1996年6月25日発売
真吾の恋人真吾の恋人
あの時代に限ったことではない。金や地位や見栄を求めれば、それがどんな社会であろうと、順応しなければならないのである。それがいやな者は、社会から冷遇されて当然である。そう思っても順応できない。そういう者は、どうすればいいのだ。死ねればそれにこしたことはないのだが…(「真吾の恋人」より)。珠玉の九篇。
我が母の教え給いし我が母の教え給いし
警視庁捜査一課の女性警部・大江沙織は、新進刑事・吉村健治とコンビを組む。一月中旬、吉村は、恋人の美樹とその友人・燿子夫婦と奥志賀にスキーに行った。その夜、燿子がナイトスキーから帰らず、翌朝、凍死体で発見された。死体の胸には、至福千年(ミレニアム)という文字が刻まれた氷の十字架が…。さらに一月下旬には、築地の冷凍倉庫から、女性二人の凍死体が、同じ氷の十字架を抱いて、発見された。事件を追う大江と吉村の前に立ちはだかる邪悪な集団。一見、幸福な家族の裏側に潜む戦慄の真実。悲劇の恋愛の果てに狂った男の驚愕の犯罪とは。寡作の著者が、沈黙を破って書き下ろしたサイコ・ミステリー傑作。
聖なる神聖なる神
バタイユの思想の総決算、「聖なる神」の無削除完訳。「私は哲学者ではない、狂人か、それとも聖者だ」二十世紀世界を震撼させた破天荒の思想家ジョルジュ・バタイユ。バタイユは爆弾を投下しながら書く。この爆撃のあとに無傷で立ち直れる者、それは…「創造主」(神)を除いて他にはいない。
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