1988年1月発売
札幌女子大学国際学部三年の高梨夏美は、家庭の事情で1年間休学し東京に帰る決心をして、学内の旅行研究会主催のイベント列車〈レジャーエクスプレス〉を利用した“弘前りんごがりツアー”に参加することにした。留学生二人を含む女子大生87人名の夢を乗せて列車は札幌から函館へ、そして廃止が決まっている青函連絡船で青森を経て目的地の弘前へと向かった。ところが、JR東部日本に、この列車ごと女子大生たちを誘拐したとの脅迫状が届いて大騒ぎになった。犯人たちの目的は?前代未聞の事件はこうして始まった!
暑い夏だった。暑さで、みんながマッドになっていたのかもしれない。夏休みの間、安房小湊の成金、三島家の用心棒に雇われた我ら早大生四人。用心棒といっても素人の寄せ集めだ。主人の金政こと政吉は、仇名のとおりのゴールド偏執狂で、邸を夥しい金で飾りたてている。金政の愛娘で可憐な女優の、ゆかりさんが帰省していることも、この仕事をひきうけた理由のひとつだった。が、その金御殿でとんでもない殺人事件にまきこまれようとは…。我々は、偶然合宿に来ていた慶大美術研究会の面々と推理を競うことになった。
騒乱の江戸末期。江戸深川の料理茶屋で板前修業中の長次と芸者小えんは富岡八幡の夏祭りを楽しみにしていた。が、身投げを図ったおしんを助けたことから、反幕運動に巻き込まれる。一方、長次の親方嘉助は、かねて縁のある四条季房卿から料理の四条流免許を長次のために取得することに奔走していた。嘉助の助力のかいあって見事免許状はおりた。しかし、この四条卿も秘かに倒幕を画策する一人だったー。
両国橋を東から西へ渡る若侍があった。長州海部郡佐伯毛利安房守家中、根来兵三郎である。代々江戸屋敷御留居役を勤める小藩の出ながら、江戸流の剣を習って諸先輩に伍したいと熱い志を抱いている。兵三郎が門を叩いたのは、伊庭軍兵衛心形刀流道場だった。軍兵衛はやがて幕府の警護として特別隊を編成し、兵三郎もその一員に加わるが、時代は大きなうねりをみせて彼らを呑み込んでいく。傑作長篇時代小説。
現実と夢の間をさ迷う、純白のウェディング・ドレスの少女メラニー。血染めのドレスに暗示される、両親の突然の死。メラニーは、奇怪な玩具店の経営者、繰り人形に異常な執着を示す叔父フィリップの欲望に巻きこまれていく…。性の目覚めとそれに伴う様々な喪失。少女の成長の痛みを鮮烈に捉えた、いまイギリスで最も注目を集めているアンジェラ・カーターの意欲作。
本書は、徳富蘆花「不如帰」泉鏡花の「婦系図」夏目漱石の「坊ちゃん」森鴎外の「雁」尾崎紅葉「金色夜叉」菊池寛「父帰る」樋口一葉の「たけくらべ」谷崎潤一郎の「痴人の愛」などの明治大正の名作と呼ばれている近代古典の代表的な作品を八つ選び、それをパロディにして推理小説化したものである。
コマンドゲームの最中、突如現われた黒ずくめのライダーに“幽弾”で撃たれ、『幽界レベル1』へ送り込まれた田村省平。そこで長老・大友宗之介から、暴力団太平組の殱滅を命じられる。それは、総長・白藤安右衛門に4億円の遺産を騙し取られたうえ犯され、殺された松尾絹江の怨霊の依頼だった。現世へ戻るべく、復讐を誓った省平は、グリンベレー教官・龍池青児の肉体に幽体離脱し、白藤邸に乗り込む。だが、替玉作戦にひっかかり、あえなく失敗。そのころ、青児の自宅では妻と娘が連れ去られ、戦いは凄絶なクライマックスを迎えるが…?
タイ領事館に勤務する親友から、黄金の三角地帯で消息を絶った大物財界人の娘、由香の捜索依頼を受けた和智耕造はタイの奥深い村へ潜入した。手懸りを求め、行動を開始した耕造は誘拐事件の背後に蠢めく陰謀に巻き込まれる。麻薬の利権を巡る国民党と麻薬王クン・サーの確執。そして内部反乱とアメリカ連邦麻薬取締局(DEA)工作員の謀略。由香を拉致した目的とは?真実を知った耕造の怒りの殺戮が始まった。
超売れっ子タレント須磨屋いわしが何者かに拉致された!カルくて調子はいいが、笙子には気になる男。なんと、いわしの恋人照美は次期総裁最有力候補の娘だったが、彼女も行方不明に…。各派しのぎを削る激烈な総裁選。暗躍する大物政治家。美人警視が政界の深部に潜入し、巨悪を斬る!ますます好調、待望の第10弾!
シナリオ作家の矢柴研一は、画家・木原登の描いた一枚の絵に、遠く記憶の底に眠っていた何かを揺さぶられた。彼は閉ざされた過去を求めて、富山県の五箇山へ…。そこで三十数年前に首桶村で起きた惨劇の輪郭が浮かぶ。だが、真相に迫る矢柴の周りに不可解な死が連続して発生、彼の身にも…!ハード・サスペンス推理の傑作。