1996年6月30日発売
豪胆細心、あっと驚く妙計奇策。若様侍、抜け荷にからんだ悪党退治。痛快時代小説。5年振りに江戸に戻った若様右京之介は、悪党退治で危難の連続。暗闘の渦中で若様を救ける女は人妻、それは忘れ得ぬいとしい多美殿…。
クオイルは無器用な三十男。大学を中退、三流新聞に拾われるが解雇されてしまう。初めて出会った女に夢中になり結婚するが、浮気をし放題の性悪女で挙句に事故で死んでしまう。父と母も借金を抱え自殺。残されたのは二人の娘だけ。彼は人生をやり直すために娘達と唯一の血縁の叔母を伴い、父祖の地ニューファンドランドへ渡る。そこには一族の名前が付いた岬があり、叔母が数十年前に捨てた家があった。クオイルは地元の新聞に船の情報-港湾ニュースを書く記者として雇われ、島の生活を始める…。全米図書賞&ピュリッツァー賞をW受賞。ハートランド賞、アイリッシュタイムズ賞など各賞を総ナメし、PW誌1位に輝いた感動の小説。
生と死をめぐる情熱の日々と濃密な時間。「私」を「先生(ソンセン)ニム」と呼んで走り寄り、抱きついてきた若い女性のヤンヒ。急逝したそのヤンヒを追憶しながら、語り手の「私」は、今でも信じられず、納得しがたい彼女の死-この作品は一人の人間が一人の人間の死を悼む最高の形式としての「文学」というものを私たちにもう一度、想起させてくれる。
スティーヴとサンドラ、ヘイルとヴィヴィアンの二組の夫婦は、かたい絆で結ばれた親友同士だった。数週間前、凄惨な殺人事件が突如四人の身に降りかかるまでは…。私立探偵ジョン・カディは、恋人の検事補ナンシーからメイン州で二組の夫婦の三人がクロスボウで射殺され、残された一人が容疑者として逮捕された事件の調査を依頼された。容疑者のスティーヴは一貫して犯行を否認しており、事件には不自然な点も多かった。調べを始めたカディは、四人が別荘地にやってきては地元民から顰蹙を買っていた事実を知る。さらにスティーヴが勤める会社の商売敵の陰謀説や、四人に利害関係を有する肉親の存在も浮かび上がってきた。残忍な手口の背後にはいったいどんな動機が。友情の裏に隠された歪んだ人間関係に迫るカディ。
魔石ベーリオンを得たスパーホークは「光る魔物」と呼ばれる謎の一族の接触をうけた。彼らは、自分たちに背負わされた呪わしい運命から逃れるためにベーリオンの力を借りたいのだという。だが、聖騎士の導き手たるセフレーニアはこの一族に深い恨みを抱いている様子。そんな彼女をよそに、読心能力を操る「光る魔物」の指導者が、聖騎士一行の中に裏切者がいると告げた。軍神シルゴンと通じ騒乱をしくんだその人物とは。
何者かに妻を殺されて生きる気力を失っていた造船所の経営者ティム・ブラックバーンは、過激な環境保護組織「ジェネシス」に入ったまま行方不明になった娘を探すためにフロリダめざし旅立った。世界各地の環境保護団体が一堂につどう会議に「ジェネシス」のリーダーが出席するかもしれないという情報を入手したのだ。だが、それは、嵐吹きすさぶ地の果てパタゴニアの海まで続く苛酷な闘いの旅のはじまりにすぎなかった。
ミュージシャンの夢破れ、テキサスの故郷で鬱々と暮らす青年バール。ある日この町を巨大なトルネードが襲った。家々を苦もなく飲み込む大自然の力に、バールは魅了される。それから彼のトルネード追跡がはじまった。夢想家の友人ジョンとともに気象情報を聞いては車を走らせる日々。やがてバールは嵐の中で奔放な娘ベベと出会い、恋に落ちるが…。生きる目標を探してあがく若者の成長をさわやかに描きあげた青春小説。
農夫のラルフが悲鳴を聞きつけて階下におりてみると、そこには胸に包丁を突き立てられ、血まみれになったゲイの弟ジョナサンが横たわっていた。-殺人の容疑で逮捕されたラルフの弁護を引き受けたホープは、犯行現場から立ち去るのを目撃された黒ずくめの男の行方を追った。さらに、被害者の交友関係をたどってカルーサのゲイ社会を調べて歩くホープの前には、過去の意外な事実が…。家族の悲劇を描くシリーズ第八弾。
