1991年発売
奥州八戸よりの旅を急いで江戸は飛鳥天王社の境内にさしかかったのは、妻お霜と愛児のおみやを同道した吾妻一平であった。北町奉行となった遠山左衛門尉景元の密命を受けた一兵が、八戸に闇太郎様にまつわる奇怪な謎を探っての帰途であった。江戸に近づいた一兵は、ふと目にした「闇太郎様」と書かれた紙切れに誘導されて踏み込んだ荒れ寺で、墓場のような地獄の闇を思わせる深い穴の中へと落とし込まれてしまった。日本に亡命したイエス・キリストは八戸太郎と改名、その子孫は生きつづけているという。それが妖しの闇太郎様か、黒頭巾に面を包んだ遠山景元は秘かに常磐津文字千賀を訪ね、元大目付松本左膳の屋敷への潜入を命じた。遠山金さん奉行の活躍は、伝奇傑作長編。
連戦即決で解決したはずの人質篭城銀行強盗事件の陰に、意外にも大手不動産会社と与党大物政治家を長とする土地問題等委員会に一大疑獄が隠されていた。特捜の若手検事たちが再三、正体不明の殺し屋に襲われる事態に、ガードについたのがご存じ竜崎軍団だった。一方、パリの国際刑事機構から、警察庁外事課へ麻薬取締まり強化の指令が飛んできた。いまや全世界を恐怖に陥れている新麻薬クラックをめぐっての国際的陰謀が、この日本国のどこかで実現しようとしている。銀行強盗事件・特捜検事襲撃など、一見無関係に見える二つの線がつながってきた。-悪の世界三大組織を敵に回して奮闘するはおなじみの美女リタ・グレイと竜崎軍団、そして伴、アップテンポに展開する激賛、戦慄の第20弾。
神道夢想流杖術をよくする若き武術家霧波秋彦と片倉麻里は、パリ帰りの令嬢新納深雪を護衛して北海道に住む祖母の家に向った。着いた途端、正体不明の暴漢に襲われ危うく撃退する。そこへまた護衛を連れた少女が現われ、自分が深雪だと名のる。どちらが本物か探ってゆくと莫大な遺産問題が浮かびあがってきた。強奪を図る黒幕に怒りの杖術が唸る。
平和なジャングルを突如襲った悪の組織。その名は“ゴート団”。密猟を手始めに、動物を操って人間を襲ったり、ジャングル鉄道建設をジャマしたり…。そのうえヤツらは、ジャングルの主ボーイのパパを誘拐。戦え、ボーイ!走れ、ボーイ!ジャングルの平和を守るのはキミだ。
米ソの雪融けを迎えて、両国の指導者は平和サミットを開こうとしていた。その一方、頑ななソ連保守派は両国の新たな関係を阻止するべく、〈カウンター・フォース〉作戦を展開。北太平洋上から、サミット開催中のロサンゼルスとアメリカ全土へ核攻撃をしかけようと最新鋭原潜ブルカンを派遣した。陰謀に気づいたソ連書記長は米大統領に協力を要請。米大統領トライトンが現場に急行するが…。
魔道霊士が次々に襲われるという事件が起きた。が、霊峰山はなかなかその正体をつかむことができなかった。20人余の犠牲を経てえた情報では、かつてない強敵の魔道霊士狩りは、シオンの親しい〈風〉のアデュであった。その追討の命が、過酷にもシオンに下る。同じ魔族の血をひく者を斬らねばならぬのか。霊峰山の掟を破ってまでも自分の信念をつらぬこうとする朱鬼シオンが、その妖剣、〈魔翔二葉〉で闇を斬る時、そこには意外な事実が…。好評シリーズ第二弾。
アレクサンドロス(アレキサンダー)大王の若き日の伝説が、いま語り始められる。王子アレクサンドロスは、仲間たちと共に伝説の島アトランティスを探しに、学問所を抜け出し、エーゲ海に船出する。襲いかかる刺客たち、火山島の翼を持つ少女、謎の仮面男、そして迷宮の魔神-。アレクサンドロスは果たして力の源、オリハルコンの剣を手にすることができるのか。いつの時代も、少年は自分の可能性を信じ、冒険の旅に出る。