1993年4月20日発売
南総里見八犬伝南総里見八犬伝
美女伏姫の体から飛びちった八つの霊玉。その化身、智勇兼備の犬塚信乃、化け猫退治の犬飼現八ら八人の犬士。行く手をはばむ希代の悪人、毒婦たち-。滝沢馬琴の原作を時代小説の名手が平明な現代語によみがえらせた見事な絵草紙。総挿画五十一葉入。
ウィンブルドンの毒殺魔ウィンブルドンの毒殺魔
妻を殺そう。そう思いたってからというもの、ヘンリーの頭の中は、太った醜悪な妻をどうやったら始末できるかということで、いっぱいだった。絞め殺す。崖からつきおとす?それとも、自動車に細工して事故に見せかける。いや、毒殺がいい。毒殺こそ、わが大英帝国の伝統と誇りにつちかわれてきた、秘めやかで美的な殺人方法だ。これでいくしかない。手段が決まると、ヘンリーはさっそく下調べをはじめ、タリウムという無味無臭の毒薬があるのを知った。これを料理にふりかければ、健康食品しか食べない妻のエリナーも、なんの疑いももたずに口にするだろう。だが、ヘンリーの細やかな気配りと努力にもかかわらず、妻はそう簡単に毒殺させてはくれなかった。のどかな郊外住宅地を舞台に、さえない中年男が妻をこの世から抹殺すべく、あの手この手の大奮闘をくりひろげる、ブラック・ユーモアたっぷりの英国ミステリ。
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