1994年6月15日発売
鎌倉東慶寺、男子禁制の山門を血で染めた「会津七本槍」の七剣鬼。暗愚な藩主加藤明成を使嗾し、硬骨の家老堀主水一族を鏖殺した暴虐に今天誅が。万斛の恨みに燃える堀家の女七人を助くべく、徳川千姫の命により、柳生十兵衛見参。
怨敵「会津七本槍」の四人までを討ち果たし、明成に迫る復讐の刃。だが見よ、七本槍衆の総帥、不死身の妖人芦名銅伯の自信に満ちた不敵な笑いを…。敵陣会津に乗り込む十兵衛と堀一族の七美女を待つは、驚天動地の地獄の幻法「夢山彦」。
幽閉されていた尼憎院から救出されたアサーヤのもとには、魔法の才能を持つ者が異端裁判所の追及を逃れて続々と集まってきた。ところが、アサーヤは平和主義を掲げていっこうに戦おうとしない。それに業を煮やした者たちが、ついにアサーヤと袂を分かった。一方アサーヤの兄ニコラスは、〈賢人〉が権力を握るサーレ島に総督として赴任した。強力な魔法使いである〈賢人〉の罠が待ち受けるとも知らずに…シリーズ第4弾。
テレビ・プロデューサーとブティック経営者ー精力的に活躍する二人の女性が、デヴォンに助けを求めてきた。二人から財産を欺しとった結婚詐欺師を捜しだしてくれという。調査の末、詐欺師の居所を突きとめたデヴォンは、自ら囮となって男に接近した。が、その直後に男が殺害され、デヴォンと依頼人たちに殺人の容疑が…。現代女性の心の隙をついた犯罪にからむ殺人事件を女探偵デヴォンが追う、注目のシリーズ第二弾。
五年前に死んだはずの不動産会社社長を捜しだしてほしい-保険会社の副社長で、わたしとは古い付きあいのマックが依頼を持ちかけてきた。マックの保険会社が五十万ドルもの保険金を未亡人に支払った直後、当の会社社長がメキシコのリゾートで目撃されたというのだ。問題の男ウェンデル・ジャフィは、当時ヨットで海へ出たきり行方不明となり、後にヨットだけが海上を漂っているのが発見された。遺書があったことと、男が大がかりな不動産詐欺で告訴される寸前だったことから、自殺と断定された。生きているとしたら、なぜ彼は家族のまえにも姿を現わさないのか。どうやって働きもせずに生活しているのか。ウェンデルの生死を確かめるため、わたしは急遽メキシコへ飛んだ。調査にあたる女探偵キンジーの前に、やがて彼女自身のアイデンティティが崩壊しかけるような事件が…人生の岐路に立たされたキンジーが新たな道を歩みだす人気爆発のシリーズ、堂々の第十作。
人気ラジオ番組「電話人生相談」にかかってきた一本の電話…。それは数日前に殺された女性と同じ名前だった。単なる偶然か、死者の魂の叫びか。残された手がかりは埼玉・川越と伊豆・新島の市外局番、そして録音テープ。捜査が難航するなか、同じ手口で第二の殺人が起こった。事件の謎を解く鍵となる「音」を追って舞台は新島へ。そこで待っていたものは意外な結末だった。目と耳で読む本格推理。
カフェ・コメディの人気女性コメディアン、トレイシーが二年前の雨の夜、突如姿を消した。事件は死体なき殺人と断定され、友人のボビーが逮捕される。女探偵シャロン・マコーンは、無実を訴える彼のため、再調査にのりだす。が、カフェ・コメディのオーナーやボーイフレンド、ルームメイトが語るトレイシー像は奇妙に食い違う。いったい彼女はどんな人間だったのか。人気シリーズ待望の第五話は怖さがいっぱい。
天明、寛政、化政期、彗星のごとく現われた馬ヅラの巨人が相撲をかえた。魔物のように相手に躍りかかり、全力で打ちのめす、その姿に、悪政と飢饉にあえぐ民は、自らの運命を託した-稀代の相撲人・雷電為右衛門の数奇な運命とその時代を、後援者・助五郎との交わりを軸に壮大な構想力と考証をもとにはじめて描破した書き下ろし長篇小説。
人呼んで“南海の松”。若き日、南海の海を股にかけて暴れまくった男。その流浪と浪曼。彼の行くところ、つねに波瀾が待っていた。酒、女、博奕、そして喧嘩につぐ喧嘩の日々。血の滾り。その愚連隊魂は日本中の親分を震えあがらせた。北海道伝説のヤクザ・“南海の松”こと松田武嗣の破天荒一代。
20代の女性の悩みに答える雑誌「GP」。その編集部には、数多くの恋愛相談が寄せられる。不感症、不倫、マザコンの恋人…、どこかが似通っていて、それでいて一つとして同じではない秘密の数々。単なるアドヴァイスやコメントを超えて、恋愛相談は、真実の物語をつむぎ出していく。「いつも心のどこかで感じている、この何か足りないような気持ち。人生のどこかでミスをしてしまったような不安は、いったい何なんだろう。」多数のルポやインタビューを通して、若い女性たちの「今」に密着してきた著者が、自らの痛みをこめて書き下ろす、現代の恋愛事情の“向こう側”。新世代女性作家の小説。
幼なじみで親友同士の雅巳と哲治。しかし月日の流れは二人を変えてしまい今では雅巳は寂鏡寺の住職に、一方の哲治はなぜか吉野坂組の組長代理。お互い憎からず想っているのに、近くて遠い間柄。さて、二人の恋路のゆく先は。
赤坂祭は台風の翌日に『憧れの君』佐倉由和の家の、洪水で流された鯉を見つけたことをきっかけに、親しく話すようになる。遠足や文化祭の準備を通して、2人はだんだん仲良くなっていく。しかし、そんな時に、祭の父親が海外転勤に。
夫のあまりの異常性愛癖に嫌悪感から恐怖すらを抱き始めた瑛子は、十数年ぶりに幼なじみの宮沢と偶然巡り合う。自衛隊のレインジャー部隊出身の彼と男女の関係になった瑛子は、現状生活から脱出するために、宮沢へ拳銃を手渡す。悪意の重さをまさに具現する凶器は、二人の殺意を凌駕し、その存在を取りまく人間たちを目に見えぬ狂気へと誘い、銃身に込められた冷たく無情の凶弾は運命の連環へと引きずり込む。