1990年10月発売
マネーゲームの成功の頂点から破滅へむかって実行する青年実業家、コンピュータで〈神〉と戯れる女性プログラマー。豊田商事事件をモデルに、壮大な構想力で現代の狂気と悪夢に挑む、三島賞作家のデビュー作。
動乱の時代を迎えようとしている安政年間、第13代将軍・徳川家定の後継ぎを巡って水戸・一橋党と紀州・南紀党は熾烈な勢力争いを繰り広げていた。南紀党を率いる紀州藩付家老水野忠央は老中首座の阿部正弘を暗殺、一方、一橋党も忠央や井伊直弼の懐刀長野主膳の暗殺を企てるなど、攻防は一進一退を繰り返していた。そんな折、一橋党の首魁水戸斉昭が失脚、直弼の大老就任が突如実現したことで形勢は傾くが…。
日美子は友人の皆川昭子に招かれた。タロット占いのお礼にご馳走したいという。ところが昭子は何者かに刺し殺されていた。数日後、昭子から1枚のタロットカードが届いた。調べてみると歌麿の筆によるものらしい。さらに昭子の夫・治郎の許に脅迫状が、そして治郎も…。友の死に迫る日美子の名推理。
運命・宿命が、想像もできない結末を描き出す「真知子の決心」、男女が官能の姿態を晒す「情事の絵本」、怪奇色濃い「蚊帳の中」、推理小説の手法が存分に駆使された「殺人計画」…。巧妙なドンデン返しと、機知や工夫が随所にほどこされた結晶の数々。待望された、著者唯一のショートショート集。
会社を辞め、再出発のため引っ越した舞衣子。早速痴漢に遭い、無言電話に悩まされる。そんなとき、恋人・啓介に、ひとり暮らしのOLや女子大生を惨殺した犯人の容疑が…。大都会の孤独と恐怖を描く、戦慄のサスペンス力作。
函館山中で白骨死体が発見された。死体は1年前に失踪した、もと帝都大学勤務の女性と判明。一方、青森から上野へ向かう寝台特急「ゆうづる」の車内で退職刑事が殺された。そして死体からは帝都大学の電話番号が書かれたメモが。事件の謎を追う壮と美緒。二転三転する犯人像と鉄壁の時刻表トリック。アリバイ崩し力作。
窓とドアは閉め切られ、蟻さえ侵入できない密室。そこに他殺死体が転がっていた。犯人はどんなトリックを使ったのか?-古今東西、ミステリーファンを魅了してやまない密室トリック。密室は無限の謎を秘めた小宇宙だ。さあ、50の難事件に挑戦しよう。トリックを見破れるのは、名探偵のキミだけだ。好評シリーズ第5弾。
自らが所属する英秘密情報局に追われる身となったバーナード・サムソン。最愛の町ベルリンに吹く風もいまは冷たく、裏切りと謀略の世界に棲む彼にとって、心を許せる者は幼馴染みしかいない。一連の謎と混沌を解く鍵を握っているのは、東に寝返ったバーナードの妻フィオーナ。彼女の出現で事態は思わぬ展開を…。-名手デイトンの世界的ベストセラー、新三部作『フック/ライン/シンカー』待望の第2弾。
中堅の精密機械メーカー・協和精工の株が密かに買収されている。同族会社の経営陣は、事態の重大さに気づいていない…。彼らの前に立ちはだかるのは“買収王”の異名をとるM&Aの旗手である。東京支社の北池隆史は独自の調査をはじめるが…!?長編企業小説。
ミシュリーヌ・ピュジェ。ラフォンテーヌ高等学校第一学年。捜索願いの出た前日に十五歳になったばかりだ…。パリ、オルフェーブル河岸の殺風景なオフィスで、警視庁風俗取締部の敏腕刑事ボリス・コランタンがつぶやいた、「変だな。娘は一ヶ月も学校に出ていない」-女優志願の少女は、恋人の紹介で映画プロデューサーと称する男に会っていた。男は暗い緑色の目でじっとみつめた。「申し分ないね」巧みな口車にのせられ調教が始まる。檻禁、鞭、麻薬。あどけない性の奴隷への変身。捜査は遅々として進まず、手がかりの恋人も殺害された。業を煮やしたコランタンは、意気投合したストリッパーを囮に使うが…。危機一髪の人気シリーズ第一弾。
ナディアは女ではなかった。男娼。その魅力の虜になっていることは誰も知らない-はずだった。お娯しみの場面を写真に撮られてるまでは!社会的地位も平和な家庭も、全て諦めなくてはならないのか!-警察に泣きついてきた兵器会社の重役の一件を、ただの恐喝事件ではないとにらんだコランタンは、早速調査を開始。するとアラブへの武器輸出をめぐって競合するアメリカ社の影が浮かび上がってきた。敵はナディアのヒモを使って罠をしかけたのだ。目には目を、逆にそのヒモにフィルムを盗み出させるが、そのままフィルムを持ち逃げされてしまう。契約期限までもう時間がない。コランタンの追跡は、ブーローニュの森の同性愛者の大狂宴へ-。
