1989年10月2日発売
鳴門秘帖(三)鳴門秘帖(三)
弦之丞を恋するお綱、お綱を追うお十夜。弦之丞はお千絵を想い、お千絵は旅川周馬に迫られる。恋と剣のまんじ巴は、木曽から鳴門の汐路へとつづく。阿波藩を動かす勤王の大立て者竹屋三位卿は、弦之丞の前に立ちはだかる強敵であり、剣山の間者牢に年久しくつながれる甲賀世阿弥の死命をあずかる非情の人でもあった。いま、山頂の牢を前にして、幕府方、勤王派の最後の死闘が展開される。
上杉謙信上杉謙信
謙信を語るとき、好敵手・信玄を無視することはできない。精悍孤高の武将謙信と千軍万馬の手だれの武将信玄。川中島の決戦で、戦国最強の甲軍と龍攘虎摶の激闘を演じ得る越軍も、いささかもこれに劣るものではない。その統率者・謙信と彼の行動半径はー?英雄の心事は英雄のみが知る。作者が得意とする小説体の武将列伝の一つであり、その清冽な響きは、千曲・犀川の川音にも似ている。
新・平家物語(十五)新・平家物語(十五)
義経必死の腰越状も、兄頼朝の勘気を解く手だてにはならなかった。義経斬るべしの声は、鎌倉方の決意となってゆく。そして堀川夜討ちは、両者決裂の烽火であった。頼朝は大軍を率いて黄瀬川に布陣。運命の皮肉と言おうか、あのとき手を取り合った弟を討つための夜営になろうとは!この日から義経は失墜の道を歩む。波荒し大物の浦、白魔に狂う吉野山。悲劇は義経一人にとどまらない…。
新・平家物語(十六)新・平家物語(十六)
平家が西海の藻屑と消えてわずか半年後、武勲第一の義経は、それまで指揮下にあった頼朝の兵に追われる身となった。吉野から多武ノ峰、伊勢、伊賀ー息をひそめて主従7人、平家の残党の如く生きる。静を見捨ててまでの潜行につぐ潜行。義経はひたすら東北の空を仰ぐ。そこには、頼朝の最も恐れる藤原三代の王国がー。人間の愚、人間の幸福をきわめつづけた吉川文学の総決算、ここに完結。
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