1997年11月10日発売
夜ふけと梅の花・山椒魚夜ふけと梅の花・山椒魚
「ああ、寒いほど独りぼっちだ!」内心の深い想いを岩屋に潜む小動物に托した短篇「山椒魚」。新興芸術派叢書の一冊として、昭和五年四月に刊行された『夜ふけと梅の花』収録十五篇に、同人誌『世紀』掲載の「山椒魚」の原型でもあった著者の処女作「幽閉」を併録。さまざまな文学的潮流が拮抗した昭和初年代の雰囲気を鮮やかに刻印し、著者の文学的出発をも告げた画期的作品群。
親和力親和力
富裕な男爵エードゥアルト、エードゥアルトの友人の大尉、エードゥアルトの妻シャルロッテ、シャルロッテの姪のオッティーリエ、この四人の男女の織りなす恋愛図式。それは人倫を越えた、物質が化学反応を示して互いに牽きあう親和力に等しい。夫婦や家族の制度を破り出て人を愛するのも自然の力である。しかし、人間は自覚的な強い意志をもってそれに対抗しようとする。
波止場の呼ぶ声波止場の呼ぶ声
時は昭和25年、朝鮮動乱でわきたつみなと神戸。戦後の混乱期を抜けだしようやく飛躍成長をとげようとする時代のうねりの中で、主人公・元海軍中尉不動征四郎の行く手にたちはだかった謀略の渦。霧雨けむるみなと神戸に男が帰って来た。
採集家(コレクタ-)採集家(コレクタ-)
バージルシティで発生した連続猟奇殺人事件の犯人は何者なのか-?今度の事件は悪い予感がする。刑事スタンレーは言いようのない不安といらだちを募らせていた。その予感は的中した。スタンレーの恋人、ミランダ・ラコシが殺害されたのだ。この無差別殺人者はバージルシティ市警に挑戦している。スタンレーの怒りは頂点に達した-。山藍紫姫子&本仁戻のロマン・サスペンス。100ページ書き下ろし、第四弾。
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