1992年11月1日発売
シナリオライターの卵で、自己の霊能力に目覚めた小林まり子。ブルートレイン『北斗星4号』の中で、霊交信を受け、スーツケースに入れられて沼に沈められた寺田正和の死体を発見する。寺田の友人、ロックシンガーの長崎祐介から寺田殺しの犯人を霊視で見つけて欲しいと依頼されるが…。鏡の中に現れる浮遊霊の工藤チャンや、捜査一課の美男警視・一条秀也とともに、霊感探偵が始まった。書下しシリーズ。
大学1年生の陽は夏休みのアルバイトで、青春映画の撮影に加わる。そこで知り合った同じ年の大介にいつしか恋心を抱くようになる。しかし、それが片思いなのか両想いなのか、陽にはわからない。大介に思いを寄せる年下の少女がいることを知り、陽の気持は乱れる。-少女から大人へ脱皮しようとする思春期の恋の悩み、心の揺れをみずみずしい感性で描く恋愛小説。
母子家庭で育った加藤まさ子は中学1年のとき母が再婚して伊集院まさ子になり、中3の姉の理夏、小6の双子の弟、秋朗と冬星もできた。冬星はその名のとおり、冬の星のように美しく、透明でどこか危なげな少年だった。まさ子は、この妖精のような少年(フェアリーボーイ)に恋をする。口に出したくても出せない恋心を胸に秘めたまま、まさ子は弟を見つづける…。
チャンドラースクールの優等生アメリカ屈指のハードボイルド・ストーリテラー、ジョン・Dの古きよき時代、50年代のサスペンスもの登場。戦争で傷つき、人生に絶望した青年の信じられるものは金だけ。戦友が死にぎわに残した謎のことば「シンディーが分っている」を手がかりに埋蔵金を求めてやって来た小さな田舎町に待ち受けるものは何か。
物語は、17歳の多感な若者が、アメリカ南部の町で体験するさまざまな事件を中心に繰り広げられる。童貞でブルックリンしか知らない主人公が、色々な人間との出会いから徐々に人生とアメリカの現実に目覚めていく。なかでも、身震いするようなエロティックな世界へ誘ってくれた謎の年上の女との出会いは、主人公にとって決定的なものとなっていった…。
商社マン野々村省三は、銀婚式の旅に25年前に新婚旅行で訪れた能登を選んだ。妻・文恵との思い出を辿りながらの旅だったが、思いもかけぬ戦慄の旅行となってしまった。省三の突然の死を知った娘の万里子は、寝台特急で能登へと向かったが…。姿を消した母に夫殺しの嫌疑が。母の無実を信じる万里子は、両親の旅の足跡を追う。万里子の前に、ひとりの女の影と25年前の新婚旅行に秘められた驚愕の真実が。25年前に何があったのか。錯綜する過去と現在。読者待望のトリック・テラー久々の登場。書下ろし長編推理小説会心作。
異常気象で連日霧の立ちこめる東京・世田谷区では、少女誘拐未遂事件が多発していた。武藤類子がパソコン売場を通りかかった時、少女たちが「何よこれ!」と騒いでいる。ディスプレイを見ると「悪魔の警告!」という文字が浮かびあがり、続いて殺人を予告する奇怪な文面が出現。次の日、天才囲碁棋士で類子のB・F牧場知久の周りでも異変が生じた。対局相手の桃井4段が失踪したのだ。さらに世田谷区では12歳の少女が次々と殺されて。桃井の失踪と殺人事件の関連は。智久と類子が挑む連続少女殺人事件の驚愕の真相は?本格推理の鬼才が放つ戦慄のサスペンス&推理書下ろし傑作。
夫の二階堂警部と“奥の細道三百年”で沸く東北へ旅行を計画していた日美子。友だちの梅枝葉が訪れ、娘・真里の安全を占ってほしいという。日美子は、「サンタ芭蕉」というプレゼント企画で、東北旅行に参加する真里をタロットで占ったが、カードは不幸を予言。芭蕉の足跡を辿る真里たちに魔の手が…。名作『奥の細道殺人事件』と並ぶ、著者会心の長編旅情推理。
木でできた重いドアを開けてみる。そこは、自分がより温かくなれる場所。いろんな人のいろんな人生が、薄暗い照明に映し出されている。恋に迷う女たち。新しい生き方を求め、新しい出逢いを探すひと。でもただひとつ、はっきりしていることがある。「ノーワン・ノーラブ」-誰もが皆、恋をする。とあるバーを舞台に、やさしいまなざしで描かれた恋の物語。
手にした者は必ず幸せになれるという香水、「シンデレラの夢」。風子、撫子、虹子のもとにそれを捜してほしいと依頼がきた。風子の嫌な予感は的中し、やはり香水には、あの〈PW〉が混入されていた。人の心の成長を止め、世界を破滅に導く危険な物質だ。日本征服を企む謎の組織“麗しの美族”の登場で事態はますます大混乱。現代の聖母3人娘が大活躍の第2弾。
「銀行冬の時代」を迎えた。東京に本店を持つ大友銀行、その頭取、大友尚久は、突然に大蔵官僚の意思決定として、金融再編成の話を聞かされた。具体的には、東京に地盤作りを目指す関西のライバル銀行への吸収合併を意味していた。その場では、何の条件も出さずに「了承」を装った大友であったが…。醜くも権謀術数の限りを尽くす、新銀行誕生の裏側を敢然と描破。
奥州一帯に強大な勢力と文化を誇った藤原秀衡。頼朝に追われた義経を匿ったため、鎌倉幕府の追及厳しく、屈服か、決戦か。秀衡の死後、次代を担うべき嫡子泰衡と、国衡・忠衡ら一門は足なみも揃わぬまま、怒涛のごとき幕府軍を迎え、熾烈な戦いを繰り広げる。-独自の文化を築いた平泉のがわから初めて書かれた藤原氏滅亡の謎。’93年下期NHK大河ドラマの世界。