1988年12月1日発売
2年来の世界的な異常気象による飢餓と貧困は死者300名を超える東京大暴動をもたらした。そんな不穏な状況下で、確実に信者を増やしている組織があった。〈コムレ協会〉である。巨人津荒羅の復活による世界の「立替え立直し」を説く協会の開祖・古牟礼マキは実質的な指導者・生島郷治を片腕に、太古の黄金時代「古牟礼御世」の再建を目指すのだが…。《復活篇》に続く近未来SF長篇、待望の第2弾。
松永丈太郎、かつて敏腕記者、今、しがない探偵。そんな彼に儲け話が舞いこんだ。依頼主は政界に絶大な力を持つ服部宗十郎、調査相手は大学生片瀬直人。楽な仕事と高を括っていたが、偶然、片瀬の凄じい武技を目撃、加えて服部の失脚を狙う現職総理の密命で、内閣調査室まで動きだしたー。1200年、連綿と続く服部一族の権力の秘密は何か?片瀬の正体は?一撃必殺の拳法が炸裂する超伝奇アクション。
長州征伐前夜の幕末の江戸。幕府典獄・石出帯刀らは、伝馬町大牢から獄門寸前の元大船頭本荘長太夫をひそかに破獄させた。長太夫に影のようにつき従う幕府お庭番。果たして帯刀らの狙いは何か?新興開港地横浜の異人館に逃れた長太夫らは、数万両の大金とともにシャンハイに向かった。博多商人、俳諧宗匠、遊び人と次々と姿を変えて謎を追う鞍馬天狗も、蒸気船であとを追うが…。痛快時代長篇。
鞍馬天狗の追及を逃れてシャンハイへと向かった本荘長太夫は、はじめて破獄の真相を知った。長州征伐のためシャンハイで軍艦を買付け、日本に回航させようと目論んだのだ。だが、この企みは失敗に終り、長太夫は奇兵隊隊士篠塚多七郎のつてで長州へと向かった。一方、鞍馬天狗も西郷隆盛の密命をうけ、京から長州戦争の真只中へ。ようやく巡り会った長太夫と天狗の巖流島の対決。痛快時代長篇完結篇。
俺は私立探偵のジョー・コップ。こいつは全くの偶然だが、もとは警官だ。聖人君子というわけにはいかないが、正義感もほどほどに持っている。ちょっと強もてもするし、ストリート・ファイトもまあ得意なほうだ。そんな俺のところへトラブルの匂いをプンプンさせた女が訪ねてきた。ところが、この女は俺の事務所を出たとたんに、轢かれちまった。-傑作〈死刑執行人シリーズ〉につづく待望の新シリーズ誕生。
冬の午後にさす一条の斜めの光-。大伽藍にひびく重厚なしらべのように光が胸をふたぐ。孤高の詩人エミリー・ディキンスンをモデルにデュラスがつづる、愛することと書くこと、そしてしのびよる死をめぐる物語。最愛の息子への“遺書”とも思えるデュラスの最新ロマン。
本書は映画「ビバ・ラ・ビ」をノベライズしたものである。「ビバ・ラ・ビ」はひとつのミステリーであり、夢である。「ビバ・ラ・ビ」のスペースは晩秋から冬にかけてのパリとその郊外、タイムは私たちの生きている今…。スペースとタイムの設定はあくまで日常の域-しかし、この作品全体の印象はきわめて夢幻的だ。
松井滝彦はフリーのカメラマンである。カメラの仕事をしていると、彼には何かが憑くという感覚にしばしば襲われることがあった。取材先で出会う超自然現象に、現実ともつかない夢ともつかない幽界を漂うことがある。特に、怨念に満ちた過去の男たちと女たちのどろどろした愛欲シーンを垣間見たり、あるいは彼自身が、現実の女か亡霊かもわからないまま、その女との愛欲に取り憑かれ、おぼれてしまうのだった…。ファインダーから覗く異形の世界を余すところなく描く、官能ミステリー。
