1995年7月31日発売
SF界のカルト・ヒーローが紡ぎだす、驚異の世界へようこそ。あやしげな慣性巻き取り機の作動で月と地球が激突の危機にさらされる「慣性」、ゲームおたくの情熱が恐るべき事態をまねく「パックマン」など、ラッカーの多彩な魅力を満喫できる作品群を結集。そのほか、サイバーパンクの旗手スターリングとの合作「クラゲが飛んだ日」、抱腹絶倒の日本旅行エッセイ2篇も織りまぜた、ファン必携の日本版オリジナル短篇集。
ミドケミアを震撼させたリフトウォーが終結して20年。平和を享受する諸島王国に、隣国の大ケッシュ帝国から女帝の誕生祝賀会の招待状を携えた使者がやってきた。王国の使節として派遣されることになったのは、王弟アルサの19歳になる双子の息子、ボリクとエアランド。王子一行は、意気揚々と熱砂の国ケッシュへと出発した。行く手に恐るべき陰謀が待ち受けているとも知らずに…。若き王子たちが繰り広げる幻想冒険活劇。
1945年7月16日。最初の原爆実験が行なわれたこの日、「ルーズヴェルトがいってしまった」という謎の言葉を呟く若者が、アリゾナの山中で救助された。50年後、老いた世捨て人となったその若者が所持していた認識票が、ペンタゴンに激震をもたらした。最高優先機密扱いとなっているある事件の死んだはずの関係者の認識番号だったのだ。原爆実験に隠されていた驚くべき秘密とは。アーサー・C・クラーク激賞のサスペンス。
第二次世界大戦という試練をへて誕生したアメリカ空軍。その一員となったバンドフィールド大佐たちは、新鋭機の開発に日夜力を注いでいた。音速を越えるロケット機、最新技術を駆使したジェット戦略爆撃機ーアメリカの航空産業は世界最高峰にあるかに思われた。だが、朝鮮半島で戦争が勃発すると、黒人パイロットのマーシャルたちは思いがけぬ強敵ミグ15と相まみえることになる。ジェット黎明期を舞台に描く航空絵巻。
B-47ジェット爆撃機は、革新的な設計ゆえに、多くの問題をかかえていた。さらにロケット技術の進歩によって戦略爆撃機の存在意義自体が疑われるなか、主翼の破断事故が続発。B-47の将来は危機に立たされる。一方、高まりを見せていた黒人差別撤廃運動に反発して、人種差別団体が不気味な動きをはじめていた。黒人たちを挑発し、暴動を起こさせようとする彼らの陰謀を知ったマーシャルたちは、阻止のために立ち上がった。
写真家クレアは放浪の旅を終え、家族の待つ我が家に帰ってきた。顔を合せれば喧嘩ばかりの姉カーメラ、新米警官の妹ジニー、やんちゃな甥マイクリーン、そして愛する父母。ところが、近くの森で少年が惨殺されるという事件がおこる。折しも一家の留守に泥棒が入り、森で憩う人々を撮ったクレアの写真が盗まれた。幼いマイクリーンを気遣いつつ、事件解決に奔走する三姉妹の姿をユーモアたっぷりに描く爽快なデビュー作。
ハーヴァード大学の犯罪学教授クリス・シェリダンは、同棲していた恋人グレイスと別れた後、半年間アイルランドに行き、自分のルーツを調べた。そして、自分の一族と彼女の一族とが三代前から恐るべき敵対関係にあったことを知る…。ダブリンに生まれた祖父のコン・シェリダンは向こう見ずなIRAの大尉で、「血の日曜日」事件に関わった。イギリス側の警察署を襲った際に負傷し、手当てを受けた先で知り合ったアメリカ人富豪の若い妻ハドリと激しい恋に陥ったコンは、駆け落ちを迫るが、相手のほうは夫と別れるつもりは全くない。拒絶してもしつこくつきまとうコンに呆れ返ったハドリは、イギリス側にコンを密告してしまう。IRAの活動家のなかでただ一人捕らえられたコンは、処刑される寸前に仲間の手引きで脱出に成功、ハドリの裏切りに失意を抱いたまま、アメリカへ渡る。ボストンで警察官になったコンは、敬虔な判事の娘メレンを孕ませ結婚、息子が生まれる。そして十数年後、幼女強姦殺人事件の捜査で、コンはハドリと運命的な再会をする…。1973年に『ゴッドウルフの行方』でデビューして以来26作品を発表、ボストンの私立探偵スペンサー・シリーズ等で人気を博してきたハードボイルド作家が放つ、質量ともに過去最高の野心的大作。これまでの集大成ともいうべき自伝色の濃いエンターテインメント。
ワシントンDCのアメリカ中央情報局-通称ラングレーといわれる場所、内部の人間がカンパニーと呼ぶ組織でシロン・リーは、サダム・フセインの動向にくぎづけになっていた。八月二日、この日、中東の軍事大国イラクが隣国クウェートへ電撃侵攻した。国連は無条件撤退決議を採択したが、中国の〓@68B0@小平はどう出るか。そのとき、衛星の傍受した通信をパソコンの画面が打ち出してきた。クウェート侵攻直前に起きたチベット騒乱で、ラサの軍と公安が手配した若い東洋系の男の顔だ。その頃、香港の工藤秋生は。傑作完結篇 上。
昭和四十九年夏、東京は未曽有の危機に瀕していた。ほどなく盛夏を迎えようという六月下旬、何の前ぶれもなく突然雪が降った。そればかりか、電力の供給がストップし、すべての内燃機関、エネルギー装置が作動しないという事態が起きたのだ。短時間ではあるが定期的に発生する謎の現象に、首都圏の機能は麻痺しつつあった。エネルギー消失の原因が、東京湾内に存在する「異獣」にあるとにらんだ、われらがロジャーズ・ラフネックスが出動。自衛隊、米軍をまきこんだ大作戦がはじまった。怒濤の書下しスペクタクル。