1991年5月1日発売
三人のセクシーな美女が運営する美肌探偵局に依頼される調査事項は、男と女の問題が大部分だ。ある日のこと、テニスクラブの女性インストラクターが訪れて、三人の男性会員からベッドの上でのプレイを申し込まれたが、一人だけを選びたい、と相談された。セックスの性能の鑑定人は悲願千人斬りという好色なOLに依頼し、OLは一人ずつ鑑定のためのセックスをして、いよいよ結果発表の当日、彼女は全裸で死体となっていた。意外な成り行きに、美肌探偵局は危険をくぐって犯人を探りあてたが…。
新都心、東京都水上区。超高層ビルの光輝く巨大な針山がそそり立つ。この巨大な人口島に棲む、もっとも美しい野生が高瀬珠理だ。身長180センチ、体重70キロ、21才。褐色の身体に、てろんとしたナイロンのブラジャーとビキニ・パンティーが張りついている。その珠理が背すじをふるわせた。おびえは去ろうとしない。心臓の鼓動がおさまらない。メシャ!頭のなかで、はっきりとひびいたのだ。ボーイ・フレンドの頭が対向車に轢きつぶされた音だ。これで3度目、この10カ月で3人のボーイ・フレンドを事故で亡くしたのだ。偶然だとしたら、できすぎている-事故ではなく、殺人ではないのか。
女心がゆらめき男心がむせぶ。サラリーマン家庭をゆさぶる不意の恐怖をスパイスたっぷりミステリー仕込みにした一品料理メニューでございます。今の時代が湯気だつ奇妙な隠し味をご賞味下さい。…キッチン裏の調理人。
霧の中から姿を現した麗華が、目にも止まらぬ速さで男たちの急所を次々と蹴り飛ばしたのだ。あっという間に地面にうずくまってしまう仲間たちに、洪も呆然としたままだ。洪が我に返って麗華に拳銃を向けると、麗華の体が真横に飛んだ。-サンフランシスコで中国マフィアに戦いを挑む白麗華の必殺拳。
“殺人鬼”とサインされた脅迫状が鎌倉市長に届いた。「福祉予算を倍増せよ、さもなければ犠牲が出るだろう」と書かれてあった。最初は悪戯かと思われたが、インコ、猫、犬と殺されるにつれ事態は深刻になった。いぬ、ねこ語を話せる犬猫先生としては犯人探しに乗り出さざるを得ない。その捜査半ば、ついに恐れていた殺人事件が発生してしまう…。
竜崎三四郎の率いる竜崎軍団といえば警察庁特捜部でも最強チーム。その名を聞いただけで悪党どもは震えだすほど。そうとも知らずに盾ついた悪辣財閥、たちまち猛反撃を食らってしまった。それにもこりずアメリカのシンジケートに泣きついて青い目の助っ人を依頼。奴らは射撃のプロで人殺しなど平気の平左。さすがの竜崎軍団もピンチを迎える…。
ソ連大統領を乗せた特別機が北極上空で謎の爆発。米海軍原潜〈ディファイアンス〉は、急拠墜落現場への出動を命じられる。一方、ソ連軍強硬派の中心人物ミハイル・ハリコフ海軍元帥は、大統領機の墜落は米国の謀略によると主張。ブラック・ボックスを回収し、米国に核の報復をすべく、最新鋭原潜〈ネヴァ〉で北極に向かう。厳寒の海を舞台に、米ソ両超大国のパワー・ゲームが展開される。
ロラン・バルトのお教えを受け、しかし師に先んじてポストモダニズムの金字塔『文化行為としての性交(フォルニカシオン)』を世に問い、そしてパリの知的シーンから忽然と姿をくらました謎の思想家アンリ・マンソンジュ。不在のリーダー、我らがひれふすべきその足下を求めて、ブラドベリ教授の困難な、だが輝やける探査行が始まる。たのしい思想小説。
ひょんなことからAVの脚本を書くことになった売れないマンガ家大日向陽。AV界の大御所文字監督に無理やりいわれ、陽は脚本どころか出演まで引き受けるはめになった。カラミの相手は陽にぞっこんの美少女クララ。ロケのためひなびた温泉宿にやってきた一行は、さっそくベッドシーンから撮影を開始したのだが、そんなかれらの目の前で怪異な現象が…。知らずに化物屋敷に足を踏み入れてしまった陽とクララたちを襲う亡霊の正体は。書き下ろし長篇サスペンス。
ミステリー小説翻訳家の黒部滋人は、旧友ヨナスらとキャビン・クルーザーに乗り込み、ノルウェーの港町ベルゲンからフィヨルドの景観を楽しむ船旅に出た。だが、ソ連国境近くのバレンツ海にさしかかった時、突然、前方にソ連の巨大原子力潜水艦が浮上。その瞬間から黒部は熾烈な国際謀略戦の渦中の人となった。長篇スパイアクション。
ヨーロッパを舞台にした小説から、寓意小説、抗日戦争時の小説まで。他の近代中国の作家と作風を異にする巴金の純粋なヒューマニズムに裏付けられた作品を収録する。近代中国文学の再発見をうながす恰好の短篇集。
「性」以前の澄明な精神を求めて、自らを〈僕〉と称する女子高生徒。17歳のうつろいやすい魂とジェンダーのうっとうしさを描いて、時代の皮膚を垂直に刺す第9回「海燕」新人文学賞受賞作。
一通の手紙からはじまった奇妙な旅。旅先で出会うのは愛すべきおかしな連中ばかり。アーヴィング、ヴォネガットに続く異才が放つ、パワフルでユーモラスなロード・ノヴェルの傑作。
南アフリカ北西部のとある閑静な漁村。この平和な土地にある犯罪者を追って圧政者イネス署長が乗りこんできたことから、物語は意外な展開を遂げていく。-漂流者や流れ者などさまざまな人々のるつぼのような架空の村を舞台に繰り広げられる、魔術的リアリズムに満ちた異色小説。
ヒーローでもヒロインでもないし、腹心の友でも悪漢でもないが、オペラで大団円をもたらすのに必要不可欠な役柄は「五番目の男」と呼ばれていた。カナダの小さな村で生まれたダンスタン・ラムゼイは、悪友がいたずらで投げた雪つぶてがもとで、人生の歯車が大きく狂っていく。第一次大戦への参加、聖人研究の旅、奇妙な魔術団との出会い、さまざまな女性遍歴。奇々怪々なこの一篇の物語の中で、「五番目の男」の役割を果すのは一体誰なのか?カナダ文学界の大御所ロバート・デイヴィスの代表作、本邦初紹介。