1988年5月1日発売
戦国時代に天下の覇を競った名将たちの卓抜な政略と戦略について記されたものは多いが、その心に分け入ったものは少ない。父を追放した武田信玄、兄を放逐した上杉謙信、父を殺し弟を討った伊達政宗、乱暴狼藉の限りを尽した織田信長、その信長を本能寺に屠った明智光秀、そして秀吉…。下克上の世を激越な心と鋭利な先見性で生き抜いた名将たちの屈折した心と天才性を余すところなく描いたユニークな伝記。
殺人犯が精神異常者だったら、正式の裁判を受けないですむー両親や検事はそれを選んだ。だが被告のクローディア・ドレイパーは、私は責任能力がある、裁判を受けたいと主張する。マクミラン検事VS.レビンスキー弁護士の法延における熾烈な闘いと、人間らしさを求めて自らの恥部をもさらけ出して苦悩するクローディアの姿を描く感動の法廷ドラマ!ワーナー映画化。
江戸への道中、病に倒れた小山田庄左衛門を救ったのは豆腐屋の半次と、おえん、おせいの美人姉妹だった。病癒えた庄左衛門は、やがておえんと恋仲に。血気もいつしか衰え、仇討は武士の作法にすぎないのではないかとの思いに悩まされ始めていた。その頃、内蔵助は内匠頭の弟によるお家再興を願い出たが容られず、逐に討入りを決意。時に、元禄15年12月14日。そして庄左衛門は…。長篇歴史小説。
映画館から出たとたん銃撃戦にまきこまれ、とっさに麻薬ギャングを射殺してしまった子持ちの中年私立探偵ブレイニーは一躍有名に。しかしこの事件をきっかけに彼の人生は大きく変っていく…。百万ドルの宝石の争奪を発端とするスピード感にあふれるスケールの大きなストーリー、連続殺人とその謎解き、凄惨なアクションシーン、そして哀切でショッキングな人間ドラマへと展開する結末!シリアスな読みごたえと娯楽性をかねそなえたハードボイルド小説の傑作。
大統領選挙に沸くアメリカ・ワシントンを震憾させる事件が続出した。ボーイング747撃墜、ソ連大使館参事官補ブコフスキー殺害-。CIA長官ウェブスターは、これを利用して組織内の厄介者ティーム・ストライカー壊滅をはかるが、追い討ちをかけるように直属法務官ナンシーが惨殺された。依頼を受けた地獄の傭兵部隊『鬼道組』は、敵の本拠地フォート・デトリックを襲撃。ついに隊長の連城と魔王の兵士ノーマンが対峠した。自爆シークエンスが発令されるなか、二匹の野獣は血みどろの死闘を繰り広げるが、この裏には驚くべき筋書きが用意されていた。
警視庁の天才警視、岩崎白昼夢。東大卒、国家公務員上級職試験3番合格。警視庁捜一に入庁以来、冷徹な頭脳と大コンピュータで難事件を解決。妻のみずえ警部補は、特例により同じ捜一に勤務する。幸せの絶頂にいる岩崎に、またもや事件が舞い込むー。南米の駐日大使が惨殺され、死体のそばには奇妙なカードが落ちていた。カードに秘められた国際シンジケートの陰謀を岩崎警視の推理で暴く。シリーズ第7弾。
警視庁捜査1課の荒竹十三のもとに、殉職した元同僚・飯岡の弟、邦朗が訪ねてきた。姿を消した恋人の槙未弥子を捜してほしいとの依頼だった。絵はがきを頼りに、未弥子が消息を絶った尾瀬に向かった二人だったが…。尾瀬沼畔の山小屋を出た彼女の足取りはそこで途絶えた。沼田署の必死の捜索によって、未弥子は山小屋近くの湿原で、首を切断された無残な姿で発見され、別の女性も同じように殺されていた!変質者の犯行なのか?同僚の白鳥と事件を追う荒竹は、未弥子の元恋人が、冬の尾瀬で不可解な遭難死をしている事実を掴むが…。大湿原を舞台に繰り広げられる惨劇を、奇抜なトリックを駆使して描いた、書下ろし長編推理小説の傑作。
不思議な夢に導かれ、美貌の姫と5人の鬼が現代に蘇った。彼らは、千年以上、輪廻を繰り返し、日本にかけられた古よりの呪いと戦ってきたのだ。しかし、新たなる敵は違っていた。現代に生きる強大な呪術者だったのだ!その正体とは…?平安時代から現代へ、魔戦が時を突き抜ける。大好評、“妖美伝”第2弾。
月面都市の地下深く、楽園を築き、そこに生きる人々-ルナティカン。彼らは、地上に住む月人から隔絶され、蔑視を受けていた…。巨大企業に利用されてアンドロイドの両親に育てられる少年・ポールは、自分がルナティカンであることを知り、驚愕する。地下世界行きを決意した少年は、冒険に旅立った。珠玉の傑作長編SF。
