1995年10月20日発売
父親の死をきっかけに、絵里は老舗の呉服店を畳み、軽井沢でペンションを始めた。幼い頃からの夢を散りばめた、「アリスの館」の経営は、画家である夫の力を借りなくても順風満帆だった。二年目の春。絵里は頼りない夫を後目に、地元の経理士と恋仲になった。ところが、逢瀬を終えた夜、経理士が殺害され、その日を境に気弱な夫の態度が豹変していくー。(アリスの騎士(ナイト))4人の女性が避暑地で体験する危健なロマネスク・ミステリー。
“宗教法人炎矢教団総本部”この教団から娘・葉子を連れ戻してほしいーというのが今回の僕への依頼であった。僕が原宿にあるその教団へ娘を迎えに行くと、彼女は意外にも素直に教団を後にした。教団幹部の“オーラの炎によって彼女の身に恐しい出来事が起こる”という不気味な言葉を背に受けながら。依頼はあっさり解決した。但し、その肉のうちに葉子が喉を裂いて冷たくなっていなければ…。(炎が囁く)街をさまよう様々な人間たち。失踪人調査のプロ・佐久間公が出会う哀しみと歓び。事件を通して人生を綴るシリーズ第二弾。
「それでー誰が夏子姉さんを殺すの」-中華料理店の一室で張り込み中の片山刑事の耳に飛び込んできた、聞き捨てならない言葉。隣の個室では笠倉家の姉妹三人とその夫たちが食事中だった。ただの冗談だろうと気にとめなかった片山だが、数日後、海に落ちた車の中から笠倉夏子の死体が発見された。裕福で恵まれているはずの笠倉家で、一体何があったのか。ホームズ、片山、晴美、石津、お馴染みの登場人物が勢揃い。超人気シリーズ第18弾。
憧れの女性に着せたい一心で華麗な振袖を精魂こめて縫い上げた職人、自分のために公金を横領した若者の釈放に奔走する遊女、逢瀬の翌日は必ず負ける力士の出世を願って身を引く芸者…ここに描かれるのは、私利を顧みず人間の情に生きた悲しく優しい「人情馬鹿」たちだ。美しい風俗と江戸っ子気質が色濃く残る大正期の東京下町を舞台に、人生の達人が共感と愛惜の思いをこめて綴った名作十二話。
モース主任警部にとって、他人が担当していた事件を途中から引き継ぐのは、あまり面白いことではなかった。その上、怨恨による殺人ときては、さして難しい事件とも思えなかった…。ところが、オックスフォード大学のもと研究員マクルーア博士が刺殺された事件は、モースが乗り出した途端、意想外の展開を見せ始めた。容疑者と目されていた博物館の係員ブルックスが行方不明となり、数週間後、刺殺体となって発見されたのだ。凶器は博物館から盗まれたアフリカのナイフだった。はたして奇妙な凶器の意味するものは何か。そして、第一の殺人との関連は。やがてブルックスに恨みを持つ三人の女が捜査線上に浮かび上がるが、彼女たちにはさすがのモースも頭を抱える鉄壁のアリバイがあった。アクロバティックな推理と華麗な謎解きで読者を魅了しつづける現代本格シリーズの最高峰、待望の最新作。
紀元前七千年、氷河時代のアリューシャン列島。大波に洗われ、火山のとどろきやまぬ極北の地。寄せくる運命に翻弄されながらも、少女は大自然の精霊たちにまもられて、ひたむきに生き。旅。戦い。誕生。死。壮大なスケールで描く愛と冒険の古代ロマン。平和な兵辺の村を「殺し屋」一族が襲った。たったひとり生き残った十三歳の「黒曜石」。愛するすべての者を失った少女は、ラッコの精霊に導かれ、大海原へ旅立つ。黒髪をなびかせながら進む彼女のゆくてに、やがてクジラの彫像をもつ謎の老人が…。
新たな戦いが間近かに迫っていた。危機を伝えるため、「黒曜石」は乳飲み子を連れて故郷の西の島へ向かう。そのとき、新天地を求めて一人の青年が海をわたってきた-。氷に閉ざされた青い世界に薄明かりが照り映えるころ、死者たちの霊をのせた風が「黒曜石」にささやく。いまこそ勇気を…。
男子禁制の秘密の花園、雨宮学園。そこに潜入していた工作員からの連絡が途切れた。一体何があったのか。恋人兼連絡役の由美が続いての潜入を俺に指示して来た。そこで待っていたのは、女子高で繰り広げられる様々な悦楽の光景だった。生徒同志のレズビアンだけでなく、青い果実と熟女のハードな誘惑。その中で隠された陰謀が、恐るべき結末に向かって進行して行く…。