1989年10月発売
ヘアンを目指して旅を続けるヨシツネ一行は、途中、生き別れていたヨシツネの兄、ヨリトモと出会う。ヨリトモはヘアンへの侵攻を狙う復興ハラー族の大将となっていた。再会を祝すヨシツネとヨリトモ。しかし、一刻も早くヘアンへと血気にはやるヨシツネを、ヨリトモはおさえる。“我等はハラの直系。むざむざ命を落としてはならぬ”。ヨリトモは、一の腹心カーツ・ヨシナカをすでにヘアンへ派遣していたのだ。が、都より届いたのは、“ヨシナカ乱心”の知らせ。ヨシツネは兄ヨリトモをなだめ、ヘアンへ向かう。ものすごい邪気にあふれるヘアンの空は、紫色に染まっていた…。
あたし、桑名まゆり。ある昼さがり、例によってあたしは、お気に入りの隠れ家へ行ったの。と、その時、あたし、思わず息をのんでしまった。ネズミでも、ネコでもリスでもない、奇妙な生き物が、目の前を通り過ぎるじゃあないっ!クラスメイトで、ちょっぴり近よりがたい雰囲気のユウキが世話をしている、というその生き物、チャマ。ケイスケとトオルも乗りだしてきて、あたしたち4人、チャマに導かれて、どうやら不思議空間にワープしちゃったみたい…。
東京湾に500メートルもある巨大な桃(モモリス)が打ち上げられた。モモリスが出ている『笑撃波』なる奇怪な音波が原因で東京湾周辺住民が突然笑いだすという事件が起こった。危機を感じた日本秘密謀報局の長官(ミスッタM)は、桃太郎(00モモ)に、モモリス解除の命令をくだした。スパイになった桃太郎は、モモリスの秘密を暴くために東京の街へ繰り出す。続々登場する敵スパイたちとの、壮絶なチエイス!果たしてモモリスの正体は?好評シリーズ第3弾。ここに登場。
星好き少年のボク、山村宏明は、その夜も天体観測に没頭していた。と、…隕石発見!ボクはあわてて、隕石落下地点の裏の公園へと急行した。しかし、そこには隕石などなく、そのかわりに妙な機械と、男の死体があった。その妙な機械をいじったとたん、ボクは気を失って…。気づくとそこは、戦国時代。しかもそこでは、歴史を狂わそうとするマインドロボットと、それを阻止するタイムパトロールとの壮絶な戦いが繰り広げられていたのだ。日本の未来をかけた戦いが、戦国の地で始まった。キミは歴史を守ることができるか?
フラナリーは下水道を点検中、まっぷたつに切断された男の死体を発見した。男はラテン系で、検屍官によれば、鰐に噛みちぎられているという。果たして大都市シカゴの下水道に人喰い鰐が棲息しているのか?折りしも愛鳥を何羽も盗まれたという女性が、フラナリーに助けを求めてきた。捜査にのりだしたフラナリーはやがて、一見無関係なこのふたつの事件の間に思わぬ接点を見出すが…。
警視庁のエリート刑事・水上夏樹は、カクテル作りが趣味という独身貴族だ。そんな彼のもとに、レイプ殺人事件発生の報が入ったのは、いきつけの酒場でたまたま美人キャスターの西光寺綾子と知り合った時だった。折りしも、白いソアラの美女ばかりを狙うレイプ事件が頻発していた。水上は犯人の手口を分析、囮を使って間もなく一連の事件の容疑者を上げた。だが、問題はそれからだった。男は犯行を全面否認したうえ、冤罪事件番組の担当である綾子に保護を求めたのだ。惚れた女と対決するハメになった水上に、次いで男の自殺の知らせが入った…。
新米中学校教師の浅太郎が深夜のドライブ中に拾った、ネグリジェ1枚の美少女。触れなば落ちんという風情についフラフラとなった浅太郎。少女を車の中に連れこんでヨロシクやったまではよかったが、実はその少女が、自分の教え子だったから大変。弱味を握られた浅太郎は、少女の色仕掛に翻弄されて…。小悪魔のような少女たちの奔放な性を描く傑作官能ロマン。
その建物がまだホテルだったころの名残で「夕陽ホテル」と呼ばれる小さなマンション。そこの4階の住人たちに、ある日、オーナーからパーティの招待状が届けられた。ほとんどの住人が出席してささやかな祝宴は開かれたが、その日を境にして、それまでお互いの生活にまったく無関心だった住人たちの関係に、小さな亀裂が生じていった…。都会人の孤独を浮き彫りにする、傑作長篇ロマン。
横浜のマンションで大学浪人生がガス自殺を図った。その数日後、浪人生の保険を査定していた岩佐が、何者かに殺されたうえに住まいを放火された。この火災は、さらに隣室の主婦をも巻き込み、彼女は重傷を負ってしまう。毎朝新聞の梶三郎は、避難梯子の欠陥によって主婦が怪我をした事に注目し取材を開始するが、そこには岩佐殺害に関わる謎と意外な人間関係が浮び上ってきた。
焼却炉の中から死体で発見された女が残した1枚の手紙。そこから判明した消防士・有本の殺人動機。だが有本は、湘南で起きたLPG運搬車爆発事故で多くの人命を救い、現場に居合わせた梶の記事もあいまって、一躍英雄として注目される。捜査陣の困惑をよそに続く“火”の惨劇と連続殺人。狂気の炎はさまざまな人間の愛憎を巻き込み、事件はクライマックスへと燃えあがる。大河ミステリー第2部完結篇。
南国生れの小麦色の肌。その若々しい健康な肉体を狙う野獣たち。磨き上げた肉体を武器に野望と欲望の渦巻くファッション業界にのしあがろうとする麻紀。ようやくたどりついた専務秘書その華麗な響きとは裏腹の欲望処理の牝奴隷。花淫に専務のペニスを口喉にカメラマンのペニスを男の体液にまみれながら終わりのない凌辱の饗宴に汚辱はエクスタシーへと昇華する。
ふとしたきっかけで56才の女性に、65才の男がせっせと恋文を送り始める。男側の恋文だけで成り立つこの小説は、デリベス得意のモノローグもので新小説の萌芽といわれる「マリオとの5時間」の延長線上にある。ユーモアとアイロニーに満ちたスペインの書簡小説。
四国の名家に生まれ、東京の女学校に学んだ百合子。だが、大正14年雑誌「文芸日本」を興こした進藤延との結婚は破局に終わり、やむを得ず3人の子供を両親に預け、一人東京で暮らしていく。転々と職を変え、やがて蒲田の大部屋女優となるが、ついに我が子と気持ちを通じ合えぬまま、一人孤独のうちに生涯を閉じる。死後、長男の著者の手に渡った遺品の日記からは、我が子を手放さざるを得なかった母親の切実な叫びが聞こえてくる。-あたしは愛したい-この言葉を残して逝った母親の姿を綴った一代記である。