出版社 : PHP研究所
民主主義は、国を豊かにし、明るい未来をもたらすのか。軍事政権下の東南アジアの国・メコンから日本に留学したピーター・オハラは、大学で政治活動に情熱を注ぐ犬養渉と知り合う。祖国メコンを民主化するため、父・ジミーが大統領選に出馬することを知ったピーターは、父の選挙を応援するため、渉とともに帰国する。一方、人々の期待を一身に背負い、ジミーが帰国するがー
朝敵とされ、慶喜にも裏切られた男は、それでも抗おうとしたー会津藩・松平容保の弟で、桑名藩主・松平定敬。兄と共に徳川家のために尽くそうとしたゆえに、越後、箱館、そして上海にまで流浪した男の波瀾に満ちた人生と秘めたる想いに迫る。
愛する息子を喪い、未来をなくした夫婦は悲しみの果てに離別。平和だった家族は崩壊した。それから数年を経た命日の前日、夫は過去を忘れるために、息子の骨壼を抱え、心が凍てつき暗い家に引きこもる妻を訪ねる。だがその途上、夫は実の両親を亡くした少年と出会い、妻の家に一緒に泊まることに。その日から心に仄かな灯が生まれた…。
四年前、殺人罪に問われた女性の無罪判決を勝ち取り、脚光を浴びた弁護士の大石。医療過誤の裁判で、彼は依頼人である原告・長瀬の尋問に向け、準備を整えていた。しかし当日、時間になっても長瀬が法廷に現れず、大石は裁判官や相手の弁護士に頭を下げる破目に。大石が原告の自宅を訪ねると、そこにいた「長瀬」は、昨日まで打ち合せをしていた原告とは似ても似つかぬ、全くの別人だった。弁護士生命さえ危うい事態に、真相究明に乗り出した大石だったが…。
“再建の神様”早川種三に憧れる銀行マンが絶望の末に出会ったのは、一人の経営コンサルタントと、会津の倒産した旅館。地元の抵抗、従業員の軋轢、そして震災ー蘇らせるのは企業じゃない街だ!人だ!大逆転劇が始まる!
ドラマの撮影中に起こるさまざまな事件やトラブルを鮮やかに解決するベテラン俳優の南雲。-そこにはある秘密が隠されていた。名演技に潜む「罪」と「罰」-『教場』の著者が、芸能界に生きるものたちの“業”を描いた連作短編ミステリー。
14年前の殺人犯が出した告白本。そこに記された「嘘」と「秘密」とは…。ベストセラー「書店ガール」シリーズの著者による、書店員を主人公とした、「良心の重み」を問う慟哭のミステリー。
「下意上達」の組織作り、世界初の児童手当、理想の藩校の創設ー何よりも「人」を大事にしたすごい名君がいた!ベストセラー『小説上杉鷹山』の著者が描く、鷹山の兄にして高鍋藩第七代藩主・秋月種茂(鶴山)の生涯とは。
けがれなき飛騨白川郷をこの手で守るためにー。戦国武将が喉から手が出るほど欲しいもの…金銀と、鉄炮火薬に欠かせない塩硝。それらは天離る地で豊富に産するという。天下の覇者へと邁進する織田信長に送り込まれたのは、津田七龍太。天才軍師・竹中半兵衛の愛弟子だ。白川郷では、七龍太の出生に関わる思いがけない出逢いが待っていた。
たとえ天下の大軍が攻め寄せようともー。織田信長の後継者となるも、恋い焦がれてきたお市を手に入れることができなかった秀吉は、怒りの矛先を津田七龍太に向け、その処刑を黒田官兵衛に命じる。一方、徳川家康の支援を仰ぐべく、真冬の立山連峰越えに挑む猛将・佐々成政の前に、内ケ嶋の姫が現われ…。秀吉・家康らが虎視耽々と狙うなか、天離る地の小国は、生き残れるのか。
お金、結婚、仕事…。夢なのか、悪夢なのか、不思議な出会いー読みやすい物語から本当の幸せとはなにかを問う「三郎と幸福のホテル」、飛べないカラスの子どもとキツツキの子どもが海へと大冒険「クラゲの大王物語」-生きることの意味、成長とはなにかがわかる物語2編。
仕事も恋愛も惰性の日々を過ごしているOLの遥。ある日遥は、無名のアーティストの曲がYouTube上で「バズって」いるのを見つける。その曲にとてつもない引力を感じた遥だったが、数日後、そのアーティストの公式サイトで、「2018年10月23日、Vo.霧野十太逝去。27歳」の文字を目にする。なぜ1年も前に亡くなった無名のアーティストの曲が、今更注目を浴びているのか。霧野十太とは何者なのか。一人の天才に翻弄された六人の人生を描いた、著者渾身の青春小説。
平凡で幸せな家庭に育ちながらも、突然の交通事故で両親を一度に失ってしまった、稲野朗・昭・幸の三兄弟。そんな彼らを助けるべく、ほとんど面識がなかった母方の祖母が家にやってくる。その暮らしの中で兄弟たちは、祖母と母の不仲の理由や父の出生の秘密など、これまで知らなかった家族の裏側を少しずつ知っていくのだが…。中・高・大学生の三兄弟の成長と、家族の絆を描いた、感涙必至のハートフルストーリー。
鉄道マニアの公務員、小日向はある日、趣味が高じて、廃駅となっている地下鉄銀座線萬世橋駅へと潜り込む。そこで思いがけず出会ったのは、地下空間で暮らす謎の集団。身柄を拘束された小日向に、彼らは政府の「ある事情」により、地下で生活していると明かす。その地下空間で起こる殺人事件。彼らを互いにマークする捜査一課と公安の対立も絡み、小日向は事件に巻き込まれていく。
お店の守り神である木彫りの猫がなくなり、その行方を捜す「猫神さま」(西條奈加)、長屋で一番偉い猫の“サバ”が、夫婦の揉め事を解決する「包丁騒動」(田牧大和)、臆病な火消しの男へ按摩が与えた猫頭巾に込められた恐るべき謎「だるま猫」(宮部みゆき)など、愛らしくも摩訶不思議な存在である江戸の猫にまつわる短編六作を収録。令和を代表する女性時代作家の共演による珠玉のアンソロジー。