1990年3月1日発売
「エルサレムに入城するイエスさまを乗せた、小さな子ろばのようになりたい。〈主の用なり〉と言われたら、たとえ自分に力が無くとも、どこへでも出かけて行こう」-敗戦後の激動の満州から帰国した多感な青年・榎本保郎は、挫折を試練にかえて立ち直り、神の道への献身をこのように決意する。京都世光教会を創立し、今治教会を経て、アシュラム運動の発展のために全身全霊を捧げた、熱血牧師の52年の生涯。
甦った矢切鞭馬は、現界と魔界をつなぐ幽暗の鬼窟に閉じ込めた妖鬼の招喚を企む黒部一族を殲滅しようと決意した。そのため日常はしがない塾教師をしているが、実はテレポート能力を持つ超戦士・萩生真介に助勢を求めた。しかし真介は妖艶な黒部千明の淫術で淫囚にされてしまう。超伝奇長編小説第2弾。
何ものかに鋭い牙で裂かれた死体が、首都一円で次々に発見された。一命をとりとめた若い女は、「見たこともないような獣に襲われた」と証言した。妖獣狩りを依頼された古丹神人、比嘉隆晶、遠田宗春、猿沢秀彦の4人の超能力者は、妖獣の力の軍事利用を企む超大国の陰謀を粉砕すべく立ち上がった。
天国にいるママの声がききたい、とパパがはじめて泣きました。そこでめいは、パパにすてきな贈りものをします。-表題作「赤い糸の電話」、恋人と妖精の世界へ帰るため、幸福な人間の流すなみだを集めているおばあさんー「十万粒のなみだ」など、11編の物語。心のせつなさが、かなしさが、やさしさが、ゆめをつむぎ出します。
新しい言葉の創造によって“時代”が鼓舞される作品、そういう作品を発表し続けて来た文学者・大江健三郎の20代後半の代表的長篇傑作『叫び声』。現代を生きる孤独な青春の“夢”と“挫折”を鋭く追求し、普遍の“青春の意味”と“青春の幻影”を描いた秀作。
小春日和の熱海の岩陰で、肩を抱き合い、語りあってるカップルはーこ存じ、宙太と星子、じゃなくって、亜利沙さん。なんと、宙太の浮気現場を目撃してしまったのが、われらが星子。…夢よ、絶対、夢よと必死でいいきかせてみ、穏やかじゃありませんっ。ウサ晴しに恒例のひとり旅、いざ九州へ。ところが、またまた殺人事件。右京につながりのある女子大生がふたりも殺されて…。
鳳プロの社員旅行に誘われた美樹は、ようやく親の許しをもらい、シュン、満、荒井、片山、彼と同じ会社の旅行専門編集の園川都ともどもタヒチへやってきた。美樹は、年がいもなく、ツアーで知り合った小学生の日向子がさかんにシュンに接近するのに悩まされながらも、ポリネシアの雄大な景色を楽しんでいた。ところが奇妙な鳥が気になりだしてから、美樹とシュンの周辺は騒がしくなった。
壮太郎と木綿子は山に囲まれた信州の町で育った幼なじみ、壮太郎が1歳年上だ。それぞれ中学を卒業すると、父親の転勤によって東京へ移り、博習館高等部へ進学した。2人は1年のブランクののち再会したのだが、壮太郎はすっかり変わってしまっていた。彼は代議員議長として有名で、現在の恋人は真希子。大人の関係だ。しかし、それを知っても彼に対する木綿子の気持ちは変わらなかった。
「このウワキモノ!」ミス松高といわれる岬真奈美から、おれにたびたび電話がかかってくるので、妹のかなえは最初冷やかし半分だったのが、最近では、反感をあらわにしている。理由はわかっている。札幌のゆり子をどうする気なのだといいたいらしい。ところが、真奈美はおれに関心があるからではなく、親友の石橋のことをあれこれ聞きたいからおれに近づいたはずなのに、石橋も真奈美も…。
ネコのパタは大好きな野原真夏と相性オール百パーセントの男のコをみつけた(ネコは相性判断の天才なんだよ)。でも、パタのドジでふたりの出会いを邪魔しちゃったのだ。トラジローという名の彼と真夏はどうなるのか、責任を感じたパタは、2年先の未来を超能力ネコのココナに見せてもらうが…。恋は女の子にとってゼッタイのもの。恋する女のコたちは贈るすてきなレンアイ小説。
あたしは聖純子、ニックネームはずんずん。あたしの家は大地霊教っていう新興宗教をやってて、おばあちゃんが2代目教祖。ところで“地の国”って知ってる?おばあちゃんのひょんな手違いから、その地の国から、バサラっていう男のコの魔人が出てきちゃったの。ブルーの髪の超ハンサム。彼があたしと同じ高校に通うことになったから女のコ達は大騒ぎ。でも、あたしの憧れは翔さまよ。
男性週刊誌“プレイガイ”の編集者・川瀬加津子は、下請けのプランナー会社社長楠田浩介と愛し合っていた。だが、加津子は浩介の友人保と結婚する。幸せな結婚生活も、保が自動車事故で植物化人間になってしまい、崩れて行く。生活を支え、仕事に生きる女の空しいこころに忍び寄る愛。様々な人間模様を背景に、揺れ動く女ごころを描いた長編恋愛小説。
輝く青い瞳、魅惑的なプロポーションにサテンのドレスをまとった女は何に怯えているのか?アメリカ西海岸で探偵をする〈わたし〉の許に、雨の金曜日の夜、仕事の依頼に現れた女はサラと名乗った。フェラーリを駆って自分を12時までに、サウスポイントまで運んでほしいと懇願した。そして同じ頃250マイル離れた2つの町で同じ男が轢き殺される奇妙な事件が起きていた…。濃い霧と美しい海に散る神秘的な女と無償の追跡を続ける男の愛。新境地を拓くハードボイルドミステリー。
ぼくたちの愛は、とても素敵なハーモニーだった。ゆたかな情感とはじけるような青春の中に、あなたへの限りない愛と、ぼくへの確かな信頼があった…。「マイ・シュガー・ベイブ」「チープ・スリル」「ジェラス・ガイ」「マイ・ラスト・アフェア」軽快な会話で知と愛をやさしく奏でる4つの恋愛楽章。