1990年10月1日発売
クリスマス・イヴの夜、バーで金髪美人に話しかけた主人公は、それがきっかけとなり次々と不幸な出来事に襲われます。しかし、そんな彼にかわいい中国娘が助っ人につきました。雪が降りしきるダウンタウンでのハートウォーミングな冒険。
殺されたのは有名宝石店の美人社長。しかも別れた元女房。探偵コンビの相手はポニーテールの女子大生。事件を彩る華やかな女性たち…。ぼんやり佇んで、人生をやり過してきた中年男が、やむなく少し前向きに歩き出した街は、花の盛りの青山・渋谷・銀座界隈。事件の終りはいつも哀しい。粋な会話の都市物語。
盗賊団の親分たちだった祖父が組織した抗日ゲリラ隊。その祖父に連れられて数奇な運命をたどる「わたし」の父。共産党軍と国民党軍、日本軍とその手先の傀儡軍、さらにあやしげな秘密結社「鉄板会」などがからんで展開する壮大な欲望と血と愛のロマン。
満開の桜の下、弘前城を身じろぎもせず眺める男の姿があった。黒木豹介ー国家から殺しのライセンスを与えられた、日本で唯一人の“特命武装検事”である。偶然にも、日本財界のゴッドファーザーと異名をとる滋賀雷鋒にでくわした黒木は、滋賀が、不審な外人グループにつけ狙われていることに気づく。苦渋に満ちた雷鋒の表情…。黒木は巨悪の存在を直感し、稔書高浜沙霧に指令を出した。
犯罪発生件数が一番多い火曜日に事件は起った。東京着、6時57分の寝台特急“出雲”4号のA寝台個室1号室と2号室で、男と女の死体を発見。女は関西のストリッパー三条ひとみ、男は大学教授の西川太郎と判明。死亡推定時刻は男が死後4、5時間、女が死後10時間と微妙に食い違っている。鉄警隊の清村公三郎部長刑事は丸の内署の秋山刑事と組み独自の捜査に乗り出す。好評、鉄警隊シリーズ第2弾。書下し長篇。
航空検察官・伊吹竜のもとへ奇妙な遺書が届いた。文面は“虎は必ず放たれる”。かつて北朝鮮への亡命にハイジャックを企て失敗、死刑を執行された男のものであった。同じ頃、北朝鮮工作員とみられる男の惨殺体が発見され、所持していた暗号から「竜」の文字が浮かんだ。折しも全斗煥大統領の来日を控え、国際的謀略を嗅ぎとった伊吹竜は、「虎」と「竜」を追って大阪の街に潜行した。長篇航空アドベンチャー。
外交官であった能垂伯爵を父に、フランス人を母にもったヒネモス・のたり氏は、パリの下町に40年も住む売れない画家だ。ある日突然、パスポートを盗まれ宿無しになった日本人娘・野田ひとみがころがり込む。彼女はモデルとなり、ヒネモス氏の副業である探偵の助手も務め、ついでに処女も捧げる。“女の都市”パリにくり拡げられる難事件に体当りするヒネモス氏とひとみの活躍を描く連作ユーモア・ミステリ。
恋人より仲良しの僕とレイコは、ただの友達同志。大好きだから自由な二人でいたいと願う僕は、彼女のひたむきさに戸惑い、揺れ動く。試験休みの4日間。神戸の街を雨のように通り過ぎた17歳の恋を描く、永遠のティーンエイジ・ノベル。文芸賞受賞作。
マネーゲームの成功の頂点から破滅へむかって実行する青年実業家、コンピュータで〈神〉と戯れる女性プログラマー。豊田商事事件をモデルに、壮大な構想力で現代の狂気と悪夢に挑む、三島賞作家のデビュー作。
動乱の時代を迎えようとしている安政年間、第13代将軍・徳川家定の後継ぎを巡って水戸・一橋党と紀州・南紀党は熾烈な勢力争いを繰り広げていた。南紀党を率いる紀州藩付家老水野忠央は老中首座の阿部正弘を暗殺、一方、一橋党も忠央や井伊直弼の懐刀長野主膳の暗殺を企てるなど、攻防は一進一退を繰り返していた。そんな折、一橋党の首魁水戸斉昭が失脚、直弼の大老就任が突如実現したことで形勢は傾くが…。
日美子は友人の皆川昭子に招かれた。タロット占いのお礼にご馳走したいという。ところが昭子は何者かに刺し殺されていた。数日後、昭子から1枚のタロットカードが届いた。調べてみると歌麿の筆によるものらしい。さらに昭子の夫・治郎の許に脅迫状が、そして治郎も…。友の死に迫る日美子の名推理。
運命・宿命が、想像もできない結末を描き出す「真知子の決心」、男女が官能の姿態を晒す「情事の絵本」、怪奇色濃い「蚊帳の中」、推理小説の手法が存分に駆使された「殺人計画」…。巧妙なドンデン返しと、機知や工夫が随所にほどこされた結晶の数々。待望された、著者唯一のショートショート集。
会社を辞め、再出発のため引っ越した舞衣子。早速痴漢に遭い、無言電話に悩まされる。そんなとき、恋人・啓介に、ひとり暮らしのOLや女子大生を惨殺した犯人の容疑が…。大都会の孤独と恐怖を描く、戦慄のサスペンス力作。
函館山中で白骨死体が発見された。死体は1年前に失踪した、もと帝都大学勤務の女性と判明。一方、青森から上野へ向かう寝台特急「ゆうづる」の車内で退職刑事が殺された。そして死体からは帝都大学の電話番号が書かれたメモが。事件の謎を追う壮と美緒。二転三転する犯人像と鉄壁の時刻表トリック。アリバイ崩し力作。
友人の死…、そして、最愛の者の死ー生きていることと死ぬこと、そこに一体どれだけの違いがあるのだろうか。冷徹な目で見つめ、その本質を見極めるグラフィックデザイナーの第一人者が、生者不可避の「死」をテーマに捉え、読者にいやが応でも個々の結論を迫る、人間触発の凄まじい力書。