1993年12月25日発売
ジャマイカ、バイーア、ペルー…。南の果てまで逃亡していく主人公の独白を軸に、時空を超えたエピソードが積み重ねられ、意表をつくイメージが奔流となってほとばしる。ありとあらゆる文の織り成すコラージュ形式に眩惑されるうち、あなたは次第に小説の仕掛けた罠にはまっていく-。知的刺激に満ちた、ラジカルで魅力的な「熱帯小説」。
電器店店員、引越しヘルパー、証券マンなど、都会で生活する仕事のプロ9人にしかけられた悪意の罠。それは、きっとあなたの傍にも-。気鋭作家のブラック・ミステリー集。
宮崎県はイザナギ・イザナミ神話を初めとする神話伝説の王国である。海幸・山幸の物語もその著名なものだ。那須で起こったアパレル産業の女社長殺人事件解決の鍵はこの龍宮伝説の中に隠されていた…。「おれは、いま、薄笑いを浮かべながら、この手紙を書いている。だれも知らない犯人を、このおれだけが知っている。おれは見たんだよ。犯行が行われた瞬間を…」。脅迫者は犯人の指紋のついたオペラグラスを手に入れていた。しかし、それが何故か紛失する。
盛田聖子の誘惑や罠に翻弄されながらも、酒井史朗と妙子はようやく、真実の愛に生きる覚悟を決めた。しかし、聖子の史朗に対する情念の炎は消えない。炎は嵐となって、酒井家の人々をつぎつぎと不幸に陥れていく。史朗の幸せだけを願い、沈黙を守りつづけてきた妙子だったが、史朗を破滅させようとする邪悪の前に、自らを投げ出して闘う決心をした。愛と憎しみの狭間で妙子の命を賭けた復讐劇が始まる…。
藁科学園高校の廊下に、ある日写真が貼り出された。それは男子生徒が抱き合い、口づけている場面を隠し撮りしたものだった。写真の生徒の一人、則正和臣は学園中から攻撃され、顔が写っていなかった相手は誰なのかと追求される。その時、和臣の相手は自分だとクラスメイトの三条潮音が嘘の名乗りを上げた。潮音の真意がどこにあるのか-。複雑に絡み合う想い。そして、潮音に心を奪われた人ではない美しい生物が…。不破飛鳥、珠玉の描き下ろし小説。