1993年1月25日発売
それは世界一ロマンチックな飛行機だった。第二次大戦の発端となった英仏の対独宣戦の直後、大西洋横断航路の豪華飛行艇パンアメリカン・クリッパーは、ニューヨークを目ざし、サウサンプトンを離水する。だが、同機の機関士エディ・ディーキンは妻を誘拐され、その生命と引換えに不可解な要求を受けていた。さまざまな乗客の思いを乗せて、クリッパーは嵐の大西洋上空を飛ぶ。
クリッパーを不時着させろ!エディはようやく知った。誘拐犯たちは、乗客の一人で護送中の凶悪犯を奪回しようとしているのだ。-母国を離れるイギリス人ファシスト政治家の一家、その娘に恋する逃亡中の宝石泥棒、アメリカ人劇作家と駆け落ちする人妻、それを追ってきた夫、ナチから逃れ亡命するユダヤ人科学者…。彼ら乗客の人生の落ち着く先は、そしてクリッパーの運命は?
極寒のタジク共和国山岳地帯から、必死の脱出行を続ける英国秘密工作員パトリック・ハイドは、ソ連軍用機の撃墜現場に出くわした。なぜかそこには顔見知りのCIA部員の姿も見えた。大がかりな陰謀の目撃者となったハイドは各国情報部の標的となる。孤立無援の彼は、かつて命を救った上司のオーブリーに助けを求めるがー。はち切れんばかりの迫力とサスペンスが溢れる待望の長編。
秘密工作員ハイドは謎の撃墜事件と、もう一つの旅客機墜落事故との関連に気づいた。陰謀の首謀者の手は、各国上層部にまで伸び、英情報組織の長オーブリーも完全に封じ込まれてしまった。彼の姪キャスリンは、罠にかかってFBIから追われる身だ。真相に近づいたハイドを守れるのは、今や彼自身のみ。心身を極限まで酷使するハイドの凄絶な孤軍奮闘ぶりを描く、冒険小説の決定版。
映画撮影中の事故で失明したハリウッドの元音響技師ハーレック。彼の姪のジェイニイが、何者かに誘拐された。彼女はどこにいるのか?犯人からの電話の背後には、電車のブレーキ音や風鈴の音や音楽がかすかに聞こえる。犯人の居場所をたどる唯一の手がかりは、この背後の音のみ。鋭敏な聴覚だけを頼りに、ハーレックが誘拐犯に迫る。シカゴを舞台に展開する異色犯罪ミステリー。
恐るべき新麻薬クラックの急激な蔓延、竜崎軍団の血みどろの戦いははてしなく続く。日本進出をねらう麻薬密売組織は手を替え品を替えて、新たな思いがけない手段を駆使して挑んでくる。-深夜の銀行襲撃、軍団長の母堂誘拐、警察寮の爆破、庁内襲撃と、その荒っぽい手口にはこれまでとは違うものがある。そして、この二、三カ月の間に各地に急造された小規模だが多数の奇妙な薬品倉庫群には新たな巨大な力がバックに…。一方、政界乗っ取りを企む右翼の大物の名が浮かび上がった。万一、両者の目的がどこかで一致したらどうなるか。情況証拠は充分過ぎるほどだが、陰謀のしっぽを出さない。-“やられる前にやれ”軍団一流の無鉄砲なぶったたき作戦を猛者たちが展開する。
東南アジアの一国で起きたクーデターの余波が日本にも及んできた。反クーデター派が東京に臨時政府を樹立したのだ。ところでクーデター派、臨時政府の双方が狙っているのが日本にいるその国の王女さま。だが彼女をガードしているのがマザコンのフリーターというのだから心配だ…。
エレナ松本(22)。日系ブラジル人留学生。エキゾチックな美貌と抜群のプロポーションの持ち主。敬虔なクリスチャン。田上麻衣(25)。劇団『六曜座』所属。劇団公演『屋根裏のジェスティーヌ』に主演が決まった新進女優。大磯海岸で遺体が発見されたエレナ、自宅マンションから落下死亡した麻衣。同時期の“事件”だが、生前の2人は何の関係もない。エレナの恋人と妹、麻衣の友人たちが、別途に「不審な死」の真相を探ろうと、行動を開始する。しかし、行く先々で得体の知れない“邪悪なパワー”にさいなまれて…。
一文字郁良は名前通りのしがないフリーライターだが、全国規模の警備保障会社に頼まれて各支店の体験譚を取材すべく北は北海道から南は九州までの行脚に出かける。自転車チェイス、パンティ泥棒、糞尿譚…。さすが話題には事欠かないが、あにはからんや一文字じしんが政・財・官の結託する大陰謀に巻き込まれる。東京B・B計画-。そこには怪しげな対祖や女性も登場して…。