1997年9月発売
巨大都市の欲望を呑みつくす圧倒的な「水たまり」東京湾。ゴミ、汚物、夢、憎悪…あらゆる残骸が堆積する湾岸の「埋立地」。この不安定な領域に浮かんでは消えていく不可思議な出来事。実は皆が知っているのだ…海が邪悪を胎んでしまったことを。「リング」「らせん」の著者が筆力を尽くし、恐怖と感動を呼ぶカルトホラーの傑作。
天明五(1785)年の大噴火で、青ケ島は無人島と化した。辛うじて八丈島に逃れた島民の、故郷に還り住みたいという願いはかなうのか-。後に「青ケ島のモーゼ」と讃えられた指導者・佐々木次郎太夫の成長とともに、人間と大自然の50年にも及ぶ苦闘を描く。
夜の闇に紛れて、次々と女性を毒牙にかける恐るべき連続レイプ犯。これまで四年間にもわたって犯行を重ねながら、一切証拠を残さない狡猾な犯人に警察は、ついに特別捜査班を結成、大がかりな捜査に乗り出した。新人警官のパークマンも特捜班に抜擢され、被害者からの事情聴収にあたるが、彼女たちは一様に黙して語らない。捜査陣をあざけるかのように、犯行を重ねる犯人。恐るべきレイプ犯を追う警官たちが見たものとは。
世界の名作を多数紹介し、10億冊を超えるベストセラーとなった「イラストで読む古典」Classics Illustratedシリーズが装いを新たにして、いよいよ日本に登場。美しくわかりやすいイラストに加え、専門家による作家、背景、テーマ、登場人物、作品の意義などについての解説、原文との対訳。
世界の名作を多数紹介し、10億冊を超えるベストセラーとなった「イラストで読む古典」Classics Illustratedシリーズが装いを新たにして、いよいよ日本に登場。美しくわかりやすいイラストに加え、専門家による作家、背景、テーマ、登場人物、作品の意義などについての解説、原文との対訳。
世界の名作を多数紹介し、10億冊を超えるベストセラーとなった「イラストで読む古典」Classics Illustratedシリーズが装いを新たにして、いよいよ日本に登場。美しくわかりやすいイラストに加え、専門家による作家、背景、テーマ、登場人物、作品の意義などについての解説、原文との対訳。
精神分析医・氷室想介のもとに、奇妙な不安を訴える女性が訪れた。自分には不釣り合いなほどハンサムな男から求愛され、幸せすぎて恐ろしいというのだ。彼女が男から見せられた不思議なトランプ魔術。その裏に秘められた身の毛もよだつ残虐趣味を氷室は見抜いた(『マグネット・ラヴ』)。-魔女が操る水晶玉を通して覗く、人間世界の歪んだ恐怖を描く吉村達也推理短編集。
等身大人形師の義男は、兄嫁の春子に密かな想いを寄せている。彼の気持ちに気付いた妻の咲子は、夫が制作中のコンクール出展用の等身大人形が春子に思え、胸締め付ける嫉妬心に抗うことができず、それを壊して捨ててしまった。そのときから春子の身に異変が起こる…。幻想と現実を交差させた、震えあがるようなスリラーの世界。門田泰明の恐ろしい筆が冴える。
“僕の言う通りに動いてくれれば、君の夢をかなえてあげる”憧れの俳優・伊関拓朗と同じ舞台に立つことを夢見る東堂潮に、謎の男・来生澄雄は囁いた…。甘い罠に捕らわれ、深い闇に墜ちていく潮。彼に救いの手は差し伸べられるのか!?ふゆの仁子が贈る、衝撃の『engage』番外編、書き下ろしを加えてついに登場。
「俺達を、放っておいてくれ。」運命の男・榊浩司の愛で自身も超能力に目覚めた波久。二人でいたい…願い空しく、波久は再び現れた謎の麗人・高津安針に榊の命を盾に戦いを挑まれる。死ぬかも知れない。だが波久は、安針の待つ魔の青木ケ原へと向かう。…能力よりも愛が勝ると信じているから。緊急続刊、サイキック・アクションラブ。
秘密裡に堕胎を請け負う医院で、手術後の患者が投身自殺を図った。書生の健次郎は、とっさに死体を庭に埋めてしまうが、やがてその秘密が掘り返される時がきた…。凄まじい迫力で、人間の業と哀しみを描く名作「緋の堕胎」。寮に軟禁され、吸血鬼からのお召しがあるたびに自らの血を提供する無気力な若者たち。彼らを飼育する吸血鬼の恐るべき正体とは?エラリィ・クイーンに絶賛され、世界各国で翻訳された表題作「黄色い吸血鬼」をはじめ、単行本未収録作品「砂糖菓子の鸚鵡」を含む恐怖ミステリの傑作・全12篇。
友子は、奥深くまで指をねじ込まれ、柔肉をくじられながら、一気に昇りつめていた。ほおずりをされ、肉厚の舌で舐められると友子は、全身にむずがゆいしびれを感じていた。動物のように2人は、お互いの体をむさぼりあう。男から男へ渡り歩く女、友子の淫乱な性を描いた長編官能小説。
1830年代、夏から秋のプロヴァンスの自然を背景に繰り広げられる軽騎兵アンジェロの愛と冒険の物語。イタリアの祖国独立のために戦うことを自らの使命とする主人公のアンジェロは、亡命先の南仏で、はからずもコレラの大流行のただなかに放りこまれる。人を救うとは何か、愛とは何か、生と死とは何か、自由とは何かについての真実を問いながら、無垢な魂の遍歴が物語られる。詩的な自然描写と小説の楽しさにあふれたジオノの代表作である。
失恋の痛手もまだ癒えない知可子は27歳のOL。予定のない週末、偶然に会った同僚の有季から彼氏と紹介されたのは、知可子を振った張本人だった。レンタルビデオ店で出くわした男を仮の恋人に仕立てあげ、その場をしのいだ知可子だが、皮肉な恋の運命が回りはじめるー。知可子と、彼女を巡る女たちそれぞれの愛の選択、恋の行方は?迷い悩みながら、ひたむきに恋する女たちの姿を描く長編。
「私」は高校二年生。ある放課後、図書館で「海の泡同盟」と称する詩を読む会に誘われたが、その集まりは、実は自殺を目的とする集団だった。そこで「私」に課せられた役割は死を見守ること、他人の死を記録することだったー。「ヒカルモノ」である死と、その対照にある「ヨドムモノ」としての生。真っ直ぐに生きようとすればするほど、死に近づき魅了される十代の純粋な魂の軌跡を描く問題作。
ときは古代中国の戦国期。諸子百家の気風に魅せられ、身分をいつわり、斉の都に学んだ中山国宰相の嫡子・楽毅。故国にもどった彼を待ち受けていたのは、大国趙による侵略だった。愚昧な君主に導かれ、存亡の危機に瀕する中山国。才知と矜持をかけ若き楽毅は故国の救済を模索し、理想の己の在り方を追求する-。
故国中山は自分にとって、小さすぎるのか-。楽毅の憂色は濃く、深い。四度にわたる趙の侵略。宰相だった楽毅の父は、自ら望んで死地へ赴き、中山は国土の大半を失った。だが、依然として中山の君臣は驕り、国家の存続を信じて疑わなかった…。暗澹たる状況のなか楽毅はただひたすら活路を求め、理想の自己を貫く-。苦難と闘いを強いられた男の美学を描く第二巻。