休暇から戻ったわたしを待っていたのは、相も変わらぬ仕事の山。なかでも厄介事は、友人の写真屋ウェイドの愛犬を殺した犯人を探しだすことだった。やがて、ウェイドが謎の人物に依頼され、密かにポルノ写真の現像を行なっていた事実が判明した。事件解決の糸口を見つけるため、わたしはその人物の正体を探るが…奇想天外なアイディアを武器に、ポルノ絡みの難事件に立ち向かう私立探偵ヴィクターの抱腹絶倒の大活躍。
世界でもっとも恐れられているテロリスト、アンリ・カゾー。元ベルギー陸軍特殊部隊員の彼は、若い頃、米兵から性的虐待を受けたため、病的なまでにアメリカを憎んでいた。カリフォルニアで武器取り引きの最中、連邦捜査官の急襲を受けたカゾーの一味は、輸送機L-600で逃亡をはかった。州兵航空隊のF-16戦闘機が急追するが、カゾーらはサンフランシスコ国際空港の上空で、輸送機に積まれていた爆発物を投下して逃亡に成功、空港は火の海と化し、数百の死傷者が出た。これをきっかけにアメリカの防空態勢の不備に目を付けたカゾーは、今こそアメリカへの復讐を果たす絶好の機会と判断し、続けざまに第二、第三の空港襲撃を実行、相次ぐ大惨事の恐怖に全米はパニックに陥る。これに対し、大統領の意を受けた元沿岸警備隊管区司令官ハードキャッスルは防空態勢の再整備に乗り出した。だが、そのころカゾーは、湾岸戦争でもすさまじい威力を発揮し、核兵器を除けば最も恐ろしいと見なされている航空攻撃兵器、燃料気化爆弾を入手し、究極の目標、ホワイトハウスへの攻撃準備を着々と進めていた…。
久しぶりの休暇を満喫していたわたしのもとに、家主のヘンリーが相談を持ちかけてきた。数カ月前、心臓発作で急死した近所の老人ジョニー・リーの遺族のため、知恵を貸してくれというのだ。第二次世界大戦中に戦闘機パイロットとして活躍したジョニーを軍人墓地に埋葬しようとしたが、軍には彼の在籍記録は残っておらず、途方に暮れているという。わたしはジョニーの昔の仕事仲間とともに彼のアパートを調べるが、彼が軍に在籍していた証拠は見つからない。ジョニーは嘘をついていたのか。その直後、彼のアパートが何者かに侵入され、さらに、部屋の隠し金庫のなかから古びた鍵が発見された。謎が深まるなか、ある夜わたしは一人の男がアパートからバッグを持ち出す現場を偶然目撃する。わたしは男の後を追うが、それが、行方不明の莫大な金の在り処を探す長い旅の始まりになるとは知る由もなかった。
天性の政治家、南部小州の民主党知事ジャック・スタントンと聡明で野心的なその妻スーザンは、長年共和党に占められてきた大統領の座をねらって、予備選出馬を決意する。が、出馬そうそうつぎつぎと襲いくるメディアの猛攻撃-録音テープ付きのセックス・スキャンダル、妊娠騒動、ヴェトナム反戦逮捕歴、徴兵忌避-にさらされる。おかげでスタントンの名は全国的に知られるようになるが、支持率は低下の一方。しかも、有力な対立候補の健闘、より強力な新対立候補の出現と、スタントン陣営は息つぐひまもない。あいつぐ危機に沈没寸前のスタントン陣営は、ついに強力な秘密兵器、スキャンダル潰し専門の“ゴミ掃除人”まで投入するが…。
ウォール街最古の歴史を誇る名門投資銀行で、20代にしてM&A(企業買収)部門最年少パートナーに抜擢された実力の持ち主、アンドルー・ファルコン。彼は洋々たる人生を歩むべく実業家に転身するが、思わぬ悲劇が襲い、一転してすべてを失う。そんな彼のもとにアメリカ史上最大の企業買収の依頼が舞い込んだ。続々と課せられる悪条件の中、無謀ともいえる巨大マネーゲームに知力、体力そして気力の限り、敢然と挑むファルコン。だが、その壮大な乗取りは、巧妙な罠が張り巡らされた、邪悪な欲望と怨念のプロジェクトだった-。
「結婚だって夢なんだ。神様の前で一生の愛を誓うけど、そんなもんはすぐに嘘だとばれる、俺がいい見本だ」と突然妻に逃げられた圭太郎。「自分が何やりたいとか、何になりたいとか、私、わからないの。ないの、具体的な夢とか、全然」と、やりたくもない仕事に疲れ果てている美羽。そんなふたりが、のっぴきならない事情で結婚した。「結婚は紙切れ1枚と言うけれど、それは世界で一番重い紙切れ」圭太郎の父の言葉が身にしみるふたりだったが…。