東京・新宿の超高層ビルに謎の組織「至福教団」が出現して以来、都内で異常な事件が続発した。通り魔殺人、ポルターガイスト、さらには、突然身体が人肉花火のように爆発する超カマイタチ…街は恐怖に怯え、猟奇の世界と化した。果たして、この怪奇現象は至福教団の仕業なのか?そして教団の教義〈土竜の心臓〉とは?教団の正体を暴くため、陸自中央調査隊・陣内と内調・氷室の切れ者二人が手を組んだが…。スーパー猟奇アクション。
純白のドレスに、真っ赤なしみがついた。観客が騒ぎだした。オペラの舞台上で、本物の殺人を目撃した孔雀警視は、そのまま怪事件の渦中へ!謎の館に幽閉され、全裸で縛りあげられて、鞭とローソクで…。つぎつぎ起こる奇怪な殺人、そして若き人形師への恋の予感!恋と事件が大好きな、おなじみ笙子の大冒険、第13弾。
丸の内銀行、東京駅前支店に大変な美人がいる。中上川良子、銀行の創業者中上川弥太介翁の孫娘である。一般行員にはアンタッチャブルのこのお嬢様がなんと、関東ではもはやただ一つの賭場を取り仕切る二代目賭博師であった!美人賭博師が男たちをしり目に、次々と起こる難問題に立ち向かう好評“博徒シリーズ”第2弾。
決戦のときは来た!輪廻転生を繰り返し、千数百年に及ぶ呪いとの戦いを続けてきた姫と5鬼。果たして、完全なる勝利を得て富士に封印された仲間の霊を解放することができるのか。強敵に立ち向かう彼らの胸に、初戦での凄惨な敗北が蘇る…。興奮、驚愕、恐怖、官能…すべてが凝縮されて結集。
ーニューヨークの北東、ロングアイランド島の高級リゾート地、ハンプトン・ビーチに埋められていた男の死体。男の名はヴィクター・アンボイズ。郷土史家。アンボイズは、百年まえに消えたという島の土地権利書の秘密を握っていた。だが、地元の警察はインディアンの青年を犯人に仕立てて、事件の真相をもみ消そうと…。-ハーヴァード大学出身の異色警官シュワーツが、休暇を返上して事件に挑む。好評シリーズ第2弾。
天正10年(1582)6月、京都本能寺で、織田信長を倒した丹波国の領主明智光秀は、たちまち羽柴秀吉軍に敗れ、光秀は小栗栖村で落人狩りに襲われ落命した。光秀の重臣であった斎藤利三も捕えられ、京六条河原で処刑され、その首は晒首になった。利三の妻あんと4歳の娘ふくは、宗我部村の弥助とその甥の弥九郎に助けられ四国土佐へと逃れた。肥後24万石の大名に出世した小西行長の世話で13歳のふくは京の三条西実条の元へ預けられ、18歳に成長して稲葉正成の後添いの妻となった。ふくの波瀾に富む運命は好転し、二代将軍秀忠の嫡男竹千代の乳母に任命された。大奥髄一の権力者春日局の65年の生涯を描く話題の歴史時代長編作。
浅草寺境内で易を立てる評判の美人易者ギャル桃花堂桃花と『週刊スクープ』の事件記者岬大助の二人が湘南へドライブに出かけ、暴走族のバイクに囲まれ、乱闘となった。その暴走族はブラックスターと名乗り、占星術星命教教祖のお告げによって動いているという。暴走族と易者、彼らは一体どこでつながるのか?桃花の好奇心が頭をもたげた。事件から1週間ほど過ぎて、教祖の公文黒星が江ノ島の岸壁から海に突っ込んで死んだ。桃花と大助は黒星の妹と称する麗花の星命教2代目襲名披露パーティーに、信者を装ってまぎれ込んだ。2人がそこで目にしたものは…!?(運命星の女)-事件記者と女易者探偵のコンビが殺人事件の謎に挑む青春ミステリー連作全6話!
新政府の反対分子を一掃するには金が要る。が、いずれニセ札は発覚する。邪魔者は川路利良大警視ただひとり。明治9年8月、築地の伊藤邸で、長州の三巨頭が密談していた。そのとき、伊藤博文工部卿は不気味な笑いをたたえながらある男を思い浮かべた。旧幕臣不破亮之介,29歳。肥前鍋島に伝わる殺人流の極意“三年殺し”を体得した男…。明治12年、衆目を集めた藤田組ニセ札事件を背景に、剣鬼と化した男の非情の最期を描く、迫力時代小説。