パリ南郊、何のへんてつもない団地で二人の少女が姿を消した。懸命の捜索にもかかわらず行方は杳として知れない。そして第三の犠牲者。今度は死体が発見された。十五歳の少女、絞殺、死化粧を施されている。その夜、クロディーヌが年頃特有の軽い気持ちから、同じ団地のうだつの上がらぬ四十男を挑発しさえしなければ-。「お隣のおじさん」が夜ごとみだらな妄想の中で少女たちを拷問にかけていたとは、もちろん彼女は知る由もなかった。風俗取締部に捜査命令が下った。コランタンは早速女友達と夫婦を装って団地に潜入、張り込みを始める。濃霧たちこめる陰鬱な十一月、ついに容疑者逮捕にこぎつけた。が、また新たな犠牲者が…。
カウボーイブーツを響かせ、マローンがやってきた。ジェーシーはマローンと組んで昼の連続ドラマのシナリオを書いている。今のところ、番組は高視聴率をあげている。ところが、彼は、いつになくうかない顔をしている。きいてみれば、プロデューサーの意向で昔ジェーシーの恋人だった俳優デレクがもう一度ドラマに戻ってくるという。私を裏切った男、あのデレクが帰ってくる!ジェーシーは動揺のあまり彼女を見つめるマローンの複雑なまなざしにも気づかなかった。
ハリウッドの敏腕ディレクター、アシュリーは、ただ一つ、苦手なものがあった。それは子ども。2年間、アシュリーは、2人の子どもを持つ派手好きなディレクターと結婚していた。しかし、その子どもとそりが合わず、以来、子どもは一番の苦手となったのだ。ところが、今日のコマーシャル撮りはよりによって2歳の男の子。きっと言うことをきかず、泣きわめくにちがいない。しかし、その赤毛の男の子はまるで天使のよう。そしてその父親は…。服装にはかまわないものの、何か心惹かれるものがある。アシュリーの胸はときめいた。
レディー・ヴェスタは、ひとり、地中海の小国、カトーナの埠頭に立っていた。カトーナの王妃にと求められたヴェスタは、父に切望され、相手の顔も知らぬまま、イギリスをあとにした。そして、ここで出迎えのミロバン男爵と会うはずだった。ところが、ヴェスタの目の前に現れたのは、ミクロス・ツァコー伯爵だった。彼は、革命が起こりそうだからヴェスタにすぐに帰国するように勧める。しかし、ヴェスタの決意は固く、何としても夫となる大公殿下に会うという。ヴェスタの頑固さに、さすがの伯爵も折れ、2人は大公殿下の住む宮殿をめざして歩き出した。
スーザンは、ファッション雑誌「ヴォーグ」の編集者として、将来を嘱望されていた。そのスーザンが恋に落ちた。相手は世界的に名の知れた若きピアニスト、リチャード・アントニーニ。まるで少女のように、リチャードとの生活を夢みるスーザン。しかし、妻となったスーザンは、音楽一家アントニーニ家のあまりの異質さに愕然とする。そして、一家に君臨する母マリアは、まったくスーザンをうけいれようとはしなかった。
リチャードは、30歳を過ぎていまだに自立できない-。偉大な母マリアの操り人形だった。障害を持つ自分の娘を愛することもできず、他の女との過ちをくりかえすリチャード。スーザンが恋に落ちたころの、思いやりとウィットに富んだ貴公子の姿は、もうどこにもなかった。リチャードとの暮しに疲れ、ずたずたになったスーザンは、ふと、もうひとつの愛に賭けてみようかと考える。穏やかで、誠実な愛に-。
シャーリー、26歳、先天性心臓弁膜症-。カルテには、こうあった。病院の白いベッド、激しい発作、死すらもシャーリーには友だちだった。ナイーブな感性と知性で、どんな苦しみにも、ユーモアの魔法をかけてしまう。有能な青年弁護士ブライアンは、そんな人柄に、たちまち魅せられた。愛する人とのデート、抱擁、セックス、結婚。女としての愛のひとつずつに、光をあててゆくシャーリーに、ブライアンは強く優しく応えるのだった。映画「ラブ・ストーリイ」以来の愛のドラマとして、ニューヨークでもベストセラーになった話題作。
ふとしたことから“Λ(ラムダ)時空管理局”でバイトするハメになった2人の高校生。時空を超えて、苛酷な指令が…。ストーリーのほかに、すぐに使えるRPGシステム+シナリオがついており、あなた自身もRPGで冒険を楽しむことができます。