出版社 : 鳥影社
モノローグと書簡で展開する新たな小説手法。文化と自然の狭間で生きる人間の悲哀を描きながら家族とは、国家とは、人間にとって未来はあるのかを問いかける。
「津波で亡くなったお母さんたちにもう一度会いたければ、演劇の世界で会えばいい」楽しかった日常を一変させた東日本大震災の悲劇を前後して、親友同士の香と智子が、それぞれの学校生活と人間関係、または自己の確立と性への葛藤を通じ、大きく成長してゆく一年間のお話です。
消費する欲望に安住していた瑠璃はある日、内奥にわく渇望に目覚める。その欲望の成就であるはずの日、元同僚の謀略によってそれは阻まれる。苦悩の日々の後、辿り着いたのは、謀った相手を赦す、という場所と時間であった。再生してゆく中で、恋人と訪れたフィレンツエでの心揺さぶる絵画との出会い。瑠璃の中に新たなる息吹が吹き込まれる。
紀元前五千年代へと、弾き飛ばされてしまった船の生き残った人々は、唯一の方法、ジャンプ(転生による魂の旅)によって、「ハル」からの救援船が待っている、地球暦二千五百年に向かおうとするのだったが…。これは、彼等の愛と苦闘の物語。果して彼等は、「ハル」の元に辿り着けるのか…。
終戦前後、満州の最前線に駐屯した一大隊がどのように行軍し、ソ連の捕虜となったのかを一兵卒の目から描いた小説である。平和な日常に生きている私たちは、戦争がどれほど過酷で惨いものかを実感する機会はほとんどない。
房総の海を眼下に立つ山之井酒造。父が廃藩を機に引き受け、当代が引き継いだ。元禄の年、地が鳴り海嘯が迫った。歴史小説五編。
時は文明開化の明治。だが変わらぬ農村の貧しさゆえ、遊女に身をやつしたヒロインが純愛を貫く物語“第五話”。昭和の戦争で海に散った若い兵士の魂が、著者の今に甦る。マリンブルー、ライトグリーンの海と森がつなげる不思議な縁“第六話”。