1988年5月発売
日本の暴力組織を東西に二分する尾藤組と北関総業、その間隙に台頭してきた麻薬王ル・チンミンの第3勢力、いずれも警察庁特命部隊竜崎軍団との数次にわたる壮絶な銃撃戦の末、いまや完全に葬り去られた、かと見えたが、いつまでも静かにしているはずがない。折しも、愛車マゼラッティに乗った竜崎三四郎が2台のショベルカーと1台の大型コンテナー車とで前後から挾撃され、壇竜四郎は自宅マンションで正体不明の女に麻酔弾を撃ち込まれて倒れた。2人とも間一髪で危地を脱したが、こともあろうに軍団のナンバー1とナンバー2を同時に撃うとはいかにも大胆不敵な挑戦であった。はたして挑戦者は何者か?-竜崎三四郎・壇竜四郎の大型拳銃が再度火を吐く。敢然と悪に挑む激闘最強軍団。
晩秋の昼下がり、東京湾岸の倉庫内の密室で、新進書家下条勝峰が何者かに撃たれ、重傷を負った。容疑は勝峰の母の愛人で、書道界を牛耳る評論家の稲村にかけられたが、まもなく彼は雪の山梨県内で他殺死体となって発見された。捜査陣が混乱するなか、今度は稲村を調査していた探偵渋川剛吉が交通事故に…。遺されたのは、渋川が手に入れた嬰児の毛で作った一本の〈胎毛筆〉。事件に巻き込まれたOL麻生遥子は恋人剣持澄人の力を借りて大胆な推理を試みたが、ふたたび第四の犯行が…。人気快調の著者が、伝統芸術“書”の世界に材を採り、軽妙洒脱な筆致で贈る本格推理の書下ろし傑作。
明治11年、長州出身の陸軍将校が相次いで斬殺された。大警視川路利良は死体検査証から〈暗殺者は左利きの剣の達人〉と断定した。折しも探索中の警視局探偵掛・藤田五郎は、榊原道場の門弟で、沖田総司に似た21歳の書生早乙女魁を下手人と睨んだ。が、魁は右利きで剣に才はないという。藤田は執拗に魁の過去を洗い始めた…。惨殺された父母の復讐に燃える無眼流の天才・左利き剣士の劇的生涯を、時の内務卿伊藤博文暗殺計画を背景に描く異色の時代小説。
「ただちに停船しないと爆破する!」1300人を乗せ、津軽海峡中央部に達した青函連絡船〈津軽丸〉に脅迫電話が入った。時あたかも、予想を遥かに上回るスピードで北上中の台風の影響で海峡は風速30メートル、波高6、うねり6という大時化に見舞われつつあった。停船は即、転覆を意味するー。船長は犯人の要求を無視したが、やがて後部甲板で爆発が起こった…。荒れ狂う海峡に青函連絡船へのレクイエムとして贈る著者渾身の力作サスペンス。
孔雀の夫婦が旅をしていると、ガチョウが助けを求めて来た。イブン・アーダムというあやしい生き物から逃げて来たのだという。イブン・アーダムは獅子をもとり殺すほど怖ろしいものだ。その正体はいったいなんだろう?(「鳥獣佳話」)。そのほか、寓意にみちた話がいっぱい。
残酷さとユーモア、とぼけた語り口、簡潔な文体で、心の暗部を描き出すサキ。新訳4篇を含む86篇を発表順に編集して2冊で贈るサキの決定版。本巻には、人間の醜聞を次々と暴く、言葉をしゃべる描の話『トバモリー』をはじめ、『ハツカネズミ』『エズミ』など44篇収録。
心優しきニヒリストで冷笑的なヒューマニスト・サキ。ユーモアと幻想、奇抜な着想で人間の暗黒部分を描き出す短篇の名手・サキ。新訳4篇を含め彼の短篇86篇を発表順に2分冊で贈る決定版。本巻には、伯母のお伴でデパートのバーゲンセールに行き、店員になりすまし、お客からもらったお金をポケットに入れてしまう甥の話『夢みる人』をはじめ、『マルメロの木』『禁じられたハゲタカ』など42篇を収録。
雪の降る夜、屋敷の離れで新婚初夜の夫が殺され、新妻が姿を消した-しかも犯行のあった部屋の襖は、ガムテープで目張りされていた?!関東平野の片田舎に連続して起こる密室殺人!書き下ろし連作短編集。
時に1670年5月、チャールズ2世が英国に帰還して10日後のこと、郷紳ロデリック・キンズミアは遺産請求の件でロンドンに上った。ヨーク・ハウスでバッキンガム公にお目見得のつもりが、一人の竜騎兵の隊長にからまれ、これがもとで殺人事件、はては国家的陰謀に巻き込まれてしまう。見そめた美人女優との逢瀬もままならぬうち、英国国王からフランスに密書を運ぶ役目を仰せつかった彼を待ち受けるものは何か?そして殺人者の正体は?カー,十八番の歴史物。
たがいに反目し合っていた二人の青年、エドウィン・ドルードとネヴィル・ランドレスは、嵐のクリスマス・イヴにエドウィンの叔父ジャスパーの家で仲直りの食事をしていた。その翌朝、甥の姿が見えない、とジャスパーが騒ぎだす。捜索の結果、河の堰でエドウィンの懐中時計が見つかった。彼の身に何が起こったのか?最後まで一緒だったネヴィルに嫌疑がかけられるが、決め手となる証拠はない…。さて、事件の真相は?19世紀の文豪ディケンズが、本格的な推理小説に挑み、志半ばで絶筆となった未完の書。
クリスタル湖キャンプ。20年前、この湖でひとりの少年が溺れてから忌わしい事件が相次ぎ、ある時期からここは閉鎖された。〈血のキャンプ〉そう町の連中は呼んでいる。ところが今年から再会されるという。そして、指導員のバイト高校生たちがやってきた。何も知らずに…。そう、今日は13日の金曜日。不朽の元祖スプラッタ映画完全小説化。
なぜ目覚めたのか、わたしには分からない。蒸し暑い夜だった。やがて目の前の衣装箪笥の扉が開き、中身のない夜会服が滑り出てきた。それは宙を漂い、窓を抜けて外へー。哀しくも恐ろしい表題作をはじめ、〈ゴーメンガースト三部作〉外伝とも言うべき「闇の中の少年」など、想像力の極北をきわめたピークがおくる怪奇と幻想のアラベスク全5編。
コブウェブ・ステーションでは太陽系最大の機密研究が進行していた。敵意を持つ知的生命体を発見するや、急襲し破壊するにたる力を有した人工生命体の開発である。…が、その17体の人工生命体が、研究ステーションを壊滅させ、いずこかへ逃走した!やがて追跡チームが編成される。獲物の暗号名は、“ニムロデ”。新時代の本格派が放つ大型SF。
霧波は杖を逆手打ちで、加部重義の脳天に振り下ろした。躱される。と、筋肉質の男が、拳銃を構えていた。「杖を捨てな。これはイミテーションじゃないぜ、試してみるか」銃口が霧波の胸に向けられる。「卑怯だぞ」杖を逆手打ちで、男に手首に叩きつけた。男の手から拳銃が落ちる。「くそ、この野郎」手を伸ばして、拾おうとした男の水月に体をひねりざま、返し突きを入れた。「うぐーっ」男が前屈みに崩れおちる。仲間の野木がナイフを手にした男たちとやり合っていた。「ホーッ」霧波は怒りを込めて、杖を薙ぐ。-1千億の遺産強奪を謀る黒幕に神道夢想流杖術が怒りの挑戦!必殺の格闘技で敵の牙城に追る三闘士。