事件の謎を解いていく人情たっぷりの時代小説。(解説/末國善己)
父の入院と彼との別れをきっかけに東京から香川に戻った恵里子。地元で暮らす決心をした彼女は、ひょんなことから地元商店街復興に関わることに。家族、仕事、恋に揺れ動く30代女性を描く長編小説。
河北を平定し、荊州をも手中に収めた曹操は、勢いに乗じて怒涛の南進を続ける。目指すは長江下流域の江東。その覇者、孫権に対し、曹操は降伏を迫った。しかし天才軍師諸葛亮の計らいで孫権・劉備連合軍が結成され、徹底抗戦の構えとなった。長江狭しと押し寄せる曹軍の大船団。水上戦を得意とする孫権軍の大都督周瑜は、必勝の策を胸に秘め、赤壁の江上にて乾坤一擲の決戦に挑むー。
頭に怪我を負った状態で見知らぬ男の山小屋で目覚めた小児科医のエモリー。自分に一体何があったのか? 名前すら語らない男との緊迫の数日間がエモリーの人生を大きく変えることに。(解説/大矢博子)
個人や社会の暗部に深く測鉛を下ろして、ときにはおぞましい真実をも明るみに出し、野心の挫折や運命の無情を好んで主題としながら、バルザックの小説はつねにポジティヴな生命感を失わず、人生へのあくなき好奇心と愛着をにじませています。そこに並はずれた創造者バルザック自身の精神の脈動を感じとらずにはいられません。…本書をひとつの入口として、読者がバルザックの築いた大伽藍の探検に乗り出されますよう!
虚実入り乱れる情報社会を捉えた、渾身の長編!日本新報の新聞記者・南康祐のもとに届いた一通のメール。そこには大手IT企業「JPソフト」から民自党議員への献金を記したリストが添付されていた。「メディア規制法案」に関わる政界工作だと踏んだ南は真偽を確かめるため調査に乗り出すが、メールを送信したと思われる人間は姿を消していた。同じ頃、疑惑のリストを手に入れた政友党議員の富永卓生は、政権奪還の足がかりとして、予算委員会で民自党を追及する。それが大きな波乱の幕開けになるとは知らず…。
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。 第7回配本、第19巻「孤絶せし者」は、映画も大ヒットした真保裕一の傑作長編「ホワイトアウト」を軸に、様々な<孤絶>の形を描いたバラエティ豊かな作品群、全11編を収録! ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] 「海の冒険」で一巻を立てるのだから、当然「山の冒険」でも一巻、と思っていた。 しかし、新田次郎、井上靖はすでに投入してしまったし、夢枕獏委員の「神々の山嶺」は長大過ぎて、残念ながら初めから対象外であった。 しかし、「冒険」第二世代の傑作「ホワイトアウト」はぜひ収録したかった。で、「山」はやめてきわめて唐突に「孤絶」がテーマになった。なにも「ロビンソン・クルーソー」の状況だけが「孤絶」ではないのである。 [収録作] 【長編】 真保裕一「ホワイトアウト」 【短編】 椎名誠「漂流者」 板東眞砂子「盛夏の毒」 浅田次郎「永遠の緑」 篠田節子「幻の穀物危機」 桐野夏生「ジオラマ」 【掌編】 中島らも「ラブ・イン・エレベーター」 宮部みゆき「車坂」 星新一「霧の星で」 北杜夫「贅沢」 筒井康隆「画家たちの喧嘩」