1992年7月1日発売
教え子とのレズ・セックスに溺れる女教師・優子。優子にはもうひとつ顔がある。それは男に尻を貫かれ、身の毛もよだつ羞恥にわななくマゾヒストの顔だ。男の荒々しい悦戯と教え子の巧みな愛戯に、被虐の歓びの淫蜜をしたたらす優子はどこまで淫乱な女教師なのだろうか…。
パルトグラートへようこそ!ここは「ペレストロイカ」の名誉ある模範都市である。禁酒・反官僚主義キャンペーン-。モスクワから次々と改革の要求が送られてくる。ペレストロイカ屋と保守主義者が互いの面をたたきあい、共産主義の害悪がことごとく暴露された。しかし人々はとんと無関心。街は以前にもまして酔いどれにあふれ、ただでさえ商品の少なかった店は空っぽになった。架空都市を舞台に全世界がこぞって支持する「ペレストロイカ」の虚妄をあばき、ゴルバチョフの挫折をいち早く予告した異端派亡命作家の禁じられた問題作。痛烈パロディ。
人間とはなにか?私たちが生きるというのは、いったいどういうことか?今という時代を生きのびるために、そして根拠のあるよろこびと明るさをどこまでも持ちつづけ、問いを生きつづけるために、子どもの本を通して見えてくるものを等身大のことばと低い静かな口調で語りかけるもうひとつの児童文学入門。
大学を卒業して遊び半分のOL生活をエンジョイしている細矢川冬美は、軽い気持ちで見合いをした相手、圭吾がだめ男だと知ってもなぜか惹かれ、溺れていく。お嬢さまOLの夜の悶えを鮮烈に描いた官能長編。
倦怠すら感じる日常の、男と女のあやふやな関係の隙間にフッと忍び寄る、恐怖の、犯罪の魔手のそれぞれを、的確な砥ぎ澄まされた著者独自の人間観察眼で追いながら、つねに充実のミステリーとして創造しつづける名手・多岐川恭のミステリーランド第4弾。
1955年2月のある日,荒天下のカリブ海で、コロンビア海軍の駆逐艦から数名の水兵が海に落ちた。全員が絶望視されていたにもかかわらず,10日後、1人の水兵が瀕死の状態で母国に漂着した。太陽に焼かれ、鮫と闘い、友人の霊と語り、筏に自らを縛り付け、人喰い人種の島を恐れ、巨大な海亀に出会いつつ、極限的な飢えと渇きの果てに祖国に生還した彼を待ちうけていたものは…。