1988年11月1日発売
戦乱の中で父を失い、武将らしくない夫を捨てて、江戸城に入り、家光の乳母となって、周囲の権謀術数と闘いながら、家光を三代将軍の座につけた強い女の心の底には…。偶然から将軍の乳母という特殊な立場に立った女の強さとその裏側にある“女”の心を描ききった本格的な力作長編小説。
あなたは〈子育て〉に悩んでいませんか。にせの家族だからこそほんとうの家族よりも確かめられる親と子のきずながある。家族とは、親と子のきずなとは何かを問うハイブリッド〈子育て〉の試み。六つの短篇集。
都会では時間がめまぐるしく流れ万物が変化させられるのに、田園では今もなつかしいものがしっかりと生きていて影響を与えつづけています。風のささやきも緑のざわめきも、その他のすべてが意味のある言葉で人を動かすのです。この物語は、そんな悠然たる時間をかかえた村の出来事です。久しぶりに帰郷した探偵の前に古い殺人事件がよみがえり、山野を怪獣が疾走し、埋蔵金伝説の村が震撼します。
ニューヨークを発ち、一路リオへー。船旅は快適なものとなるかに見えたが、出帆して2日めの夜、乗客の一人が殺されるという事件が突発した。状況からして存在するはずの目撃者が証言すれば結着はつくのだが、名乗りでる者は1人もいない。かくして閉ざされた船上、密かに目撃者捜しが展開することになったが…。才媛の秀作、待望の初紹介。
1940年代、シカゴ。とある路地で、3人の郵便屋が相ついで殺されるという事件が発生した。弁護士マローンは飲み代欲しさに首を突っ込んだが、世の中そんな甘くはない。ただでさえ厄介なこの事件、例のごとく友人のジャスタス夫妻にかきまわされて、滅茶苦茶な様相を呈していったのだ!笑いとペーソスが彩るライスの秀作、待望の新訳決定版。
絶界の孤島に君臨する女城主モナの城にたどり着いた主人公が、エロスの秘儀を目指して昇りつめる過程を、卓越した芸術的手法で著した異色作。衝撃的な内容で騒然たる話題をさらった、倒立のビルドゥングス・ロマン。
冬野尽は29歳の弁護士だ。が、やっと司法試験に合格し、やっと居侯弁護士から独立して事務所を開いたばかりだから、客はめったに来ない。とにもかくにも尽ちゃんが弁護士になれたのは、秘書で美人の野村綾子のお陰である。綾子は尽ちゃんのかつての家庭教師だったが、それは猛烈をきわめ、物差しでビシバシひっぱたいて鍛えたのだった。子持ちで離婚歴のある33歳の綾子と毎日ひまな事務所で顔をつき合わせている尽ちゃんは、アッチの方がダメなのだが、女盛りで魅力たっぷりの綾子に時には股間が刺激されるのだった。-男と女の微妙で深い襞を軽快なタッチで抉ったユーモア・ミステリー。
日本とフランスにまたがる刑事事件を追って渡仏した兄の死亡通知ー。妹の摩梨華は父の代理で渡仏するが、兄の死を確認する前に、奇妙な事件に巻きこまれる。その渦中で彼女は“失なったはずの恋”に再会する。めくるめく愛とサスペンスに満ちた極上のエンターティンメント。第一回「小説賞」受賞作。
かつてメネス大陸を統一していたファルコン公国は、辺境伯の力が滅ぼされてしまった。数年後、ファルコン公国のお姫さまレミーを中心に、主人公ロム、魔術師ガーディは公国復興に立ち上がる。「ツァクト ザク ラグディオ ル ラバン」という謎の合言葉。これをもとに5人の協力者にコンタクトをとり、公国のシンボル「ファルコンの円盤」奪還作戦を決行する。目的地“沈黙の地”へ向う彼らを待ち受ける計略、裏切り、死闘。そして、辺境伯の巨大な野望が明かされていく…。今、ここに大河アドベンチャーの幕が開く。ようこそ、ドラゴンロックの世界へ。
おいらはナム。霊幻道士の修業中のおいらは,ひょんなことからデパートで開かれる、「キョンシー展」の警護をするこになった。そこへ怪盗ウーロンと名乗る男が、展示品の中でも特に価値のある“桜蘭玉”をうばうと予告状を送りつけてきた。それからが、もうたいへん!デパートの中はキョンシーたちが暴れ回るし、ベビーキョンシーは超能力を使っていたずらするし,おいらどうすりゃいいんだ。こうなったら、デコボコキャンシー軍団をたたきのめして、桜蘭玉を守りぬくぞ。
タマムスビ・カツマに夢で呼び出された3人組。そこで、3人の心の祖先である大天空丸が、悪の手に利用されようとしていることを知る。新宿の3つのビルの配置が、大天空丸を大天空災丸に変身させる邪悪の祭壇そのものであり、ある3つの要素が欠けているため、まだその力を発揮していないという。スサノオ、義経、清正ーこの荒武者のもつ3供物をそなえれば邪悪の祭壇は完成してしまう。天魔族が3供物を手に入れようと、動き始めた。天魔族より先に3供物を集めないと、大天空丸が危い。
競馬界では三大クラシックレースのひとつ、ケンタッキーダービーが間近となり、有力馬の馬主たちは盛大なパーティを催して前景気をあおっていた。そんな折、謎の脅迫状が馬主たちに送りつけられ、最有力馬の馬主が刺殺されという事件が起きた。三大クラシックの実況放送のためにケンタッキー州ルイビルを訪れていたレース・アナウンサーのジェリー・ブローガンは事件解明のために調査を始めるが…。注目の競馬ミステリ、第2弾。
第一次大戦のさなか、スイスに亡命中のレーニンは、ドイツの支援を受けてロシアへの帰途についた。ドイツ側の見返りは彼が政権をとった際の両国の講和。この情報を察知した英国は彼を暗殺すべく、スパイあがりのアメリカ人バウアーを派遣する。が、合衆国やロシアの思惑もからむなか、レーニンらが乗るヨーロッパ縦断列車に潜入したバウアーを待つのは死と陰謀の渦だった。史実を基に壮大なスケールで描く第一級の冒険サスペンス。
〈二年前のことだ。そのころから、ぼくのあたまはおかしくなり始めたー〉ぼくの名前はチャーリー・デッカー。プレイサーヴィル・ハイスクールの最上級生だ。ぼくは、代数のアンダーウッド先生と、歴史のヴァンス先生を父のピストルで射殺した。あっという間のできごとだった。しかし、だれもいまおこっていることを信じられない。警官隊がやってきてぼくたちを遠巻きに包囲している。ぼくとクラスメートたちは日常世界から切り離された世界に漂いだした。まるで白日夢のような、しかし緊迫した時間がながれていく。五月のある晴れた一日、教室で一体なにがおこったのか?モダンホラーの巨匠スティーヴン・キングが高校生の不安定な心の世界を、同世代の視点からあざやかに描いた、異色の青春サスペンス小説。