1992年12月発売
オールド・マン強奪に失敗してオルリン・ラスカニは、細胞活性装置を携えてアコン人の極秘惑星ベイネルトをめざしていた。太陽系秘密情報局の追求を逃れるためにエネルギー・コマンドの長官に庇護を求めたのだ。だが、すでにグッキーとUSOスペシャリストのハール・デフィンがスペース・ジェットに潜入していた。しかも、ベイネルトでは、時間警察をも巻きこんだアコン人の恐るべき陰謀がいましも始まろうとしていた。
近未来サンフランシスコ。この街では、あらゆるビジネスがコンピュータによる仮想現実空間“テレ空間”の中で瞬時に処理されている。その業務にたずさわるエリートを目ざす新人弁護士のカーリーは、こともあろうに初めてのテレ空間内裁判で原因不明の機能停止を起こし、キャリアに致命的なキズを負ってしまう。エリートの道へ復帰するためには手段を選ばないカーリーだったが…。期待の女性作家が鋭利な筆致で描く話題作。
21世紀のロサンジェルス、FBI捜査官ベイリーはハイテク武器の闇取引を調べていた。やがてその捜査線上に航空宇宙研究所の研究員たちが容疑者として浮かんだ。地位にも給料にもめぐまれている科学者たちがなぜそんな犯罪にかかわっているのか?ベイリーはノーベル賞を受賞した天才コンピュータ科学者が黒幕であると突き止めたが…。バーチャル・リアリティとコンピュータの未来をサスペンスフルに描く傑作長篇SF。
ミス・メルヴィルは、政府の秘密機関で働くアンドリューから暗殺の仕事を依頼された。標的は血も涙もないと恐れられる独裁王国の王妃だという。一度は断わったミス・メルヴィルだが、王妃の意外な正体を知るにおよんで銃を手に取ることを決意。が、なんと相手の王妃も彼女の命を狙っていたのだ。刻々と対決の時は迫る。シリーズ最大の敵が登場する第四弾。
何が起こったのか見当がつかない。コネチカットの海岸近くの家で妻子と平凡な暮らしを営んでいたはずなのに。金融アナリストのロックランド・プールは窓一つない小部屋に監禁され、見張りを付けられていた。その監視者によれば、かつてプールの属していた世界は無数の小世界に分裂したらしい。とてもすぐには信じられない話だが、驚くべきことに、個々の小世界は「現実の世界」の断片に似ており、「境界線」を越えて行き来することも可能という。窓のない小部屋、死者の甦る世界、入江での不思議な女との生活。境界線を越えて、プールは小世界と現実の世界との間を行き来するが、そのためにやがで危険な兆候が現われはじめる。悪夢のような小世界に迷いこんだ男の運命を描き、「現実世界」の崩壊を暗示する意欲に満ちた異色エンタテイメント。
照和21年3月3日、後世は雛祭り。大高首相は高野五十六とともに、無事帰還した前原一征と再会し、ついにパナマ第二運河を完成して再び危険な存在となったアメリカへの対処の仕方を検討していた。そこへ突然、マダガスカル島が陥落したとの朗報が入った。-時局の変化に大高首相の決断は早かった。米大陸西部沿岸に進出する龍宮作戦を発令し、前原を千島列島の宇志知島秘密基地へ派遣した…。日本の誇る驚異の海中移動要塞鳴門とはいったい何か?ますますパワーアップした超人気の〈紺碧〉シリーズ第8弾。
ラサ第一の仏教寺院大昭寺から、臙脂の僧衣の一団が凰輦に載せた仏像を担いで「弥勒は、転生した!」「チベットは、独立する。漢族は去れ!」の絶叫とともに人民政府の建物へ雪崩れ込んだ。その時、広場の一角を占める警察署の扉が開き、中国製56式沖鋒槍-AK47自動小銃を持った警察隊が出動した。いっぽう亜熱帯都市香港では、平穏な日を送っていた黄龍こと工藤秋生は、超美の旅行案内人ツェリンと知り合い、日本のTV局のレポーターの代役を頼まれる。取材先きはチベット…。狩野あざみの書下し第3弾の傑作。
野上英太郎と同居することになった俊介とジャンヌは、中学の担任松永麗子先生の訪問をうけた。兄の死の真相を調べてほしい、ときりだした彼女の話は-。20年前の夏、兄・宏が帰宅途上に行方を絶ち、脅迫電話がかかった。身代金を工面し受渡場所へ父親が向ったが、犯人は現われず、警察への通報を詰る電話を最後に連絡は絶えた。宏の左薬指が発見されたが、指には生活反応がない。1年後、街の北端、夜叉沼での幽霊騒ぎから、宏と思われる白骨死体が出た。-俊介たちは20年前の殺人犯捜しに乗り出す。
“1980年の夏のことだ。風と雨の夏。グダニスクの夏。泣いていた少年の夏。わたしたちの物語の夏。”デュラスと年若い恋人との間に紡がれる夢。『北の愛人』につづくデュラスの最新作。
サドの代表的著作、ジュリエットの物語『悪徳の栄え』と対をなす妹ジュスティーヌの物語には三つのバージョンが残存している。本書はその最初の版である「原ジュスティーヌ」とでも称すべき中篇である。バスティーユ牢獄中にて書かれ、革命のどさくさに粉れて紛失され、100年ののちに陽の目をみた本書はサドの思索のエッセンスが凝縮された異色作である。
建設業界を背後から牛耳っていた元総理と建設土木業界の首領の相次ぐ急死は、政界はもとより、業界に大きな衝撃を与えた。日本高速道公団が発表した常越高速自動車道の建設計画に対し、業界内の調整がまったく白紙の状態だったのである。公共事業を足場に次期総裁選を目指す政治家たちの暗闘と、入札にからむ建設土木業界の裏工作を描く長篇企業小説。
1992年9月、海上自衛隊呉基地に輸送艦『みうら』ほか2艦が集結した。PKO(国連平和維持活動)によるカンボジア派遣部隊の出港である。ところが、巨大津波が『みうら』を直撃。衝撃波で『みうら』は天下分け目の関ヶ原合戦直前にタイム・スリップ。異常事態に、伊達進助一尉はPKO軍団を結成、生き残り戦に挑む。佐々木小次郎らを配下に、抜群の破壊力を誇示し、桑名城攻略戦に…。そして、武器・弾薬に限りのあるPKO軍団は関ヶ原にある策略をしかけた。最新兵器と圧倒的物量の激突。関ヶ原合戦の行方は?伊達は家康の本陣を目指すが…。大迫力の書下ろしスペクタクル巨編“大逆説シリーズ”第7弾。