出版社 : 集英社
日露戦争に従軍した猟師の矢一郎は故郷を離れ、樺太で過去を背負い流浪の生活を続けていた。そんな彼を探し回る男が一人。矢一郎の死んだ妻の弟、辰治だ。執拗に追われ矢一郎はついに国境を越える。樺太から氷結の間宮海峡を越え革命に揺れる極東ロシアへ。時代の波に翻弄されながらも過酷な運命に立ち向かう男を描く長編冒険小説。直木賞・山本賞ダブル受賞の『邂逅の森』に連なる“森”三部作完結編。
「もう、ひとりも仲間は殺させない」記憶が戻らないまま暴力の世界に生きることを決意したタケル。テロ組織アトラ・ハシースでは非情なテロリストとして畏怖と憧れの目で見られた彼だったが、八神初穂との出会いが大きな変化をもたらしていた。組織からの刺客イシュタルもその変化に戸惑い、心に迷いを生じる。だが、タケルの包囲網はさらに狭まり、闘いはさらに苛烈さを増してゆくー。
「十人相手に一人でケンカに行くんが不良で、一人相手に十人で行くんが非行。それを見てんのが金持ち。うちのお父んが言うてたわ」一人っ子ヤンチの父は、バクチ好き酒好き女好きの仕事嫌い。一家を支える働き者の母はそんな父に愛想を尽かすと家出する。ロクデナシの大人達と家庭に問題アリの友達に囲まれ、女子にときめきながら「不良少年」デビューを果たすヤンチのハートじんじん成長物語。
内堀優一郎は、五年前ストーカーに娘の優希を殺された。犯人の中下が刑期を終えて出所したあと殺害され、内堀に容疑がかかる。無実を信じる弁護士、裁判員に選出された六人が、検察官の有罪シナリオに立ち向かう裁判が始まったー。犯行を否認しながら、法廷で黙秘を続ける内堀、その真意とは!?真実を求め闘う、迫力と臨場感あふれる法廷ミステリー。名作「絆」に続く、著者渾身の書き下ろし。
奇人変人や怪事件を引きつけてしまう、あたしはステファニー・プラム。今度は超能力を持つ男ディーゼルが、あたしの前に現れた。ヤツが追う男と、あたしが探している保釈逃亡者が関係していると知って、あたしも仕方なくディーゼルに協力することに。何の因果か「縁結び業」をするうちに、とんでもない事件に巻き込まれた!?米国では本編をしのぐ勢いの、爆笑ミステリーシリーズ番外編。
東京深大寺。テレビ番組ディレクターの井上美奈子が、お遍路姿で殺害された。美奈子が企画したお遍路の速さを競う“お遍路ゲーム”の収録目前だった。翌日、捜査本部に「四国八十八ヵ所巡りで人が死ぬ」という内容の電話が入る。十津川警部は、徳島へ飛び、お遍路姿で収録を警戒。だが、お遍路さんが射殺され、事件は意想外の方向へ…。東京と四国を結ぶ難事件に挑む十津川警部の名推理。長編トラベルミステリー。
パキスタンとアフガニスタンの国境付近で、映像プロデューサーの笹目京介は、銃創を負った少年を助ける。日本語を話し、タケルと名乗る少年は、名前以外のすべての記憶を失っていた。好奇心に駆られた笹目はタケルを伴って帰国し、駒引神社の宮司である八神家に預ける。だが、笹目は自分たちを尾行してきた三人の男の存在に気づいていなかったー壮大なスケールで展開するアクション・ロマン。
タケルとの出会いにより、駒引神社の巫女としての能力が目覚めはじめた八神初穂は、八神家に伝わる『八神文書』とタケルの過去に深く関係する『ギルガメッシュ叙事詩』との間に共通点を見出す。一方、タケルの「真の力」の発現を恐れるテロ組織アトラ・ハシースは、タケル抹殺作戦を展開する。さらにその並外れた戦闘能力に目をつけた各国の諜報機関は、タケルの籠絡を謀り、工作員を送り込むがー。
坂本龍馬は“船オタク”!?19歳でペリー艦隊の黒船を目撃し、蒸気船に一目ぼれ。それは現代ならば宇宙に憧れるロケットマニアのようなものかもしれない。そんな船への情熱に駆られ彼は、アメリカまで蒸気船で航海した幕府の高官、勝海舟の家に飛び込んだ。いきなり、乗ったこともないあこがれの蒸気船のスペックを語る龍馬に勝もビックリ。弟子入りを許すが…。誰も知らなかった驚きの新龍馬伝。
