1997年10月発売
九十キロを越す巨体、無作法、口の悪さは超一級ーそんな型破りの“アンチ・ヒーロー”、ダルジール警視は、その桁外れの魅力でミステリ・ファンの圧倒的な支持を受けてきた。本書では、彼が部下のパスコー警部とともに四つの難事件の謎に挑戦する。ダルジールとパスコーの出会いを描いたものや、2010年の近未来を舞台に、月面で初めて起きた殺人事件の顛末など、英国ミステリ界きっての実力派が贈る魅力あふれる中篇集。
驚愕の陰謀、迫るタイムリミット!アメリカ政府を襲う、史上最悪のシナリオ。国防総省で密かに進行するクーデター計画を阻止すべく、元特殊部隊兵がただひとり死力をつくす。元ノンフィクション作家が国防次官も驚嘆させた情報力を駆使して描く、大型スケールのポリティカル・サスペンス。
カリフォルニア北部の森のなかで、少女ネルは両親とバレリーナをめざす一歳上の姉に囲まれて暮らしていた。自然に抱かれ、のびのびとした生活を送る一家。しかし、そんな暮らしにも突然暗い影がさしはじめた。優しかった母が癌で亡くなり、しかも、その頃から電気も電話も使えなくなってしまったのだ。町へ行っても食料やガソリンが手に入らなくなった。大きな戦争や災害が起きたためだという噂が流れていたが、本当のことは誰にもわからなかった。電気製品が使えず、食料や日用品を節約する生活は苦しかった。ネルたちは木を切って薪にしたり、保存食を作ったりして乗り切ろうとするが、今度は父が大怪我をして死んでしまった。森のなかで二人きりになってしまったネルと姉は、自分たちの力だけをたよりに、野菜を育てたり、力仕事もして生きのびていく。しかし、やがて二人の運命を大きく変える恐ろしいことが起きて…。
ホテル、レストランなどを経営する柊興業代表の柊遼が、石神探偵事務所を訪れた。二十年前に自殺した兄・凱の死の真相を調べてほしいというのだ。二人は父親から莫大な資産を受け継いだのだが、高校教師であり化石の研究家として有名だった凱が発見した肉食竜の化石が偽物と批難された上、妻も自殺、山中の館で息子の慎也と二人、隠遁生活を送っていたのだった-。柊家の関係者がその館に集まる日、野上探偵と俊介、猫のジャンヌも同行したのだが、そこで身の毛もよだつ事件が起こったのだ。
TNXテレビ、ドラマ部の辣腕ディレクター・道祖土淳一は、不思議な夢を見た。公園で自分が見知らぬ若い女を殴り殺すのだ。翌日、夢のとおり、現実に女の死体が発見され、道祖土は呆然とする。この殺人事件に動揺を隠せない男がもう一人いた。事件の管轄、緑ケ丘署の釜刑事だ。釜は名門出のエリートだが対人恐怖症で、過去に恐るべき秘密があった。彼の唯一の理解者でチームを組む署のはみだし者・市野沢は事件解決に意欲を燃やすが…。深い闇にしか愛をみつけられない男たちが対決する、迫真のサイコ・サスペンス。
マリゴールド王女はヴィクトリア女王から、名代としてアテネでの葬儀の参列を命じられる。婚約者との仲を裂くための工作と察した王女は反抗し、代役を立てようとする。その身代わりは、牧師の娘アヴィラ。二人ともギリシャの血をひき何故か、そっくりな容貌だった。ギリシャに憧れていたアヴィラは強硬に反対する母親を説得し重大な任務を引き受ける。アテネでは、案内役のダリウス公と惹かれ合い、恋に落ちてしまった。二人は、神話の舞台のデロス島に赴くが許された時間は、あまりにも短い…。