「狙いは本能寺にあり」-明智光秀の采配で、幼い福の運命は一変した。父の非業の死、一家の離散、激変する境遇の中、女が「天下を取る」には…。3代将軍家光の乳母として、大奥に威勢を振るった女の生涯を描く大作。
金正日は、なぜ真由美(金賢姫)と真一(金勝一)を、KAL機で自爆するように指示しなかったか。真由美と真一は、なぜバーレンにとどまっていたか。カプセルを噛んだ真由美が、なぜ生きかえったのか。真一はどのような人間か。彼は真由美と同行中、何を考え続けていたのか。韓国の気鋭のミステリー作家である鄭建燮氏は、この事件をいかに解いたか。
江戸は浜町の常磐津の師匠お妻の娘お光は、“浜町小町”と噂の色白の顔に大きな目が鈴を張ったような愛くるしくも幸せな十八娘に成長していた。が、お光は16年の昔、金四郎(遠山景元)によって深川の木場で拾われた奇しき運命にしばられた哀れな赤子であった。その肌身につけていたお守り袋の中の“18歳の4月10日の夜、本郷湯島天神境内の一本杉の根元に参集せよ”との書付けに従って出向いていったお光は、青白い顔にまるでざくろのような赤い唇の女と影法師の二人連れによって、いずくともなく連れ去られてしまった。もう一人、お光とまったく同じ運命に逢着していたのが20歳の美女、大奥中〓@62E4のお浦であった。-奇怪な桔梗屋敷の地下牢に捕らえられた2人の美女が秘めた謎とは…?
矢車ユカ、北沢亜紀、野川朝子の3人は京北女子大英文科の2年生、花の美人トリオ。ユカは元警視庁捜査一課警部の祖父彦之進との2人暮らしで、亜紀と朝子は共に地方出身でアパートでひとり住まい。そんな3人組みが思いがけず殺人事件にまき込まれた。殺されたのはスナックでバイトをしていた先輩で、その死体のわきには「拒絶」の花言葉をもつガーベラの赤い花弁が意味ありげに置かれていた。3人組みが捜査を開始したが、疑えばだれもが怪しい。そんな時ユカに奇妙な脅迫電話が。そして朝子が、続いて亜紀が殺された。死体にはどちらにも赤いガーベラが!?お嬢さん探偵ユカが危ない!-花の女子大生ユカの迷探偵ぶりは?お嬢さんシリーズ“復活”の青春ミステリー。
日本の暴力組織を東西に二分する尾藤組と北関総業、その間隙に台頭してきた麻薬王ル・チンミンの第3勢力、いずれも警察庁特命部隊竜崎軍団との数次にわたる壮絶な銃撃戦の末、いまや完全に葬り去られた、かと見えたが、いつまでも静かにしているはずがない。折しも、愛車マゼラッティに乗った竜崎三四郎が2台のショベルカーと1台の大型コンテナー車とで前後から挾撃され、壇竜四郎は自宅マンションで正体不明の女に麻酔弾を撃ち込まれて倒れた。2人とも間一髪で危地を脱したが、こともあろうに軍団のナンバー1とナンバー2を同時に撃うとはいかにも大胆不敵な挑戦であった。はたして挑戦者は何者か?-竜崎三四郎・壇竜四郎の大型拳銃が再度火を吐く。敢然と悪に挑む激闘最強軍団。
晩秋の昼下がり、東京湾岸の倉庫内の密室で、新進書家下条勝峰が何者かに撃たれ、重傷を負った。容疑は勝峰の母の愛人で、書道界を牛耳る評論家の稲村にかけられたが、まもなく彼は雪の山梨県内で他殺死体となって発見された。捜査陣が混乱するなか、今度は稲村を調査していた探偵渋川剛吉が交通事故に…。遺されたのは、渋川が手に入れた嬰児の毛で作った一本の〈胎毛筆〉。事件に巻き込まれたOL麻生遥子は恋人剣持澄人の力を借りて大胆な推理を試みたが、ふたたび第四の犯行が…。人気快調の著者が、伝統芸術“書”の世界に材を採り、軽妙洒脱な筆致で贈る本格推理の書下ろし傑作。
明治11年、長州出身の陸軍将校が相次いで斬殺された。大警視川路利良は死体検査証から〈暗殺者は左利きの剣の達人〉と断定した。折しも探索中の警視局探偵掛・藤田五郎は、榊原道場の門弟で、沖田総司に似た21歳の書生早乙女魁を下手人と睨んだ。が、魁は右利きで剣に才はないという。藤田は執拗に魁の過去を洗い始めた…。惨殺された父母の復讐に燃える無眼流の天才・左利き剣士の劇的生涯を、時の内務卿伊藤博文暗殺計画を背景に描く異色の時代小説。