1992年11月1日発売
いくたびかの夏を過ぎて再会するかつての恋人との切ない別れ(「春の陰翳」)、対照的な兄弟がそれぞれに出会う甘い無垢な恋(「乾し草小屋の恋」)など。生の回復を掲げ、「性」の問題に大胆かつ真摯に取り組んできたロレンスが、田園地帯を舞台に、男女の恋をめぐる豊潤な心象風景をみごとに描く初期傑作短篇集。
迷宮都市はガルシア=マルケス、イタロ・カルヴィーノといったマジック・レアリズムの作家達の衣鉢を継ぐ新進作家による幻想短篇集である。ある閉ざされた都市の綺譚を描いた表題作「迷宮都市」、ゲームの規則に支配された奇妙な街の物語「Du」、孤独な女性が垣間見た白日夢の世界「失われた結婚式」、都市のアンダーグランド・ゾーンの魅力をさぐる「ストリップ・ショー」、謎めいた流刑地の歴史を考察する「ロベルト・デ・カステランの日記」他、全23篇を収録。
最近「E・C」に入った安西の事が努はどうも気にいらない。「あれは絶対に危ない」としつこく言う努に、教育担当の麻人は「もっと先輩らしくしてくれ」と怒って、とうとう同居を始めてから初めての、ストライキに突入してしまう。努に対してこんなに自分が冷たくなれるのに、麻人は愕然とした。シリーズ読み切り、第二弾。
「日本にも石油が埋蔵している」という父親の学説を信じ、石油探しの放浪を続けていた友人が送ってきた“小包”を受け取った日から、村野信二は怪しげな男達につけ狙われ…。暴力団や謎の宗教団体などが動き出すほどの小包の秘密とはいったい何なのか!?闇の勢力が垣間見え、奇っ怪な事件が村野を追いつめる。長編伝奇ミステリー。
高度な文明をもつ遊星から飛来したハスキル人が起す奇跡の数々。その目的は何か?謎の宇宙人をめぐる虚々実々の駆け引き。サスペンスあふれる長編「ハスキル人」ほか単行本初収録「ロボットX53」「宇宙船の死の花嫁」を含む短篇4作を収める。ミステリ界の巨匠・高木彬光のSFを初めて集大成した異色作品集。
人造人間…それは人類が自らを創造した“神”の最後の聖域を侵す試み。19世紀初頭、21歳のメアリー・シェリーによって著わされた一体のモンスターは、人類の究極の夢でもあり、人類が犯す最大の罪の一つを具現化したものであった。ファウストの如く悪魔に魂を売った人間が生み出した新たな生命とは?そして、許されざる命として生を受けたものの悲しみとは?ホラー、SF、コメディなどの要素を交錯させて、ベテラン作家や期待の新鋭が筆を競い合った、モンスター傑作アンソロジーの決定版。