「夢顔さんによろしく」-遠くシベリアの収容所から届く謎に満ちた手紙。送り主は名門近衛家の嫡男、文隆。アメリカ留学で華やかな青春を過ごし、上海で美しき中国人女性との恋に燃えた青年貴族。彼は日中戦争を終結させるべく必死の和平工作に臨むのだが、やがて過酷な運命に巻き込まれ…。知られざる貴公子の生涯を描くノンフィクション・ノベルの最高傑作。第13回柴田錬三郎賞受賞作品。
和平工作が失敗に終わり徴兵された文隆は、満州で終戦を迎え、シベリアに抑留される。日本の家族の元に届く手紙に繰り返し書かれていたのは、不可思議な言葉だった…。帰国と引き換えにソ連のスパイとなることを求められた文隆が、最後に希望を託そうとした「夢顔さん」とは一体誰なのか?激動の時代を生き、高貴なる一族の長男として、そして日本人としての誇りを守り続けた文隆の運命はー。
吸血鬼父娘が活躍する人気シリーズ第1弾! 「正統な」吸血鬼の父を持つ、女子高生の神代エリカ。同じ高校の生徒たちが吸血鬼に噛まれたような傷を残して惨殺される事件が起こり、エリカは父と共に事件の解明に立ち上がるのだが…!?(解説/山前 譲)
ハイウェイの路肩で産気づいたリーを助けたチャド。赤ん坊を取りあげてくれた彼は、リーを送り届けた病院でキスだけを残し、姿を消してしまう。4カ月後、シングルマザーとして仕事に育児と、健気に奮闘するリーの前に突然チャドが現れる。加速度的に惹かれあう二人。しかし、チャドにはリーが受け入れることのできない姿があった…。クリスマスの訪れとともに高まっていく極上のラヴ・ストーリー。
20世紀初頭のアメリカ。生まれ育った地から逃れるように、牧場主のベンを頼ってテキサスにやってきたローレンは、ベンが急逝したことを知らされる。戸惑うローレンにベンの妻オリヴィアはある計画を申し出る。それは、ベンの息子ジャレドとの期間限定の結婚だった。激しく反目しあう二人をテキサスの雄大な自然が包み込むが、やがて二人の運命は残酷な現実の渦に巻き込まれていく…。壮大な愛の物語。
新彊ウィグル自治区のウルムチで、中国からの分離独立を求めるイスラム系過激派による自爆テロが起きた。主犯格の少年は、かろうじてカラコルム山脈を越境して逃亡を計る。少年の妹も、ある密命を帯びて故郷を離れ、遠い上海へ身を潜める。それは、来るべき中国内乱への序章に過ぎなかったー。上海で実際に起きた事件を下敷きにした話題作を、大幅改稿して贈るスペクタクル・ロマン。
上海でウィグル族の美しい女性ライラと出会った日本総領事館員の香坂は、中国公安の仕掛けた汚い罠に陥る。一方、テロリストの陰謀を察知した秘密工作員ヤマンは、ビジネスマンに扮して上海へ赴く。運命に導かれて、香坂、ライラ、ヤマンがついに上海で邂逅する。魔都・上海で、何が起ころうとしているのか。中国の腐敗した「柔らかい腹」を切り裂く筆致で、中国の内乱を予見した大作の完結編。
昭和三十年代。舞台は海と山に囲まれた小さな町。小五になるぼくは、毎日、自然の中で小さな冒険を繰り返している。仲間は神田パッチン、遠田ガチャ丸、タタミ屋のいち六、及川のデブ。夏休みになった日、五人は学校で立ち入りを禁止された川の上流を目指すが…。けんけん鬼、井戸ポンプ、プロレス中継、LPプレイヤー、『おもしろブック』など懐かしい昭和の風物の中で語られる熱く元気な青春小説。
30歳を目前に仕事を辞めた花。おしゃれもダイエットもセックスもやめた。頑張っても、いつか若さは失われると気づいてしまったから。投げやりに引きこもる花を、優しく見守る恋人だったがー(「しゃぼん」)。高3の夏。海。大好きな慎ちゃん。でもあたしは他の男たちとも寝ている。慎ちゃんには見せられない姿でー(「ねむりひめ」)。悩める女の子必読!リアルでキュートなガールズ小説集。
著名な建築家の伊織祥一郎は、妻子と別居して青山のマンションで独り暮らしをしていた。部下である笙子という恋人がいながら、霞という人妻と出逢う。茶室の横に咲く佗助のように控え目なのに、豪奢で豊饒な余韻がある。そんな彼女に心を奪われ、秘やかに愛を育む。奈良へ旅立ち、霞は激しく燃える。だが、伊織は笙子との関係も切れずにいた。ふたりの女性のはざまで揺れる男心を描いた不滅の名作。