1996年3月15日発売
長期休暇中のケイト・ファンスラーと夫のリードは、スカイラー大学のロー・スクールで授業をうけもつことになる。だがそこは、白人男性の権力欲と凡庸さと女嫌いの牙城だった。終身在職権をもつただひとりの女性教授にまつわる不隠なうわさ、教授だった夫を殺害した妻、そして暗躍する謎の老秘書。静かな学期を楽しもうというケイトのもくろみはもろくもくずれ去る。理想のカップル、ケイトとリードの結婚にも危機がおとずれて…。スパイ活動のテクニックを駆使、ツイストをきかせた不思議な味わいをもつ最新の問題作。
「ファンスラー先生、精神科のよいお医者をご存じですか」美人大学院生ジャネット・ハリソンが助けをもとめた相手は、英文学の教授ケイト・ファンスラーだった。ケイトは、かつての恋人で、今は精神分析医をしているイマニュエル・バウアーを紹介する。だがある日、バウアー医師の診療室にある寝椅子の上で、ジャネットの刺殺死体が発見されたのだ。バウアー医師の無実を確信するケイトにも、やがて大きな嫌疑がかかって…。ケイト・ファンスラー登場の記念すべき第1作。
それはふたりだけで歩く、傷心のトレッキングのはずだった。父子は山野に刻まれたトレイルを踏み、人生を語り合う旅を続けてきた。山小屋に着いた彼らの眼前で、予期せぬ出来事が起こった。武装した凶悪な殺人集団に、女子大生が拉致されたのだ。罪なき者の死を許せぬ父は、命がけの追跡を開始する。十六歳の息子にある使命を託して。少年はたったひとり、絶望の森を駆け抜ける。しかし、エスケープルートが崩壊し、救援を呼べないと悟ったとき、想像を絶する大自然の脅威と武装グループに対して、少年は単身立ち向かうしかないことを悟る。それは父子に課せられた大いなる試練だった。
大学付属病院の研修医(レジデント)の久住隆と中務春彦は密かに愛し合う関係。二人ともエリートで美形なため、言い寄る男女は数知れず。隆の方は適当にやれるが、オクテの春彦は狙われていることにも気がつかない。嫉妬心にさいなまれる隆は、つい春彦に無体なことをしてしまって…。雑誌掲載の表題作と短編『ナイトシフト』に250枚の書き下ろしを加えた松岡なつきの話題作、鳥羽笙子の挿画で登場。