1996年1月10日発売
たんぽぽたんぽぽ
たんぽぽの花が咲いた、のどかな生田川沿いの町の病院。眼前の身体が突然見えなくなる奇病に冒された娘稲子を入院させて帰る母と、娘の恋人久野の口から語られたのどかさとは対極的な狂気と不思議な愛のかたち。『眠れる美女』『片腕』の後に執筆、その死で中断された川端康成最後の連載小説。文庫版初収録。
やわらかい扉やわらかい扉
私は少し苛立っていた。下宿先の大家の千田姉弟のところへ次々訪れる女の子たち、気がつくと庭に投げ入れられているゴミ、押しつけられた仕事、好きな相手の過去をなじってしまった自分…そしてある日千田家の「事件」に巻き込まれ、人のもつ奇妙な弱さと強さを見た私は、いつか切羽詰まった苛立ちを忘れていた。著者初の恋愛小説。
ツァディクツァディク
ブルックリンのユダヤ人コミュニティに秘蔵されてきた一つの財宝が紛失した。「見者の石」と呼ばれる72カラットの巨大なダイヤモンド。元NY市警刑事のドヴ・テイラーはその石の探索を心ならずも引き受ける羽目になった。アルコール依存症と苦闘しながら調査を進めるうち、ドヴは19世紀初頭の東欧に端を発する凄惨な抗争の陰謀の渦に巻き込まれていく。
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