1994年12月20日発売
川の手物語(下巻)川の手物語(下巻)
実父と兄が対立する社内抗争に巻き込まれた晴生は、社を去らざるを得なくなるが、老いてなお盛んな実父はさらに晴生をその勢力下にからめとろうとする。奔流に逆らいながらも流されていく彼は、頽廃を秘めた年上の女性新聞記者や一途に思いつめる娘との恋愛に、動揺と安らぎを覚えつつ、老造型作家の世界に強く魅かれていく…。現代をみつめ、生の真実を問いかける、長編青春小説。
夜を賭けて夜を賭けて
廃墟と化したアジア最大の兵器工場・大阪造兵廠跡の闇の中で残骸を掘り出す鉄泥棒アパッチ族と警官隊の果てしない攻防がつづく。そしてアパッチ族は北朝鮮へ、大村収容所へ…。戦後五十年を総括する書き下ろし長編。
ビ-・マイ・ベイビイビ-・マイ・ベイビイ
マッチョに憧れる元気少年上田亀之介は、ちょっとないくらいの美少年。でも惜しいかな、アレルギー性の湿疹と黒縁メガネのせいで、その可愛さをオジャンにしていることが多い。高校の入学式の日、亀之介は幼馴染みの清水朋紀と3年ぶりに会う。ぜんそく持ちのモヤシだった朋紀は、甘ったるく整った美貌のカッコイイ少年に成長していた。ストレートな愛情表現をする朋紀だが、負けん気が強いだけの子供な亀之介には、伝わらない…。その上思わぬ伏兵も現れて。
六本木心中六本木心中
「どうしても欲しくなった。きみのその声と-きみ自身が、ね」ロックミュージシャン九条高見は、すべての成功を手に入れる事と引換えにその身体を差し出す契約を結ぶ。相手は世界有数の財団オーナー瀬能結城。耐え難い程の屈辱と快楽を与えられればられる程、結城を求めてしまう心に、いつしか高見は追い詰められていく。出口のない闇の中に墜ちていく高見の想いと、氷のように美しく冷たい結城の中に隠された恐るべき激情が交錯した時、二人が選んだ道は…。
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