1998年10月31日発売
「大戦」後、過去の歴史がほとんど失われてしまった遙かな未来、人々は「シリンダー」と呼ばれる巨大なビルディングの内側の水平な床や外側の壁で暮らしていた。上下にどこまでも続く外側の垂直世界では、いくつかの軍事部族が活動している。部族同士で略奪や戦争をして金儲けをするのだ。そうした軍事部族に戦士の飾りや軍用アイコンを提供する意匠師アクセクターの波瀾に満ちた冒険をいきいきと描きだす活題の長篇SF。
ベルファストの郊外で、自動車に轢かれた男の死体が発見された。その死体の両手首には奇妙な穴があけられ、コートのポケットには不可解な言葉が記された新聞広告の切れ端が入っていた。北アイルランド警察のクロス警部と女性刑事ウェスタビーが捜査を開始するが、その死体が冷凍されて路上に置かれていたことが判明、やがて特別保安部も介入してきた。そしてついに第二、第三の殺人が…大型新人が放つ壮絶なサスペンス。
懸命の捜査でクロスとウェスタビーは、被害者に一つの法則が当てはまることを発見した。さらに殺人の前に、新聞広告に旧約聖書の詩篇の一節が載せられていたことも突き止めた。そして、一連の事件が北アイルランド紛争と密接に関わっていることも探り出し、二人は犯人を追いつめていくが…思いもよらぬ展開と、やがて訪れる懸愕のクライマックス。エスピオナージュとサイコ・サスペンスを見事に融合させた空前の大作。
猛スピードでの真夜中のドライヴ中、少年を轢き殺してしまった弁護士のわたし。しかし逮捕されたのはまったく別の男だった!生活を守るためとはいえ、自首に踏みきれないわたしは苦悩する。やがて良心の呵責に耐えきれなくなったとき、わたしがとった行動とは?崩壊していく倫理と、罪をおかした男の苦渋にみちた贖罪の日々を描く、現代人必読の問題作。
大正三年の夏、誠吾は旅芸人の食客だった父につれられ東北の小さな町、岩井へやって来た。父を失ってからは町の俥屋「徳茂」で人力車をひきながら、たったひとりの妹と手に手をとって生きてきた。芝居小屋の脇に聳える相生の槇の巨木が、いつもふたりを見守るように梢を揺らしている…。遠くに軍靴の足音が聞こえはじめた昭和初年。平穏だったこの町にも、物騒な事件の波が押し寄せて来た…。素朴な日々の暮らしに息ずく温かい心の交歓を、郷愁豊かに綴る長篇小説。
日本企業に死刑を宣告する海外の格付け社会。自主廃業した証券会社を辞めた元社員が格付け見直しに賭ける。これからの日本企業の未来を照らし出す様々な(可能性)の数々。
ヒマラヤの秘峰で発見された原人の頭蓋骨。旧約聖書の人物にちなんで「エサウ」と名づけられたその化石は、ヒトの起源を根底からくつがえすものだった。世界的登山家ジャック・ファーニスと古人類学者ステラ・スウィフトの一行は、エサウの正体を求め、人類の過去を探る旅に出かける。しかし、彼らがヒマラヤで見つけたものは、人類の未来を脅やかす恐ろしい秘密だった-。ヒマラヤの秘境で彼らは、人類の恐るべき運命を知った。神の視点で描かれた傑作冒険ミステリー。
ラックレー侯爵は退役後、社交仲間と遊び暮らしていたが、財産目あてに従弟のジェスロから命を狙われ始める。ある日、馬車でジプシーの娘にけがを負わせ、館に連れ帰ることになった。そのサビアは、ジプシーの娘だったが、優雅な淑女のようで、友人との賭けから貴婦人に仕立てあげることになる。ある夜会の場に毒蛇が送りつけられるがサビアの機転で、侯爵は危地を脱した。愛を確かめた二人だが、他民族とは結婚できないジプシーの控ゆえにサビアは、秘かに森の中へ身を隠す。彼女の行方を追う侯爵に再びジェスロの摩手が迫ってきた…。